PETER HAMMILL

1948115日、ロンドンにて生を受ける。
パブリック・スクールを卒業し、マンチェスター大学に入学(
2年で中退)。在学中に組んだバンドがVAN DER GRAAF GENERATOR(以下VDGG)である。1967年にVDGG結成。

 VDGG&HAMMILLのディスコグラフィ
1969年 「THE AEROSOL GREY MACHINE」    発表(VDGG→一時解散)
1970年 「THE LEAST WE CAN DO IS WAVE TO EACH OTHER」    発表(VDGG→再スタート)
1970年 「H TO HE WHO AM THE ONLY ONE」    発表(VDGG
1970年 「FOOL'S MATE」    発表(SOLO
1971年 「PAWN HEARTS」    発表(VDGG→活動停止)
1973年 「CHAMELEON IN THE SHADOW OF THE NIGHT」    発表(SOLO
1974年 「THE SILENT CORNER AND THE EMPTY STAGE」    発表(SOLO
1974年 「IN CAMERA」    発表(SOLO
1975年 「NADIR'S BIG CHANCE」    発表(SOLO
1975年 「GODBLUFF」    発表(VDGG→活動再開)
1976年 「STILL LIFE」    発表(VDGG
1976年 「WORLD RECORD」    発表(VDGG
1977年 「OVER」    発表(SOLO
1977年 「THE QUIET ZONE/THE PLEASURE DOME」    発表(VDGG→再編による改名VDG
1978年 「VITAL」    発表(VDG LIVE→解散へ)
1978年 「THE FUTURE NOW」    発表(SOLO
1979年 「pH7」    発表(SOLO
1980年 「A BLACK BOX」    発表(SOLO
1981年 「SITTING TARGETS)    発表(SOLO
1982年 「ENTER K」    発表(SOLO
1983年 「PATIENCE」    発表(SOLO
1983年 「LOOPS AND REELS」    発表(SOLO→カセット・テープでのみ販売、93CD化)
1984年 「THE LOVE SONGS」    発表(SOLO→過去のアルバムからラヴ・ソングをセレクト)
1985年 「THE MARGIN」    発表(SOLO LIVE
1986年 「SKIN」    発表(SOLO
1986年 「AND CLOSE AS THIS」    発表(SOLO
1986年 「FIRST GENERATION」    発表(VDGG1969-71のコンピ)
1986年 「SECOND GENERATION」    発表(VDGG1975-77のコンピ)
1988年 「SPUR OF THE MOMENT」    発表(HAMMILLGUY EVANS→ジョイント。全曲インスト)
1988年 「IN A FOREIGN TOWN」    発表(SOLO
1990年 「OUT OF WATER」    発表(SOLO
1990年 「ROOM TEMPERATURE LIVE」    発表(SOLO LIVE
1991年 「THE FALL OF THE HOUSE OF USHER」    発表(SOLO
1991年 「FIRESHIPS」    発表(SOLO
1992年 「THE NOISE」    発表(SOLO
1993年 「THERE GOES THE DAYLIGHT」    発表(SOLO LIVE
1993年 「I PROPHESY DISASTER」    発表(VDGG コンピ)
1993年 「THE STORM (BEFORE THE CALM)」    発表(Virgin コンピ)
1993年 「THE CALM (AFTER THE STORM)」    発表(Virgin コンピ)
1994年 「ROARING FORTIES」    発表(SOLO
1994年 「MAIDA VALE」    発表(VDGG
1995年 「THE PEEL SESIONS」    発表(SOLO BBC LIVE
1996年 「X MY HEART」    発表(SOLO
1996年 「SONIX」    発表(SOLO サントラを含む全編インスト)
1997年 「EVERYONE YOU HOLD」    発表(SOLO
1997年 「THE UNION CHAPEL CONCERT」    発表(HAMMILLGUY EVANS
1998年 「THIS」    発表(SOLO
1999年 「TYPICAL」 発表(SOLO LIVE
1999年 「THE FALL OF THE HOUSE OF USHER」    発表(SOLO91年に発売された盤の新録)
1999年 「THE APPOINTED HOUR」    発表(HAMMILLROGER ENO
2000年 「NONE OF THE ABOVE」    発表(SOLO
2000年 「THE BOX」    発表(VDGG 4枚組ベスト)
2000年 「AN INTRODUCTION」    発表(VDGG 簡易ベスト)
2001年 「UNSUNG」    発表(SOLO
2001年 「WHAT'S NOW?」    発表(SOLO
2002年 「THE MARGIN +」    発表(SOLO MARGINの完全版)
2002年 「THE THIN MAN SINGS BALLADS」    発表(SOLO バラード集)
2002年 「CLUTH」    発表(SOLO
2004年 「INCOHERENCE」    発表(SOLO
          
TO BE ,,,(一部公式HPと年数が違っていますが、正確なところよく分かりません)

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私の最も好きなヴォーカリストの内の一人で、この人に対しては尊敬という言葉では足りないくらいに大好きな人です。
VDGGを始めソロ・アルバムも含めて思い入れは並大抵ではありません。
自分の思いを正直に告白するのがアーティストの本質ならば、ハミルこそ真のアーティストと言えるでしょう。

もともと多作な人なので、現在も素晴らしいアルバムを驚くようなペースで発表しています。なんともファン冥利に尽きますね。この先も頑張って欲しいです。
最初に聴くのなら、勿論70年代の一連の傑作群をお薦めします。最近のアルバムも良いですよ。
手に入りやすいアルバムとそうでないアルバムの差が激しいので、こまめに中古屋チェックが望ましいです。

 

THE SILENT CORNER
AND
 THE EMPTY STAGE

EGO -vocals,guitars,keyboards
GUY
 EVANS -drums
DAVID
 JACKSON -sax,flute
HUGH
 BANTON -organ
RANDY
 CALIFORNIA -guitar on M5
PRODUCED
 BY PETER HAMMILL
1974年発表の3rdアルバム。
VDGGの活動停止期に怒涛の如く発表された一連のソロ傑作のうちの重要な一角。メンバーはVDGGまんまであり、特にVDGGと呼んでも何も問題はないような作風だ。この辺りも少し謎なのだが、おそらく自己探求のための作品で、VDGGとは区別したかったのだろう。
THE SILENT CORNER(静かな角)and THE EMPTY STAGE(空っぽの舞台)。
ハミルにとってメタファー(隠喩、暗喩)とは解釈の余地を誰のためでもなく残し、聴き手にとっては感情移入の余地が残された有難〜いものである。ただ、恐ろしく難解で感情移入も糞もなく、ただハミルの鬼気迫るパフォーマンスの凄さに圧倒されるのみだ。
アルバム・ジャケットは女性器を表している模様。うーむ、興味深い。
M1,MODERN  ライブでも頻繁に演奏される代表曲。ノイジー。
M2,WILHELMINA
  ノイズに塗れて終わる前曲から、静謐なる響きへ。
M3,THE
 LIE (BERNINI'S SAINT THERESA)  暗い情念をピアノで弾き語り。
M4,FORSAKEN GARDENS  前曲で踏み止まったかのような感情を一歩、歩を進めるかのような感動。とりわけ、フルートの響きがたまらんっす。VDGGそのもの。
M5,RED
 SHIFT  ランディ・カリフォルニア(g)がゲスト参加。後半サイケデリックなモザイク調に変化。
M6,RUBICON
  アコースティック・ギターによる弾き語り。
M7,A
 LOUSE IS NOT A HOME  とりあえず圧巻の一言。構成、演奏、ハミルの歌の牽引力、凄まじいまでの言葉数。小便がチビルというレヴェルでなく、ウンコまで漏れそうな大傑作。
これは重い。
重さに表すとdレヴェルだ。頭上から感情の塊が落っこちてきて、それを受け止めなければならない苦行のように重い。とりわけ、次作(IN CAMERA)と本作の重さは並大抵でなく、リピート不可能。私にとってこの作品は思い入れも並大抵でないのだが一回聴けばしばらくは事足りる。まるで空っぽの心のようなものに、ある種の感情を充電するかのように聴く作品でもある。(詩の内容がよく分からないのにここまで思わせる作品はなかなかない。)
先述したように、サウンドはVDGGと似たようなものでVDGG好きには堪らないものだと思う。それでもノイジーだったりサイケだったり新しい試みがあるが。
人間心理の暗闇のカリスマ的住人「ハミル」による、圧倒的啓示のような作品。

 

OVER

GUY EVANS -drums
NIC
 POTTER -bass
GRAHAM
 SMITH -violin
PETER
 HAMMILL -vocals,guitars,keyboards
PRODUCED
 BY PETER HAMMILL
1977年4月発表の6thアルバム。
録音は前年の6月〜7月。発売はVDGGでの再編問題等によるトラブルのため遅れた模様。ベースには初代VDGGのベーシスト、ニック・ポーターが参加、メンバー的には新生VDG(QUIET ZONE期)となっている。1976年の時点でこのメンバーというのが少し謎なのだが。。
ハミルは手痛い失恋の直後だったようで、内容は失恋の歌や当時のハミルの心境を辛辣に語った内省的な作風になっている。パンク・ムーヴメントがどうたらと世の流れには全く関係のないハミルらしい作品で、普遍的な内容を歌わすと彼の右に出る者はいまい、と信じて止まない。ハミルを聴く者にとって避けては通れない作品だ。
M1,CRYING WOLF
M2,AUTUMN
M3,TIME
 HEALS
M4,ALICE
 (LETTING GO
M5,THIS SIDE OF THE LOOKING GLASS
M6,BETRAYED
M7,
ON TUESDAYS SHE USED TO DO) YOGA
M8,LOST
 AND FOUND
この人の作品に一貫している事は、自分と向き合い意思を確かめ、それをただ素直に語るという事だけだと思う。フン、そんなもん他のアーティストも同じじゃねーか、という意見もあるだろうが、個人的にそういうアーティストで真っ先に思い浮かぶのがハミルやジョン・レノン。後はなかなか出てこない。多分ね次元が違うと思いますよ。
M2でのオーケストラとの神秘的で鬼気迫る絡み、M3のハミルの歌のドラマ性には身震い必至、M4の感情のようなアコースティック・ギターの響き、M5の静謐で心の奥底から湧き出る泉のような隋一の透明性を誇るハミルの歌!
ただただ、感動。

 

incoherence

PETER HAMMILL -vox,keyboards,guitar
STUART
 GORDON -violin
DAVID
 JACKSON -saxophones,flutes
2004年3月発表。
予定されていた来日公演がハミルの病気により中止になり、ファンは不安で揺れた。それからしばらくしてハミルは無事退院し、中断されていたこのアルバムを完成させた。
近年のハミルの作品と同様にリズム隊は無く、軽い打ち込み程度のもので、ハミルの歌を中心に前作より強度感のある演奏が全14曲、切れ目無く1曲として繋げられている。
「incoherence」はつじつまが合わないこと、支離滅裂、粘着性がない、というような意味らしい。公式HPの解説にもある通り、このinという接頭語とcoherenceという語は字体が違うように、区切られている。詩の内容は全体的に大よそ「言葉、会話」について書かれているが、曲を無理やり繋げた事を意味しているのか、inが接頭語ではなく前置詞で逆の事を意味しているのか、または人間が発する言葉の支離滅裂性、強引な(統一感があるように思わせた)会話の事を指しているのかはハミルも言及してはいない。
一つ確実な事は、これは相変わらずハミルらしい作品で、何の心配もなく聴ける、という事だけだ。
M1,WHEN LANGUAGE CORRODES
M2,BABEL
M3,LOGODAEDALUS
M4,LIKE
 PERFUME
M5,YOUR
 WORD
M6,ALWAYS
 AND A DAY
M7,CRETANS
 ALWAYS LIE
M8,ALL
 GREEK
M9,CALL
 THAT A CONVERSATION?
M10,THE
 MEANINGS CHANGED
M11,CONVERSE
M12,GONE
 AHEAD
M13,POWER
 OF SPEECH
M14,IF
 LANGUAGE EXPLODES
幽玄な響きのフルート、エコーがかかりまくったエレピ、いつ聞いても新たな決意を感じさせるようなハミルのヴォーカルが響き渡ると同時に冬の肌を突き刺すような場に降り立ったような感覚を受ける。その後、曲は絶えず変化しながら混沌の様相を呈す。
こんな緊張感のあるハミルのヴォーカルを聞くのはいつ以来だろう、と考え込まずにはいられなかった。バックの演奏もハミルの歌を盛り上げるだけでなく、充分圧迫的で緊張感溢れるものだ。後半は寒空に一人放り出されたかのような孤独感を感じる。終始ハミルのヴォーカリゼーションの吸引力に脱帽する。こんな作品を作れるのはハミルしかいないわけで、そこがまさに孤高の人、いつ聴いても嬉しくなってしまう。だって、2004年ですよ、これ。

 

 

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