60s vol.1

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JOHN COLTRANE
MY
 FAVORITE THINGS

JOHN COLTRANE -soprano sax & tenor sax
McCOY
 TYNER -piano
STEVE
 DAVIS -bass
ELVIN
 JONES -drums
SIDE ONE
M1,MY
 FAVORITE THINGS
M2,EVERYTIME
 WE SAY GOODBYE
SIDE TWO
M1,SUMMERTIME
M2,BUT
 NOT FOR ME
(ATLANTIC)1960年10月21日録音(SIDE ONE M1),1960年10月24日録音(SIDE TWO M1),1960年10月26日録音(SIDE ONE M2,SIDE TWO M2)
マイ・フェイヴァリット・シングズのテーマ部分は、耳にした事のある人が結構多いんじゃないかと思う。ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の挿入曲にもなったクール・ワルツ(現在もサスペンス・ドラマやCMで使われている)。いつもこれを聴くと、コルトレーンが最初にサックスに口をつけ吹くところを想像してしまう。そこからクールで、不思議なメロディが流れる。コルトレーンのソプラノというのも不思議な音で魅力的だ(違う楽器に聞こえる)。マッコイ・タイナーのピアノも不思議な華やかさを放っており、ソロは聴くたびに生き物のように印象が変わる。私はレコードしか持っていないのだけれど、これはレコードの方が良いと思う。ガーシュインのサマータイムとA面M2とあまりにも印象が違うからだ。EVERYTIME〜は非常に穏やかなバラード曲。コルトレーンの終始穏やかで息遣いの聞こえる音を心地良く支えるマッコイ・タイナーのピアノも秀逸だ。この余韻を味わうためにもレコードの方が良いと思われます。まぁ、CDでも停止ボタンを押せばいいだけの話だが・・。

コルトレーンの演奏もこの頃からやたら長くなってきたらしいが、私はあまり長さは感じない。とは言っても実はA面をリピートするか、B面をリピートするかのどちらかで、通しで聴くことはほとんどないのだが。
まぁ、何にせよコルトレーンの代表アルバムでもあり、これを聴かずにコルトレーン教(寺島靖国談)の壮大な経典『至上の愛』へ入るのは止めたほうがいい。他人の勝手だが。

 

BILL EVANS TRIO
WALTZ
 FOR DEBBY

BILL EVANS -piano
SCOTT
 LaFARO -bass
PAUL
 MOTIAN -drums

Recorded live at the Village Vanguard,New York City,June 25,1961

M1,MY FOOLISH HEART
M2,WALTZ
 FOR DEBBY (take2
M3,DETOUR AHEAD (take2
M4,MY ROMANCE (take1
M5,SOME OTHER TIME
M6,MILESTONES

M7,WALTZ
 FOR DEBBY (take1)*
M8,DETOUR AHEAD (take1)*
M9,MY ROMANCE (take2)*
M10,PORGY (I LOVES YOU,PORGY)*
ADDITIONAL TRACKS NOT ON ORIGINAL LP
(RIVERSIDE) 1961年6月25日、NYCヴィレッジ・ヴァンガードにてライブ録音。
ジャズの名盤選でも必ず入っているような名盤で、今更疑いようもないほど名演である。ピアノ・トリオによるライブ録音で盟友スコット・ラファロとのインター・プレイが究極の域で美しい。(因みに、スコット・ラファロはこの11日後に交通事故により死去)同日に録音された「サンディ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」(スコット・ラファロの追悼盤として発売)と合わせて必聴である。と、まぁこの盤は語り尽くされているわけで、何を書いてもあまりにも今更な感が強い。三位一体のインタープレイとよく言われているが、まさしくその通りで何が欠けてもきっと成り立たないのだろう、と思う。リリカルで幻想的、ほんのり暗く、その分優しい。

これから、日常生活を続けるにあたって、これ以上の美しさを体験できることがあるのだろうか、と思うぐらいに美しい。これを聴くとこれから先の私の人生での「美しさ」みたいなものは全て吸収されて、ありとあらゆる美しさを体感し尽くしたかのような寂しさが残る。聴き終えた後はもぬけの殻だ。人生最後の日にこの美しさをとっておくのも良いかも。

 

ERIC DOLPHY
AT
 THE FIVE SPOT VOLEME T.

ERIC DOLPHY -alto sax,bass clarinet
BOOKER
 LITTLE -trumpet
MAL
 WALDRON -piano
RICHARD
 DAVIS -bass
ED
 BLACKWELL -drums

Recorded in performance at the Five Spot Cafe,New York City,July 16,1961

M1,FIRE WALTZ
M2,BEE
 VAMP
M3,THE
 PROPHET
M4,BEE
 VAMP (alternate take)
Additional track not on original LP
(PRESTIGE)1961年7月16日、NYCファイヴ・スポットにてライブ録音。
とりあえず、ドルフィーのアルトの響きがたまらない。酔っ払いのように空中を彷徨い、地上に落下したかと思いきや、また舞い上がる。浮遊感というより、ハングライダーで着陸と離陸を繰り返しながら空を彷徨う感じ(やったことは勿論ないが)。ちなみに、ファイヤー・ワルツにおいての客の拍手も気分を昂揚させる一要因かも。曲構成はテーマ→アルト→ペット→ピアノ→テーマ。作曲者のマル・ウォルドロンの焦燥感を駆り立てるピアノも絶品だ。
そして、M3のプロフェット。テーマのユニゾンなのだが、とりあえずハラハラしてしまう。音程がハズれるかハズれないかの微妙なところがツボになって、妙に耳を傾けてしまう演奏である。その後のドルフィーのソロもまさしく命を縮めるブロー。
この盤は、あからさまなフリー・ジャズでないところが私にとって一番嬉しい。ハード・バップとフリーな部分が合さった感じで、逝きっ放しで帰ってこないフリー・ジャズでは無く、なんとなく責任感があるところが傑作たる所以だと思う。
因みに、このファイヴ・スポットでの録音は4枚残されている。

 

JOHN COLTRANE
BALLADS

JOHN COLTRANE -ts
McCOY
 TYNER -p
JIMMY
 GARRISON -b
ELVIN
 JONES -ds
M1,SAY IT (OVER AND OVER AGAIN
M2,YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS
M3,TOO
 YOUNG TO GO STEADY
M4,ALL
 OR NOTHING AT ALL
M5,I
 WISH I KNEW
M6,WHAT'S
 NEW
M7,IT'S
 EASY TO REMEMBER
M8,NANCY
 (WITH THE LAUGHING FACE
(IMPULSE)(M1〜M5;1962年11月13日録音、M6、M8;1962年9月18日録音、M7;1961年12月21日録音)コルトレーンのレギュラー・カルテットによるバラード演奏集。コルトレーン・リリシズムの極致。
ジョン・コルトレーンほど進化していったジャズ・マンはなかなかいない。(マイルス除く)
最近の人ならばコルトレーンを聴こう、と思って最初に手にするのが、恐らく至上の愛かなんかだろう。最初に聴くのに、至上の愛ほど適さないアルバムはないと思う(他人の勝手だが)。なんと言ってもあのジャケ。眉間に皺を寄せ、何だか難しそうな顔をしたコルトレーンが写っている。それとは対照的にこのジャケ、なんとも優しそうな雰囲気に包まれたコルトレーンが写る。これからコルトレーンを聴こう、と思う人は絶対にこれ。
内容はブラック・珈琲のような崇高コルトレーンとは違い、ココアである。甘い。それに尽きる。
抒情的で歌心溢れるコルトレーンのテナーを聴いていると、その甘さがクセになる。甘ったるい俗的な音楽という意味ではなく、実に繊細なリリシズムを堪能できる。何を言っても今更な感があるが、ジャズ・ファンのマスター・ピースである本作をコルトレーン入門として薦める。

 

ALBERT AYLER TRIO
SPIRITUAL
 UNITY

ALBERT AYLER -saxophone
GARY
 PEACOCK -bass
SONNY
 MURRRAY -drums
M1,GHOSTS:FIRST VARIATION
M2,THE
 WIZARD
M3,SPIRITS
M4,GHOSTS:SECOND
 VARIATION
(ESP)1966年録音。
アイラーのBOXを買うぞ、と昨日決意した。そう思ったら、先ずアイラーを書かなければいけないという思いに駆られ初回はアイラーになった次第(RECOMMENDでも書いたので重複になるが)。
アルバート・アイラーは当時アメリカのレコード会社で発表できず、先ずヨーロッパで評価された人物。そしてこのアルバムがアメリカ・デビュー盤となった。このレコードはアイラーの強烈なテナーが鳴り響いて始まる。その音はまさしく、象!(どうでもいい事だが、象は神秘的な動物なんですよね。アイラーとぴったしじゃないか。)
象の鳴き声のような強烈なブロウで始まり、おちゃらけたメロディが進行する。次第にフリー・ミュージックに変貌し、どの楽器の演奏も見えない1本の線で繋がれたような緊張感がある。実際にリズムもアイラーの吹くサックスの音も巧妙にズレており、1歩間違えればそれこそ混沌としたフリー・ミュージックである。ベースとドラムのリズムでさえ独自のもので、心地良いグルーヴ感なんてものは当然ながらない。まさしく、それぞれの音が感情である(ドラムスは風のよう)。
音が感情の成すがままに変貌していくのは快感だ。
熱心なアイラー・ファンなんかは、これをお告げのような感じで聴いているのだと思うが、未だに私は時々怖くなるときがある。まだまだ甘いな。

 

 

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