50,50s   vol.2

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CHET BAKER
SINGS

SIDE T
CHET BAKER -vocal and trumpet
RUSS
 FREEMAN -piano and celeste
JAMES
 BOND -bass
PETER
 LITTMAN -drums
LAWRENCE
 MARABLE -drums on M3,M4,M6
SIDE U
CHET BAKER -vocal and trumpet
RUSS
 FREEMAN -piano
CARSON
 SMITH -bass
BOB
 NEEL -drums
SIDE T
M1,THAT OLD FEELING
M2,IT'S
 ALWAYS YOU
M3,LIKE
 SOMEONE IN LOVE
M4,MY
 IDEAL
M5,I'VE
 NEVER BEEN IN LOVE BEFORE
M6,MY
 BUDDY
SIDE U
M7,BUT NOT FOR ME
M8,TIME
 AFTER TIME
M9,I
 GET ALONG WITHOUT YOU VERY WELL
M10,MY
 FUNNY VALENTINE
M11,THERE
 WILL NEVER BE ANOTHER YOU
M12,THE
 THRILL IS GONE
M13,I
 FALL IN LOVE TOO EASILY
M14,LOOK
 FOR THE SILVER LINING
(PACIFIC JAZZ)M7〜M14:1954年2月15日録音、M1,2,5,6:1956年7月23日録音、M3,4:1956年7月30日録音。
チェット・ベイカーはウェスト・コースト・ジャズを代表するトランペッターである。そのトランペットの音色よりもさらに個性的で魅力的なのが、彼のヴォーカルだろう。これは彼のヴォーカルものでは最高作によく挙げられるレコードである(オリジナル・ジャケットはこれ↑)。曲目はジャズ・スタンダードが幅広く採りあげられていて、それこそ彼の中性的で気だるい声で歌われると至福度倍増である。
その至福は極めて麻薬的であらゆる物事をどうでも良くしてしまう魔法のようだ。マイ・ファニー・ヴァレンタイン然り、M4のラス・フリーマンが弾くチェレステとの静かな絡みなんてこの世にはない美しさである。ヴォーカル・ヴァースが終わり、チェットが静かに吹き始めるトランペットのソロも非常に独特で静かな世界を醸し出す。一瞬にして独自の時間が流れ出す、いつ聴いても心地良い魔法のレコードだ。
ケッ、白人でこんな女にモテそうなヤツがやってる音楽なんてくだらないゼ、などと思っている人・・・なんて今時いないと思うが、こんな駄目駄目な空気を醸し出す人はそうはいない。

 

THE MODERN JAZZ QUARTET
DJANGO

JOHN LEWIS -piano
MILT
 JACKSON -vibes
PERCY
 HEATH -bass
KENNY
 CLARKE -drums

Recorded
 June 2547,1953,December 231,2,8,1954 and January 93,1955
M1,DJANGO
M2,ONE
 BASS HIT
M3,LA
 RONDE SUITE
   a)Piano  b)Bass  c)Vibes  d)Drums
M4,THE
 QUEEN'S FANCY
M5,DELAUNAY'S
 DILEMMA
M6,AUTUMN
 IN NEW YORK
M7,BUT
 NOT FOR ME
M8,MILANO
(PRESTIGE)M4〜M7;1953年6月25日録音、M1,M2,M8;1954年12月23日録音、M3;1955年1月9日録音。それにしても美しいジャケットだ。サウンドは端的にジャケットのような美しさを放っていると思って貰って良い。モダン・ジャズ・カルテット(以下M.J.Q.)はディジー・ガレスピー楽団から独立したグループで、ジョン・ルイスが主に作曲、アレンジをこなし、音はホーンを中心としたそれではなくミルト・ジャクソンのヴァイブを中心としたものである(ドラムのケニー・クラークはこの後脱退)。ワン・ホーン系の汗や唾が飛んでくるようなプレイではなくどこかヒンヤリとした、それでいて優雅な立ち振る舞いを見せる美しき格調高さが魅力だ。このジャンゴはM.J.Qの初期(というか1st?)の傑作でもあり、ジョン・ルイス作のジャンゴ・ラインハルトに捧げられた名曲『ジャンゴ』から始まる。このイントロの音が全てを物語っていると言っていい。ジョン・ルイスとミルト・ジャクソンによる溜息の出るオープニング。非常に繊細で消えてしまいそうな音だ。ジョン・ルイスのヨーロッパに対する憬れからか、どこか白っぽさも感じる。とりあえずここでは黒っぽい音や、白人ぽい音という概念がまるで無く、ジャズに新風を吹き込んだとよく言われているが、今聴いてもそう思ってしまう名盤だ。M1のジャンゴばかりになってしまった。ちなみにその他の曲も勿論良い。M3のラ・ロンド組曲は構成は勿論のこと、特にジョン・ルイスのピアノの透明性にはハっとさせられる。スタンダードでもあるニューヨークの秋もジャンゴと同様重要曲である。とりあえず美しいの一言。秋というより、冬の透明感が強調されたような、凛とした雰囲気。

因みにジャンゴが気に入ったならば、ミシェル・ルグラン/『ルグラン・ジャズ』収録のジャンゴも一聴されることをお薦めする。

 

MILES DAVIS
WORKIN'
WITH
 THE MILES DAVIS QUINTET

MILES DAVIS -trumpet (except M6
JOHN COLTRANE -tenor saxophone (except M6
RED GARLAND -piano
PAUL
 CHAMBERS -bass
PHILLY
 JOE JONES -drums
Recorded
 in Hackensack,NJ on May 11,1956"HALF NELSON" recorded October 26,1956
M1,IT NEVER ENTERED MY MIND
M2,FOUR
M3,IN
 YOUR OWN SWEET WAY
M4,THE
 THEME (take 1)
M5,TRANE'S BLUES
M6,AHMAD'S
 BLUES
M7,HALF
 NELSON
M8,THE
 THEME (take 2)
(PRESTIGE)M1〜M6,M8;1956年5月11日録音、M7;1956年10月26日録音。
コロムビアと契約を結んだが、プレスティッジとの契約が残っていた事からこの1956年の5月と10月にセッションを行う。そこに残された音が俗に言う「マラソン・セッション四部作」である。
メンバーはこの後凄まじい成長を遂げるクインテット。マイルスのバラードと言えばこれ、と思うかのような絶妙なプレイの聞けるM1。ガーランドが弾くリリカルなピアノの上に、それより更にリリカルなマイルスのトランペットが響く。「卵の殻の上を歩いているようだ」と形容されているのが頷ける音である。ひたすら繊細で壊れやすそうな音が絶妙な線上で響く。この時点のコルトレーンでは入っていけない空間なのだろう(最後の方で数音だけ音を出しているが)。恐ろしいほどリリカルな空気が流れている。マイルスの自己演出の方法は飛び抜けていると思う。
このマラソン・セッションで残された4作品はそれぞれがヴァラエティ豊かな選曲で、バラードからブルーズと幅広い。この1枚は続けて聴くと、M1の美しさに溜息が漏れ次の曲のフィリー・ジョー・ジョーンズのドラミングに呆然としてしまうのだけれど、1曲1曲はたまらなく良い。その他の曲についてもM1同様書くことは山のようにあるが、面倒臭いので止める。どちらにせよ、M1のために買っても多分後悔はしない。因みにM6はガーランド、ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズのピアノ・トリオ。マイルスの要望により録音されたとか。

 

 

 

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