THE THE
それにしても、迷惑なバンド名ですね・・・・検索すればかなりの数が出てきて
アマゾンで検索するのも一苦労。アルバムタイトル名で検索しましょう。
THE THEは、マット・ジョンソンほぼ一人によるソロ・プロジェクトで、1979年、キース・ロウズと
ザ・ザを結成する。(ディスコグラフィ等はオフィシャルHPを参考に。)
89年頃から、元スミスのジョニー・マーを迎えバンド演奏に重きを置いてアルバム制作を行ったり、2000年発表のNAKED SELF
では、NINE INCH NAILSのトレント・レズナーのレーベルから発表したり(これは結局仲違い)結構
色んなアーティストと交流を持っている。(ex.ジム・フィータス)個人的にはミュージシャンズ・ミュージシャン
と言ってもよい程の人で、なかなか作品が出ないのが実に歯痒い次第。
PLEASE WAIT!
MIND BOMB
MATT JOHNSON -vocals,pianos,tapes,electric guitars,keyboards
JOHNNY MARR -electric guitars JAMES ELLER -bass guitar
DAVID PALMER -drums MARK FELTHAM -electric harmonica
ESME LIVESEY -child's prayer WARNE LIVESEY -keyboards
PANDIT DINESH -percussions CHRIS WHITE -tenor saxophone
PHIL TODD -tenor saxophone GAVIN WRIGHT -arabian fiddle
WIX -hammond organ,piano SINEAD O'CONNOR -vocals
DANNY CUMMINGS -congas,percussions PEDRO HALDEMANN -bongos,water percussions
DANNY THOMPSON -acoustic bass SARAH HOMER -clarinet
DAI PRITCHARD -bass clarinet HILARY STORER -oboe
ASHLEY SLATER -trombone JOHN EACOTT -flugel horn
1989年発表の3rd。ギタリストに元スミスのジョニー・マー、ベースには元ニック・ロウ、ジュリアン・コープ
のバンド・メンバーであったジェイムズ・エラー。ドラムに元ABCのディヴィッド・パーマーを迎えたザ・ザの
最高傑作という評価のアルバムである。(解説より:プロデューサーはスワンズのロリ・モシマン、フィータスの
『HOLE』『NAIL』を手掛けたウォーン・リヴシーもプロデューサーとして名を連ねている。)
超豪華メンバーに彩られたこのアルバムは、その後の『ダスク』を思わせるようなソウルフルなものもあり、
また非常にアグレッシヴで相変わらずの社会風刺もますます冴えを見せている。とりあえず、この
鋭利な詩は必読だ。
M1,GOOD MORNING BEAUTIFUL,何かが覚醒してゆくような、マット・ジョンソンのこの
アルバムに対する意気込みが伝わってくるようなオープニング・ナンバーだ。ジャジーでソウルフルな朝(生)の目覚め。
M2,ARMAGEDDON DAYS(Are Here Again),ザ・ザの代表曲。それにしても詩が凄まじい。
この社会批判は偽善とは程遠いものがある。『もし、本物のイエス・キリストが立ち上がることになっていたなら
CIAに暗殺されているだろう。(中略)神はイスラエルやローマにいるのではない。神はアメリカの経済力に属さない。
神はヘズボラへ爆弾を配備したりしない。神は教会へ行くことすらない(略)』『THIS IS WAR!』
911以降の現在において、これだけ厳しい歌詞はないだろう。(しかも1989年。悪魔の詩を題材にした曲らしい)
ディヴィッド・パーマーのドラムの力強さが相乗効果を促し、凄まじいテンションで溢れている。
M3,THE VIOLENCE OF TRUTH,アルマゲドン・デイズに負けず劣らずのこれも強烈な社会批判。
聴き手に問い掛ける手法も相変わらずで、マット・ジョンソンの声で歌われるともの凄い危機感、切迫感が感じられる。
ジョニー・マーのギターも切れ味充分。M4,KINGDOM OF RAIN,どちらかと言うと、ダスクに入ってそうな
内面的な曲。女性ヴォーカルとのデュオで、非常にソウルフルだ。ピアノのエコーも心地良い。
M5,THE BEAT(EN) GENERATION,非常にキャッチーでストレートな曲で力強い。
政治色は相変わらず。名曲。M6,AUGUST & SEPTEMBER,マット・ジョンソンの内面を告白調で
語り、非常に重い空気に支配されているが何処か優しくスピリチュアルな感がする。
(+M7,M8)
マット・ジョンソンの声はもの凄い説得力がある。それはこのアルバムだけではないが、
このアルバムは他のメンバーのサポートが実に心強く、力強くてこのアルバムの評価を高めているのだと思う。
ジョニー・マーの知名度がザ・ザ(マット・ジョンソン)を上回って、可哀相な気がするがやはりマット・ジョンソンの
コンポジション能力あってこそだ。ほんの少しでも世に欺瞞を感じるなら必聴だろう。
PLEASE WAIT!