SEBASTIAN HARDIE

1967年、ピーター・プラヴシックがグラハム・フォードとセバスチャン・ハーディー・ブルーズ・バンドを結成、これが前身バンドである。翌年にはピーター・プラヴシックの実弟でもあるアレックス・プラヴシックが加入、更にはジョン・イングリッシュ、アナトール・コノノフスキーが加わり、バンド名をセバスチャン・ハーディーと改名。

1972年、ジョン・イングリッシュがミュージカルのため脱退し、活動停止状態へ。活動停止中、アレックスはタペストリーというバンドに加入、その後解散するが、そのタペストリーのスティーヴ・ダンを加え、セバスチャン・ハーディーが再編される。
19739月ラリー・ペイジのプロデュースによりデビュー・シングル「ALL RIGHT NOW」をリリース。
しかし同年
10月にはグラハム・フォードが脱退する。後任に、マリオ・ミーロが加入する。
74年に2枚のシングルをRCAからリリース。その後ポリドールと契約を結ぶ。
同年末には、スティーヴ・ダンが脱退し、後任にトイヴォ・ピルトが加入する。

様々な大物アーティストの公演サポートを務めながら、次第に彼等の知名度も広がり、1975年にはデビューアルバム「哀愁の南十字星」(FOUR MOMENTS)をリリース。
アルバムは好セールスを記録し、
1976年の翌年には驚くべきペースで2ndアルバム「ウインドチェイス」(windchace)をリリース。快作ながら期待されるほどのセールスをあげることができず、同年6月にはプラヴシック兄弟が脱退。
その後、マリオ・ミーロを中心に活動が続けられるが、プラヴシック兄弟の反発によりバンド名をウインドチェイスへと変更。
1977年「夢幻神殿」(symphinity)をリリース。しかし、同年解散している。

マリオ・ミーロはその後もソロで快作を連発させています。ちなみに、セバスチャン・ハーディーは1994年プログ・フェストにて再結成されている模様です。新譜は未発売?

MENU               BACK

一般的な洋楽においてイギリスとアメリカの先進性は抜き進んでいると思うが(しかしそれも単なる国の経済のデカさに寄るものかもしれない)、プログレッシヴ・ロックというフィールドにおいて国は関係ない。辺境の地であろうと、何であろうとそのお国柄を反映した素晴らしいバンドは必ずや存在したのである(多分)。
オーストラリアではこのセバスチャン・ハーディーが先ず第一番手に挙げられるかと思います(デイヴィッド・アレンは除く)。シンフォニック・ロック嫌いの人にはあまりお薦めしないですけれど、感動を味わいたいと言う人はシンフォとか関係なしに聴いてみてはいかがでしょう。ちなみに、2枚とも傑作です。

 

FOUR MOMENTS

MARIO MILLO -guitar,mandolin,vocals
PETER
 PLAVSIC -bass
ALEX
 PLAVSIC -drums,percussion
TOIVO
 PILT -moog,mellotron,piano,organ
PRODUCED
 BY JON ENGLISH
1975年発表の1st。邦題:哀愁の南十字星。
上記の通り、彼等の活動には紆余曲折あったが、ここにきてメンバーも固まり、1stアルバムでもある今作を発表した。そして、シングルとして「ロザンナ/哀愁の南十字星(EDIT)」がリリース。
サウンドはメロトロン、キーボードを主体としたシンフォニック・ロック直系。キング・クリムゾンの初期の頃の叙情性(FOUR MOMENTSの出だしなんかモロ)、イエスのようにストレート疾走を見せ、マリオ・ミーロのギター・ソロ等の個々の味わい、4つの楽章からなる大曲「FOUR MOMENTS」を始め、マリオ・ミーロが作曲した「ロザンナ」等聴き所が多い。非常に優れた部類に入るシンフォニック・ロックだろう。最後の曲が「OPENING」というのは構成上では意味がなく、マリオ・ミーロが加入し最初にセッションをしたのがこの曲という所からきている模様です。
FOUR MOMENTS  (哀愁の南十字星)
 
M1,GLORIES SHALL BE RELEASED  (グローリーズ・シャル・ビー・リリースト)
 
M2,DAWN OF OUR SUN  (夜明け)
 
M3,JOUNEY THROUGH OUR DREAMS  (ジャーニー・スルー・アワ・ドリームス)
 
M4,EVERYTHING IS REAL  (エヴリシング・イズ・リアル)
M5,ROSANNA  (ロザンナ)
M6,OPENING  (哀愁の南十字星)
その余りにもの感動の余り自分の器の小ささを知り、、、とまではいかないが、これほどまでに情景を美しく想起させるアルバムはそうはないだろう。かと言ってアンソニー・フィリップスのようなモロ涙腺直系型でもなく、オーストラリアの壮大な大地を想起させる叙情的でダイナミックなサウンドは非常に力強い。
その力強さとはまさしく「生きていて良かった」系で、多分に旅をする時出会う感動と似た種類のものであると思う。
とまぁ音楽とは何ら関係のない感想が次から次へと出てくるわけなのだが、テクニックや崇高なコンセプトが重要視されるプログレ・フィールドにおいてこういうストレートな音楽は嬉しくなってくる。更には、構成力も非凡である。旧A面を占める大作「FOUR MOMENTS」のメロトロンの使いっぷりも爽快かつ、ジェネシスやムーディー・ブルースに勝るとも劣らないインパクトを残す。サウンドはまさしくジャケットのような風景を想起させるもので、マリオ・ミーロのギターの素晴らしさは勿論のこと、ヴォーカルまでまるでこれらの曲を歌うためにあるようで、サウンドとぴったりと合い、さらなる美しさを呼ぶ。単に歌心溢れるメロディとは言い切れないほど、次から次へと情景描写が続く。傑作!

 

 

MENU                 BACK