PINK FLOYD

1965年、ロンドン工芸学校に通っていたロジャー・ウォーターズ(bvo)、リチャード・ライト(key)、ニック・メイスン(ds)等が結成していたシグマ6がピンク・フロイドの前身として知られている。そこに、美術学生シド・バレットが加わりピンク・フロイドが誕生した。

彼等は、ロンドンのアンダーグラウンド・シーンにおいてライト・ショウ(サウンドと照明の実験)を行い、イギリスのアンダーグラウンド・シーンの一線にすでに君臨する。
1966年にはレコード会社と契約を結ぶ。(契約金でアンプを購入したがすぐに盗難に合うという災難も。)1967年にはジョー・ボイドをプロデューサーに迎え1STシングルArnold Layne / Candy And A Currant Bun」(全英20位)でシングル・デビュー。
その後も彼
等は『トップ・オブ・ザ・ボトムス』(BBC)に出演したりと、積極的に活動を行う。さらに同年5月に「See Emily Play / Scarecrow」をセカンド・シングルとして発表、同年8月に「夜明けの口笛吹き」でアルバム・デビューを果たす。

2ndの録音に取り掛かるが、その頃すでにシド・バレットは精神の破綻に苦しんでいた。そして、シド・バレットが脱退し、デイヴィッド・ギルモア(g)が加わる。

その後の歴史は言わずと知れたもので、ピンク・フロイドはプログレシッヴ・ロックの代表格として、ニュー・ロックの担い手として君臨し続ける。(また日本では原子心母のライナー・帯にて始めてプログレなる呼称が定着)原子心母、おせっかいを始めとしヒットを連発、狂気にいたっては現在も計測できないほどのセールを獲得している。

その後も傑作を連発していくが、83年「FINAL CUT」発表後、ロジャー・ウォーターズが脱退しピンク・フロイドは一端解散の道へ。(THE WALL発表前にはリック・ライトも脱退している)

デイヴ・ギルモアを中心とし、1985年にはピンク・フロイド復活。(もちろん、ロジャーはいない)その後、「鬱」「対」とオリジナル・アルバムを発表するが、現在は長らくその動向は伝わってこない状態。

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嗚呼。早く活動して欲しいですよね。(ロジャーにしても)
とりあえず、フロイドです。聴いたことのない人はあまりいないと思いますが、これを聴かずしてロックが語れるか、というぐらいのビッグ・バンド。もちろん、私も狂気から入りました。最初はあまりピンと来なかったのですが、独特の浮遊感にいつの間にか陶酔できるようになっていました。ちなみに、お気に入りは「おせっかい」です。まぁ、当たり外れはほとんどないでしょう。ロジャー期(アニマルズ、ウォール、ファイナル・カット)は賛否両論ありますが。
演奏能力自体は他のプログレ・バンドと比べればあまり目につくところはありませんが、とりあえず彼らの魅力は1音1音が丁寧であること。その丁寧な1音を積み上げて行く構築能力にあります。まさしく、ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道です。

 

MEDDLE

ROGER WATERS -bass,vocals
NICK
 MASON -percussion
DAVE
 GILMOUR -guitars,vocals
RICK
 WRIGHT -keyboards,vocals
1971年発表の6th。邦題、おせっかい。
前作の原始心母から録音できるトラック数も倍に増え、音の連なりは非常に幻想的で壮大だ。その心地良さはこれぞフロイド、と呼べるもので彼等の代表作と同時に、個人的には最高傑作だと思っている。
その最高傑作という言葉は、M6のECHOESにほぼ集約されていると言ってもよいだろう。クレジット面では全員の名前が連なっている通り、彼等の集大成とも言える心地良さだ。(ロジャー色はあまり濃くない)構成力も然ることながら、リック・ライトのキーボードが何よりも素晴らしい。高度なテクニックがないというところが、やはりフロイドらしくて良い。そんなもの必要あるか、と他のプログレ・バンドを嘲笑うかのようである。
もちろん、他の曲も秀作揃いで聞き逃せない曲ばかりだと言う事は聞けば分かる。
M1,ONE OF THESE DAYS,(吹けよ風、呼べよ嵐) ご存知、プロレスラー、アブラドーラ・ザ・ブッチャーの入場曲でもあって、珍しくシングル・ヒットした。彼等のロックの面が如何なく発揮された名曲だ。
M2,A PILLOW OF WINDS,穏やかなアコースティック・フォーク作品。ギルモアのブルーズ・フィーリング溢れるギター音がひたすら心地良い。
M3,FEARLESS,この曲も実に牧歌的な佇まいを感じさせる曲だ。そう言えば、最近のスローコア・バンドのLOWがカヴァーしていた。曲の最後はサッカー・スタジアムの歓声。
M4,SAN TROPEZ,ロジャー一人による曲。ほのかな跳ね具合が心地良く、何やらひたすら能天気な曲だ。この辺りがこの時期の彼等の気持ちを表しているのだと思う。
M5,SEAMUS,(シーマスのブルース)犬の鳴き声とともに、ジャジーなピアノ、アコースティック・ギターによる洒落た曲。
M6,ECHOES, レコードB面を占める23分の大曲。とりあえず何も説明する必要はないだろう。構成力ばかりか、この曲の透明さには恐れいる。RETURN OF SUN OF NOTHINGというタイトルで発表前はライブで演奏されていた。
MEDDLEの意味は邦題の通り『干渉する』という意味。この干渉の仕方が実に心地良いのだ。前作の原始心母がクラシック的だったのに対し、今作はブルーズに根付いている。
ジャケットのような、静かな水面に水滴を1滴1滴落としていき、その1滴の水紋を静かに見つめているような感覚だ。4人がいるフロイドというのが一番分かる作品ではないだろうか。傑作!

 

FINAL CUT

A REQUIEM FOR THE POST WAR DREAM by ROGER WATERS
performed
 by PINK FLOYD

DAVID
 GILMOUR -guitar
NICK
 MASON -percussion,drums
ROGER
 WATERS -bass,vocals
with
MICHAEL
 KAMEN -piano,harmonium
ANDY
 BOWN -hammond organ
RAY
 COOPER -percussion
ANDY
 NEWMARK -drums on "TWO SUNS"
RAPHAEL
 RAVENSCROFT -tenor sax
and
 the national philharmonic orchestra
conducted
 and arranged by MICHAEL KAMEN

PRODUCED
 BY ROGER WATERS
JAMES
 GUTHRIE and MICHAEL KAMEN

FOR
 ERIC FLETCHER WATERS 1913-1944
1983年3月発表の12thアルバム。ファイナル・カット。
周知の通り、アニマルズ辺りからのフロイドはロジャー・ウォータースのほぼ独裁バンドとして機能してきた。このアルバムを発表して彼は脱退し、フロイドは活動停止状態となる。本家フロイドの最終作と言うより、ロジャーのソロ的な色合いが強い。元々はTHE WALLの2枚組みアルバムに漏れた曲ということで、ここにある曲はウォールに組み込まれていたはずの曲でコンセプト上も同一線上にあり、これを聴いてウォールが完結すると言われた。クレジットを見れば分かるように、リック・ライトはここではゲストとしても全く参加していない。
ここで聴かれるサウンドは、以前のフロイドと比べると輪郭がはっきりとしているし、言葉数が絶対的に多い。一つの映画を見るかのような構成は相変わらずだ。
このアルバムはロジャー・ウォータースの父親に捧げられている。
M1,THE POST WAR DREAM,
M2,YOUR POSSIBLE PASTS,
M3,ONE OF THE FEW,
M4,THE HERO'S RETURN,
M5,THE GUNNERS DREAM,
M6,PARANOID EYES,
M7,GET YOUR FILTHY HANDS OFF MY DESERT,
M8,THE FLETCHER MEMORIAL HOME,
M9,SOUTHAMPTON DOCK,
M10,THE FINAL CUT,
M11,NOT NOW JOHN,
M12,TWO SUNS IN THE SUNSET,
それにしても、なんて痛々しい声なのだろう、といつも思う。ロジャーの歌声はギルモアの声に比べると格段に力強いが、格段に儚く弱い。全てを憂いし者って感じだ。非常に終末的な切羽詰った感がある。
フロイドと聞いて想像するのは、歌よりもサウンドにあると思う。アニマルズ辺りから見せた社会風刺もこの辺りにきて、もうある種の哲学のようになってきている。だから言うまでもなく、このアルバムは歌のアルバムである。
個人的にはWALLより好きで、密かな愛聴盤だったりします。

 

 

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