PREMIATA FORNERIA MARCONI

1965年イタリア、ミラノにおいて結成されたQUELLIがその母体。
フランツ・ディ・チョッチョ、フランコ・ムッシーダ、フラヴィオ・プレーモリを中心に活動を行う。当時イタリアではイギリスのビート・サイケ・ブームの洗礼をモロに受けており、クエッリも当時はビート・バンドであったようでシングルも発表している。
そして、イギリスでプログレッシヴ・ロック・ムーヴメントが起こると同時にもちろんその火もイタリアへ飛び火した。その頃、丁度マウロ・パガーニがクエッリに加入し、プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ(以下PFM)が誕生する。

イタリアにおいて、プログレッシヴ・ロック・フォーマットはイタリアの良さを全開に表現できるシーンであった。PFMはキング・クリムゾンやELPに共鳴を覚え、これらグループと同じフィールドに立つことになる。
1971年『9月の情景』をファースト・シングルとしてリリース、翌年1972年1月フル・アルバム『幻想物語』でデビューを果たす。その後ELPが設立した『マンティコア』レーベルから、ピート・シンフィールド(ex.キング・クリムゾン)をプロデューサーに迎え、『幻の映像』で世界デビューを果たす(1973年)。

その後も、レディング・フェスティヴァルに出演したり(1973年)、PFMという名を世界に知らしめることになる。その後は『甦る世界』をイタリア語盤、英語盤でリリースしたりと(1974年)、彼らの活動はワールド・ワイドに広がってゆく。1975年には初来日も果たす。が、その公演後、マウロ・パガーニが脱退し、後任にグレゴリー・ブロックが加入し、1,977年『JET LAG』をリリースする。(マンティコアでは最後の作品)

その後、パンク・ムーヴメント到来とともに、イタリアのプログレ・シーンは急速に収束して行く。PFMもイタリア国内での活動に専念することになるが、フュージョンからポップへと音楽性も次第に変わって行く。1980年にはフラヴィオ・プレーモリが脱退し、ルーチョ・ファッブリが加入。その後はソロ活動がメインと化し、80年代は彼らにとって不遇の時代となった。

90年代中盤、あるテレビ番組のサウンド・トラックの制作がキッカケとなり、再びメンバーが集結。その後、1997年に待望の新作をリリースし、見事復活を果たす。現在も来日公演を果たしたり、活動中。

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イタリアにはもの凄いプログレ・バンドが山ほどいます。テクニックも然ることながら、土地柄を生かしたイタリアらしい音楽性が魅力でしょう。そして、その中でも突出した存在はと言うと、アレア、バンコ、オザンナ、そしてこのPFMです。(もちろん他にも沢山います)

特にPFMの叙情性は筆舌に尽くしがたい魅力を放っており、イギリスの有名なバンドと比べても全然見劣りしません。プログレが好きなら絶対に必聴です。
個人的にはもちろん、イタリア語盤を推します。イタリア語ははっきり言ってチンプンカンプンですが、この語の魅力は聞けば分かります。濃いです。とりあえず、1st(幻想物語)、2nd(友よ)を聴いて下さい。先日来日を果たした時のライブ音源『LIVE IN JAPAN』もベスト的な内容で、それでいて演奏テクニックも70年代と見劣りしないという完成された内容なのでこちらも強くお薦めしたいです。
CDはアレア等に比べると比較的簡単に入手できると思われます。多分。レコードも幻の映像を始め、比較的簡単に入手できますが、JET LAG以降はほとんど見ません。(ユニオンは知らないですが)

 

PER UN AMICO

FLAVIO PREMOLI -pianoforte,clavicembalo,organi hammond e pari,spinetta,mellotron,moog,campane e voce solista
FRANCO
 MUSSIDA -chitarra acustica,chitarra 12 corde,chitarra elettrica,mandoloncello e voce solista
FRANZ
 DI CIOCCIO -batteria,percussioni e voce
GIORGIO
 "FICO" PIAZZA -basso e voce
MAURO
 PAGANI -flauto,flauto contralto,piccolo,violino e voce
1972年発表のイタリア語盤2nd。邦題、友よ。
この時点で世界デビュー盤『幻の映像』はもちろん発表されていない。この作品をピート・シンフィールドがいたく気に入り、世界デビューの話に漕ぎ着けるわけで、『幻の映像』はこのアルバムをリ・アレンジして英語盤としてリリースされた。どちらが、好きかと言われれば迷ってしまうが、洗練度ならもちろん英語盤、イタリアらしい情緒を感じたいのならこちらを、と言う感じで個人的にはこちらの方が好きかもしれない。(うーん、でもやっぱり悩む。)
豪快+繊細、な演奏をするバンドはプログレ・バンドの中にも滅多にいないが、PFMがまさしくソレである。
(クラウディオ・ファビとPFMがプロデュース。)
M1,APPENA UN PO',ご存知の通り、『人生は川のようなもの』のイタリア語版原曲。この曲に関してはもう感動させられっぱなしで、言葉にするのも難しいのだけれど、とりあえずメロトロンの音一つとっても感動的なのだ。シンフォニック・プログレの頂点ながら、細かいアンサンブルの妙と豪快に演奏するハードな部分が合さった珠玉の1曲。まじで泣きます。
M2,GENERALE,
イントロから強烈な演奏の応酬だ。パガーニのヴァイオリンも強烈なインパクトを残し、全体的にクラシカルな響きに一貫している。ブレイクを挟み、曲が変わったかのようなマーチっぽいドラム。開いた口はそのままに、豪快にスピード感抜群に疾走して行く。
M3,PER UN AMICO,
叙情的なフルートの調べ、ピアノの神秘的な響きが絡み合うシンフォニックなナンバーである。煌びやかさ、優美さが散らばり、それでいて非常にパワフルなドラミングが支える。中盤はアコースティック・ギター、シンセが絡みクライマックス的な感動を迎える。最後はピアノ、シンセがテーマ部分を奏でる。
M4,IL BANCHETTO,
アコースティック・ギターをバックに優しいヴォーカルが乗る。その後は様々な楽器が入り乱れながら、終始凄い演奏が繰り広げられる。眩暈を起こさせるようなスリリングな演奏が主なのだが、言葉に表しがたい感動が待っているのはPFMの魅力。展開も凄い。後半のピアノ・ソロはクラシックそのもの。気品高くもロックに纏め上げる彼らの力量には脱帽させられる。
M5,GERANIO,
バロック調のアンサンブルに、ロマンティックな夢を見させるようなヴォーカル。この曲の展開もなんだか忙しないのだが、この驚異的な演奏能力の前にはただ呆然とするのみ。んで、やっぱり感動。
とりあえず、目まぐるしい展開が待ち受けている。息をつく暇もないほど。
豪快に、気品高く、1stより更に演奏能力を高め、それでいてこの叙情性。言葉がない。
イタリア語の響きが大変優しく、演奏の方はクラシック的なアンサンブルに重点を置いたもの。そしてロック的なダイナミズムを持って聞かせる大変味わい深い一枚である。嵐とともに感動を残せるのはPFMしかいない。名盤。もちろん、必聴!

 

COOK

FRANZ DI CIOCCIO -drums,percussion,vocals
JAN
 PATRICK DJIVAS -bass
FRANCO
 MUSSIDA -guitars
MAURO
 PAGANI -violin,flute
FLAVIO
 PREMOLI -keyboards,lead vocals
1975年発表のライブ・アルバム『クック』。
録音は甦る世界を引っさげたアメリカ・ツアー、1974年8月22日トロント、8月31日ニューヨークでのライブを収録。この(↑)アルバムは、マンティコア盤で、『COOK』(モータウンからもリリース)。イタリア盤では『LIVE IN USA』として(別ジャケット)発売された。
選曲は、『幻の映像』『甦る世界』のアルバムからで、当時のPFMの魅力、実力を余すところなく伝えている強力なものだ。
M1,FOUR HOLES IN THE GROUND,(原始への回帰) 甦る世界より。何よりもこの正確無比な演奏。開いた口が塞がらない。
M2,DOVE...QUANDO,,, 
(何処,,,何時,,,) 幻想物語より。イントロはエレピ・ソロから始まる。歌と絡まるパガーニのフルートのリリカルな響き。溜息が出ます。
M3,JUST LOOK AWAY, 
(通りすぎる人々) 甦る世界より。前曲から繋がるようにムッシーダのクラシック・ギター・ソロで始まる。スタジオ版と違ったドラムの入り方も感動的だ。
M4,CELEBRATION, including "THE WORLD BECAME THE WORLD"
(セレブレイション〜甦る世界〜) 幻の映像より。英語、イタリア語が混在して歌われている模様。途中、甦る世界のフレーズも引用しながらM1と同様、もの凄いテンションで演奏される。
M5,MR.NINE TILL FIVE,
(ミスター9〜5時) 幻の映像より。
M6,ALTA LOMA FIVE TILL NINE(including PFM's arrangement of rossini's "WILLIAM TELL OVERTURE", 
(アルタ・ロマ5〜9時〜ウィリアム・テル序曲〜 ライブ・オリジナル曲。ブルージーなギターや意外な面を垣間見させる。この曲のインタープレイも恐ろしく迫力がある。中盤、『ウィリアム・テル序曲』のアレンジが挿入されている。
このライブ・アルバムはスタジオ版を所有していても、聴く価値のあるアルバムだ。スタジオ版以上に迫力があり、スピードも感じられ、ダイナミックである。いや、スタジオ版と比べるのもおかしいぐらいに、独立したアルバムだ。インプロヴィゼーションからアンサンブルまで、彼等の能力をこれでもか、と言わんばかりに散りばめている。特にM1とM4は、このアルバムの価値を凝縮させたもので、圧巻のテンションで演奏される。M6はライブ・オリジナル。
バラードの美しさ、ロック的なダイナミズムはスタジオ版の3割増し。さすがとしか言えないような演奏能力。聴き終わった後の爽快感もPFMならではだ。欲を言えば、曲数を増やして2枚組みでリリースして貰いたかった。それでも、必聴!

 

 

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