PEKKA POHJOLA
フィンランドという国は時間が違うらしい。
住んでいる人々にとって、ものすごく緩やかな時間が流れているのである。
そんなわけか、このペッカ・ポーヒョラという人の作品もそんな彼独特の絶対的時間が
流れている。ウィグアムというバンドに在籍していたが、次第にソロへ移るようになる。
そんな一連のソロ作品は、魂の底から沸き立つような泉のような印象を受ける。
マイク・オールドフィールドとの交流もあり(現在はないらしい)、彼の作品と似たようなものを
感じる。(決して音楽が同じという意味ではなく、内向から発せられる光のようなもの)
PLEASE WAIT!
CHANGING WATERS
l
PEKKA POHJOLA -electric bass,electric drum,fills&bass synthesiser,piano
SEPPO KANTONEN -keyboards
MARKKU KANERVA -acoustic&electric guitars
ANSSI NYKANEN -drums
MARKKU OUNASKARI -drums
JUKKA POHJOLA -violin,
SUSANNE HELASVUO -violin
TEEMU KUPIAINEN -viola
MATTI POHJOLA -cello
TEEMU SALMINEN -clarinet,flute
1992年発表。
90年代以降の彼の作品の中でも最高傑作と名高い名盤である。
メロディ一つにしても熟練の域を感じるし、決して押付けがましくない。
心にそっと染み渡るような彼独特のアクセス感がただひたすら心地よい。
M1,BENJAMIN(introduction)、静かなピアノによる今作のテーマ部分が奏でられる。
ベースがメロディを奏でるように唸る。結構音が大きいはずなのに、溶け込んでいる。
壮大な幕開けである。M2,WALTZ FOR IiKKA(Iikan valssi),ワルツ調のピアノが
静かに踊るように奏でられる。幻想的な展開。フュージョン色もあり。
M3,INNOCENT QUESTIONS、不安げなピアノが印象的だが、まるで物語を奏でるように
展開してゆく。悲しみに溢れた感じだが、あまり感情云々の問題でもない。
M4,FANATIC ANSWERS,優雅なストリングスから今作では初のバンド然としたアンサンブルへ。
この曲は前曲に対する答えなのかな?不安げなチェロの旋律がクラリネット等と何やら怪しく飛び交う。
ギターが主導ながらも、時折挿入されるチェロが印象的だ。
M5,CHANGING WATERS,劇的な展開からはいるがその後は、これまで通りスピリチュアル度高し。
バンドっぽくなっても全く雰囲気はそのままに、まさしく水を入れ替えるような静的な動作だ。
M6,WALTZ FOR OUTI、M2と双子のような存在のワルツ曲。ヴァイオリン・ソロが非常に優雅。
M7,BENJAMIN、今作のテーマとでも言うべき曲に帰結する。M1との違いは、フィナーレを飾るかのような
バンド・アンサンブルに繋がるところ。感動的だ。
それにしても、全くのインストゥルメンタル曲なのに、ストーリーを感じずにはいられない。
音だけで語る典型的な作風だが、ペッカらしいスピリチュアルなメロディがなんとも言えぬ
感動を与える。
PLEASE WAIT!