THE MODERN LOVERS
JONATHAN RICHMAN

ジョナサン・リッチマンは、カルト・ヒーローとして、アンダーグラウンドのロッカーとして
存在してきたが、音を知る者としては何故これが売れないのだろう?と言いたくなるような
アーティストでもある。多分、ピーター・アイヴァースのような存在なのかもしれない。(音楽は違うけどね)
ジョナサン・リッチマンは、ヴェルヴェッツ・フォロアー(ファン)として有名で、自らモダン・ラヴァーズというバンドを率いて
70年から活動してきたアーティストである。最近では、デヴィッド・ボウイが『リアリティ』で「パブロ・ピカソ」を
カヴァーしたりして、注目されている。と、思う。(願望)


THE MODERN LOVERS

本作は、1stとして制作されたが、日の目を見ることが叶うのは、しばらく後で、
録音時期はバラバラ、プロデューサーもジョン・ケイルを始めとし、アラン・メイスン等様々な
人物の名がある。そして、それらのレコーディングをコンピレーションしたのが本作である。1976年発売。
(録音時期は1971年〜74年頃)メンバーは、デヴィッド・ロビンソン(drums),ジェリー・ハリスン(keyboards)、
アーニー・ブルックス(bass)、ジョナサン・リッチマン(vo,guitar)。アナログ時代は全9曲だったが、CD化の折に
ボーナス・トラックという形で徐々に追加されていった。

その後のパンク、ニューウェイヴを予感させる音ももちろんあるが、基本的にヴェルヴェット・ファンだった
ジョナサンの志向が覗える痛快なロックン・ロール・アルバムだ。
決して、B級ぽいマイナー・バンドの匂いは感じないし、それどころかその辺のメジャー勢の音は葬り去る勢い。

M1,ROADRUNNERは、孤独な自分を癒すのはカーラジオだけ、というやや自虐的な歌詞が痛快で、演奏の方も
軽快なロック。なんとも言えないのがやはり、ジョナサン・リッチマンのルー・リードを通過した色濃い吐き捨てる
ようなヴォーカルだろう。
M2,ASTRAL PLANEは、デヴィッド・ロビンソン(後のトーキング・ヘッズ)のキーボードが
ドアーズのレイ・マンザレクのような雰囲気を醸し出している。孤独な自分を慰めるような詩が非常に魅力的だ。
M4、PABLO PICASSOは、ボウイがカヴァーして有名になるが、ボウイによるパブロ・ピカソとは趣がかなり違う。
もっと退廃的な匂いがする。
M6、HOSPITALは、バラードなのだがこれが実に素晴らしい。この人の作品は明るいが、
奥の方に必ず虚しさ、悲しみが秘めているのが、ボディブローのように徐々に伝わってくる。
他の曲ももちろんそうなのだが、恋愛の歌詞にしたってどこか駄目駄目さが伝わり、やはり駄目駄目な私や、そういった
人間にとっては癒しっぽいものがあるのだろう。音に至っては、ヴェルヴェッツの影響はもちろんのこと、その他の音楽も
見事に消化されている。ボートラも素晴らしい。名盤!


 

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ROCK'N ROLL WITH THE MODERN LOVERS

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