MAGMA

フランスの暗黒巨星マグマ。
リーダーである
クリスチャン・ヴァンデは、ジョン・コルトレーンを師と仰ぎ敬愛していたが、
コルトレーンの死に絶望する。その後、突然神の啓示を受けマグマを結成する。(1969年のある春の日)
フランス語が彼等の創造する音楽に合わないとし独自言語『
コバイア語』を作る。また彼等はコバイア星から来たコバイア星人とも名乗っている。
彼等の音楽は、単なるロックでも何でもなく、オペラ、ジャズ、ロック、クラシック、現代音楽、民族音楽等が見事に昇華され、独自の巨大な音像を作り上げているのだ。
どちらかと言えば、スタジオ録音アルバムよりライブ・アルバムの方に絶対的なパワーがあるのも特徴の一つ。彼等の最高傑作はよくわからない。
とりあえず、聴いてみるしかない。 
地球よ、
これはあなたに関与することだ
地球の道理は破壊され、反乱は鎮圧された
実はあなたは、自分が理解できないものを破壊したのだ。
我々はその破壊が、あなたの身にふりかかるであろうことを知っている。
我々の音楽はあなたが無視したいと欲する"美"を立証し、
あなたの忌わしい進化を告発する。
時間と空間を越えたところの惑星KOBAÏ
Aが我々を待っている。
我々はその存在を、我々が目を開けた時、即ち数百万年も前から知っていた。
この地上で息もつけずにいる者達は後に続くがいい。
偽善者達に救いは無い!
地球よ!
あなたはすでに忘却の彼方にある。
(1stライナーより)

MENU               BACK

MAGMAを聴こうと思うが、どうも最初にどれを聴いていいのかわからない、という人のために。
まず、3rdのMDK、クリスティアンのソロ名義となっているトリスタンとイゾルデ、4thのコンタルコスのどれかを聞いて、LIVE!に入るのがいいかと。最初にLIVE!を聞いても良いとは思うが、よりLIVE!の衝撃度を高めようと思ったら先にスタジオ録音から入るのがいいと思われます。
尚、LIVE!、UDU WUDU,アタークはビクターから紙ジャケット版が出ているが、これは版権上、MAGMAに印税が入らないためSEVENTH版を聞くことを是非ともお願いしたいです。SEVENTH版は結構入手するのは大変ですが、
OFFICIAL通販か、DISK UNIONで買えます。やや値段が高いことが難点。
ビクター版は盤起こしという情報がありますが、詳細はどうなんでしょう。誰か教えて下さい。

 

 

MAGMA

CHRISTIAN VANDER -drumspercussion,vocals
CLAUDE
 ENGEL -guitarsflutevocals
FRANCIS
 MOZE -basscontrabass
FRANCIS
 CAHEN -piano
TEDDY
 LASRY -saxphonesoprano saxflutereed
RICHARD
 RAUX -alto saxtenor saxflute
ALAIN
 CHARLERY -trumpetpercussion
KLAUS BLASQUIZ -lead vocals
1970年発表の1st。邦題:マグマ/コバイア〜マグマ誕生。
記念すべきとは決して言えないものがある。なんとデビュー作にして2枚組みの大作。
後の片鱗を覗わせるサウンドが、ここではジャズ・ロックという一つのジャンルに収まりきることなく
暴れ始めている。
M1,KOBAÏA(コバイア)、後のライブ!でも取り上げられている彼等の重要曲(定番曲)だが
ここではそこまで重くはない。だが中盤からのアンサンブルは次第に暴走し、重さを兼ね備えてゆく。
サックスが暴れまわる。
M2,AÏNA(穏やかな楽しみ)ピアノ、サックスにより穏やかなジャズ・ナンバー。
オーソドックスなジャズ・ナンバーかと思いきや、次第にスピードを増してゆく。好曲。

M3,MALARIA
(惑星マラリア)、ピアノがメロディを奏で、言葉が放たれる。
次第に狂ったような感じになり、おもちゃをいじるかのようにサウンドが歪められてゆく。面白い。

M4,SOHÏ
A(ソイア)、怪しげな世界が交差するかのようにベースがリズムを刻む。フルートは幻想的。
ジャズ・ロックではあるものの何か不気味さが感じられる。
M5,SCKXYSS(離陸)、相変わらず
ピアノが不安げに鳴り響き、高速アンサンブルへ。ブラスキの歌唱も怪しく彩り、
コバイアへと向かう船の不安感が表れている(?)
M6,AURAË(着陸)、全曲の不安感がそのまま
この曲に繋がり、現代音楽風だったり、ジャズ・ロックのようだったり不思議な感覚に包まれる。
ヘンリーカウ等のチェンバー系に影響を与えているのではないだろうか。
2枚目に変わりM1,THAUD ZAIA(ザウド・ザイア)、フルートが不安気に幻想的に空気を支配する。サックスとブラスキのヴォーカルが重なり次第に重層的になってゆく。
物語の一部分を見ているような気持ちになってくる。
M2,NAÜ EKTILA(ナウ・エクティラ)、
アコースティック・ギターとフルートの叙情的(!)な雰囲気が覆い尽くす。
エレクトリック・アンサンブルに入ると何故か雰囲気は一転しご機嫌な演奏を聴ける。
パーカッション等によるインプロでフリー・ジャズのようになり、再びアコースティック・サウンドへ。
そして、前半に見られたビッグ・バンド・アンサンブルへ。さらに終盤アコースティックに帰結。
不思議な展開の大作だが、非常に短く感じられ普通に違和感がない。アコースティックの面には
初期クリムゾンのような音像を感じれる。

M3,STÖ
AH(破壊)、打って変わった雰囲気となり、叫び声から始まる。展開が
変わり続け、ヴォーカルを中心としたチェンバーぽい音へ。クラシックの影響も時折顔を出す。

M4,MÜ
H(ムーア)、幽玄なピアノと不思議なコーラス。叙情性を兼ね備えた落ち着き感から
アップ・テンポ調になったりと、これまで通りやはり一筋縄ではいきそうにもない。
ブルージーなギターが挿入されたり、確信犯的におちゃらけたりと本当に様々。面白い!
マグマはやはりMDK〜が有名なのだが、この1stこそマグマの持つ変態性が如実と
現れた作品である。後のマグマを垣間見させる部分ももちろんあるが、彼等の音楽知識が
ぶちこめられた変態的傑作だ。

 

 

MAGMA 2 1001°CENTIGRADES

KLAUS BLASQUIZ -vocalspercussions
FRANCOIS
 CAHEN -pianoelectric piano
FRANCIS
 MOZE -electric bass
CHRISTIAN
 VANDER -drumspercussionschorus
TEDDY
 LASRY -clarinetsaxflutechorus
JEFF
 SEFFER -saxbass clarinet
LOUIS
 TOESCA -trumpet
LOUIS
 SARKISSIAN -conduct
1971年発表の2nd。邦題:2〜摂氏1001℃。今作ではヨシコ・ジェフ・セファー、
フランソワ・カーンが加入し、彼らは後にZAO(ザオ)を結成する。マグマの初期の
重要人物である。尚、次作においても管楽器は使われているが、今作ほどインパクトはない。
1stの延長線上と言ってもよい、ジャズ・ロックを主体とするスタンスを取りつつも、クラウス・ブラスキスの
ヴォーカルを軸に、呪術的に展開したり後のアルバムをも予感させるものもある。
しかし、あまり過渡期のような印象もなく、ヨシコ・セファーのサックス等は充分力強く
ベースもヤニック・トップ、パガノッティに負けじ劣らずのなかなか太いリズムを聴かせてくれる。
尚、今作から後の大作主義を思わせる長尺な曲が3曲とマグマらしさは充分だ。
M1,RÏAH SAHÏLTAAHK(一人のコバイア人),所々、前作のようなチェンバーっぽさはあるものの
基本は後のマグマ・サウンドと言ってもよい内容だ。クラウス・ブラスキスのヴォーカルが呪文のように
怪しく軸として展開し、管楽器がアクセントとはなっているが、ヴォーカルを彩る印象が強い。l
疾走感を煽るピアノもマグマらしくて妙に高揚する。後半スピード感とともに爆発するが、その後の澄み切った
ピアノは美しいの一言だ。
M2,"ISS"LANSEÏ DOÏA("イス"ランゼイ・ドイア)、ベースが怪しくイントロを支配し、
次第に王道っぽいジャズ・ロックになる。ソフト・マシーンっぽさも覗える。しっかりとしたアンサンブルが主体では
あるが、所々怪しさ(怖さ)もしっかり醸し出している。
M3,KI ÏAHL Ö LÏAHK(キ・イアル・オ・リアク)
この曲もベース・ラインが非常に太い。これまでのようにジャズ・ロックを主体としながら、マグマらしい
呪術ヴォーカル、美しいピアノが印象的。後半カンタベリーぽい、エレ・ピが非常に優しい優雅な展開も。
ジャズ・ロック+お経+呪いと言ってしまえば、身も蓋もないが、単なるジャズ・ロックとは
全然違う。何より後のマグマにおいても見られるベース主導のリフがぐいぐいと引っ張るのが爽快だ。
ステラ・ヴァンデがいないので、ヴォーカル面では後の作品と比べるとやや弱いが、それでもクラウス・ブラスキスの
存在感は充分。クリスティアンのドラムももう確立されている。個人的には1曲目の印象が強く、特に所々聴かれる
フランソワ・カエンのピアノ、エレ・ピが後のヴァンデのピアノに影響を与えたと言っても過言ではないほど美しい。

 

 

 

MEKANÏK DESTRUKTÏW KOMMANDÖH

CHRISTIAN VANDER -drumsvocalsorganpercussion
JANNIK
 TOP -bass
KLAUS
 BLASQUIZ -vocalspercussion
JEAN-LUC
 MANDERLIER -pianoorgan
RENE
 GARBER -bass clarinetvocals
CLAUDE
 OLMOS -guitar
STELLA
 VANDER -organik kommandeuhr
TEDDY
 LASRY -brassorganik kommandeuhr,flute
brass
 section
chair
1973年発表の3rd。邦題:呪われし地球人たちへ(トゥーザムターク第3楽章)
マグマ史上ここからの3作が最も重要である。
Theusz Hamtaahk3部作の第3楽章にこのアルバムはあたる。
前作までの、ブラス・セクション主導によるジャズ・ロック態系は、ここでは
影を潜め、よりクリスティアン・ヴァンデが描くコバイヤ世界の真髄に迫る
ものとなってゆく。そしてそれが一般的なマグマのサウンドのイメージになっている。
このアルバムでは、ヤニック・トップの加入、ステラ・ヴァンデの加入が
凄まじく大きな要素としてある。クリスティアン・ヴァンデも認める超巨頭。
重圧で極太なベースでマグマ・サウンドの一翼を担う。
そして、このアルバムで圧倒的な比重を持つコーラス・ワークを支えているのが
ステラ・ヴァンデである。ステラ・ヴァンデ、クラウス・ブラスキー等の
オペラとも形容してもよいぐらいのコーラスがこのアルバムでのハイライトだ。
このアルバムは、7曲に分けられているが事実上1曲。
HORTZ FUR DEHN STEKEHN WEST(呪われし人種、地球人),不気味なミディアム・テンポで
曲は進行する。それぞれのヴォーカルが呪術的に語り合うかのように交信。
ブラスもテーマ部分を不気味に彩る。(ブラス・セクションは今作まで)
頭がおかしくなるぐらいに、執拗なまでのコーラス・ワーク。
IMA SURI DONDAI(永遠の黙示あらば)、ピアノが軽やかに彩る。
呪文のように、イマ・ソリ・ドンダイ!と繰り返される。演奏はテンポよく
疾走感は凄まじく、緊張感溢れるジャズ・ロック+オペラ。
水の中に頭を突っ込まれた状態で聞いているようで息苦しい。
KOBAIA IS DE HUNDIN(惑星コバイア)、前曲より連なり、ますますピアノの
テンポがアップし、ここまで来ると笑えてくる。
DA ZEUHL WORTZ MEKANIK(賛美歌)、
レコードではA面終了のせいか、前曲がフェード・アウト。いきなりコーラス。
駄目押し。『またか!』と笑ってしまった。しかし、ここまで来ると人間慣れてくるもので、
本当に賛美歌のように聞こえてくるのも事実。。。ステラ・ヴァンデの奇声とも言える声も
実に溶け込んでいる(笑)。途中のギターソロも巧みに曲を盛り上げる。(あまり目立たないが)
NEBEHR GUDAHTT(救世主「ネベヤ・グダット」)、物語は佳境へ向かう。ピアノを中心とした
アンサンブルもやや落ち着きを取り戻し、コーラスも重厚より、個人個人へシフト・チェンジ。
叫び声も混じりながら、疾走感を加え音圧アップ。
MEKANIK KOMMANDOH(地球文明の崩壊)、執拗なコーラスが不気味に反復。
焦燥感に駆られ、息苦しさは増大。そして、一気に大爆発。全てが一体となり襲いかかる。
KREUHN KOHRMAHN LSS DE HUNDIN(森羅万象の聖霊「クロイン・クォアマーン」)
前曲での崩壊を受け、静謐なピアノ、鎮魂にも似たコーラス。
開いた口が塞がらないとは正にこの事。
圧倒的な演奏テンションと、執拗なまでのコーラス陣。
ヘッド・フォンで聴くと頭がおかしくなります。

 

 

TRISTAN ET ISEULT
film d'Yvan Lagrange
MUSIQUE
 ORIGINALE DE CHRISTIAN VANDER
WURDAH ÏTAH

KLÖTSZ ZASPÏAAHK UNIWERIA ZEKTKLAUS BLASQUIZ) -vocals, percussion
TAUHD
 ZAÏA UNIWERIA ZEKTSTELLA VANDER) -vocals
WAHRGENUHR
 REUGEHLEM へëSTEHJANNICK TOP) -bass
ZÉBËHN
 STRAÏN  GEUSTAAH UNIWERIA ZEKTCHRISTIAN VANDER) -pianoelectric pianovocalsdrums
1974年発表。邦題:トリスタンとイゾルデ〜地球の終焉。
名義はクリスティアン・ヴァンデ。映画『トリスタンとイゾルデ』に
無断で使われ(多分ライブ音源)、急遽スタジオ・レコーディングされた。
クレジットも見てもらえば分かる通り、全員変名(コバイア語)である。
内容は、
Theusz Hamtaahk3部作の第2楽章。メンバーも4人となりシンプルな編成だが
サウンド自体は、これが4人?とばかりのマグマらしいサウンド。前作と同様、曲は12トラックに分割されてはいるが、事実上1曲。
M1,MALAWËLËKAAHM(INCANTATION)(呪文)、Theusz Hamtaahk第1楽章と酷似しているイントロ。
ピアノを根幹に、これぞ、マグマのオペラ・コーラスが怪しく呪術的に広がる。トップのベースもブンブン言っている。

M2,BRADÏ
A DA ZÏMEHN IËGAH(L'INITIE A PARLE)(秘伝を授し者の語り)、ほとんど呪文のような
色濃いブラスキスのヴォイスが印象的。ピアノもミニマルに怪しく彩る。

M3,MANË
H FUR DA ZËSS(ENSEMBLE POUR LE MAITRE)(支配者の為のアンサンブル)、
躍動感とともに、次第に盛り上げるピアノがここでも印象的。

M4,FUR DIHHË
L KOBAÏA(POUR LA VIE ETERNELLE)(永遠の生命に捧ぐ)、頭から離れないような
コーラス、焦燥感に駆られるピアノの連打、次第にエネルギーが加わるかのようにアンサンブルが拡大。

M5,BLÜ
M TENDIWA(L'AME DU PEUPLE)(民衆の魂)、静寂が訪れるが、コーラスとともに疾走感が加わる。再び静寂。
M6,WOHLDÜNT MëM DËWËLËSS(MESSAGE DANS L'ETENDUE)(無限からの宣託)、軽やかなピアノ
とともに、今作で一番印象に残るコーラス。(頭から離れなくなること請け合い)

M7,WAÏ
NSAHT!!!(EN AVANT)(前進!!)、打って変わって、やたらコミカルなヴォイスから始まる。
M8,WLASÏK STEUHN KOBAÏA(ASCENSION VERS L'ETERNEL)(永遠へのアセンション)、コーラスを軸に
後半、圧倒的なピアノのシングル・ノート。圧巻。

M9,SË
HNNTËHT DROS WURDAH SÜMS(LA MORT N'EST RIEN)(死は虚無に非ず)、
焦燥感、疾走感を連れコーラスが拡大。電波のようなピアノが面白い。

M10,C'EST LA VIE QUI LES A MENES LA!(same)
(命に導かれし者達)、
前半に使われた(?)コーラス、フレーズを引用しながら、ハイライトとも言えるような緊張感。

M11,Ë
K SÜN DA ZËSS(QUI EST LE MAITRE?)(支配者の名は?)、ピアノ・ソロから
始まる。やけに終末感のような緊迫した雰囲気で進行。

M12,DE ZEUHL Ü
NDAZÏR(VISION DE LA MUSIQUE CELESTE)(聖なる音楽のヴィジョン)、
前曲の緊迫感を引き継ぎながら次第に胸の高まりを覚える。
前作が大々的な編成だったのに対し、今作はクリスティアンのピアノを軸に
コーラス主体のシンプルなサウンド。しかし、シンプルとは言ってもあくまでマグマの中で。
強烈な緊張感は何ら変わってはおらず、やはり代表作にして傑作。
クリスティアン・ヴァンデのピアノの力量も圧倒的。

 

 

KÖHNTARKÖSZ

CHRISTIAN VANDER -drums,vocals,piano,percussions
JANNICK
 TOP -basscellovocals,piano
KLAUS
 BLASQUIZ -vocalspercussions
GÉRARD
 BIKIALO -pianos,yamaha organ
MICHEL
 GRAILLIER -pianos,clavinet
STELLA
 VANDER -vocals
BRIAN
 GODDING -guitar
1974年発表のマグマとしては4thアルバム。トゥーザムターク三部作はひとまず休止(?)になり、あらたにコンタルコスと呼ばれるマグマの中でも重要な作品に取り掛かる。コンタルコスにはNO1,2、3があり、本作はNO3で、NO1,2は残念ながら未発表らしい。(解説より)ご存知の通り、本作はあの『LIVE!』においての超名演コンタークのスタジオ原曲である。ライブと比べてしまうと若干パワー不足は否めないが、それでも充分重い。特にトップのベース、ブラスキス、ステラ・ヴァンデ等コーラス陣のパワーは確実にマグマ・サウンドの要になっている。本作には、コンタルコス以外にもトップ作曲による名曲『オルクの警告』や、クリスティアンによるコルトレーンに対する鎮魂歌『永遠のコルトレーン』も入っている。
M1,KÖHNTARKÖSZ part one(コンタルコス、パート1)、ハマタイ!は入っていないが、爆発を起こし始まる。コーラス陣の執拗なヴォーカルや、クリスティアンのライブ!程ではないがダイナミックなドラミング、トップの分厚いベースが絡み合う。時折カンタベリーらしさを感じるのは私だけでしょうか?
M2,KÖHNTARKÖSZ part two(コンタルコス、パート2)、クライマックスに雪崩れ込むPART2.それにしても全ての楽器が一体化して強迫観念にも似た喧騒を突きつけてくるのは何ともいえぬ快感を味わう。ピアノの美しい響きもかなり効果的だ。M3,ORK ALARM(オルクの警告)、ベースがアラームのように低く木魂し、恐ろしく暗いブラスキスのヴォーカルもかなり怖い。ミッシェル・グライユのクラヴィネットの脅迫的な響きも良い。地獄からの警告。M4,COLTRANE SÜNDÏA(永遠のコルトレーン)、クリスティアンによるかなりストレートで美しいコルトレーン哀歌。美しさと重さを両方兼ね備えたような曲で、かなりスピリチュアルな雰囲気で一貫している。
それにしても、トップのベースの歪み具合は本当に唯一無二だ。このスタジオ版コンタルコスももちろん捨て難いが、ライブにおいてコンタルコスは真価を発揮する。数々のライブ盤にて聴けるので聞き比べてみるのも一興かも。私は、ライブ!を先に聞いてしまったので、本作を聴いた時は正直アレッと思ったが、細かな美しさを配した本作も今ではかなり愛聴盤になっている。本作を聴いてからライブ版に入るのをお薦めする。そっちのほうが、ライブ版の衝撃が強いだろうから。まぁ、どちらにせよオルクの警告や永遠のコルトレーンが入っているので買いには間違いない。 

 

 

HHAÏ/LIVE

CHRISTIAN VANDER -drums
KLAUS
 BLASQUIZ -vocals
STELLA
 VANDER -vocals
BERNARD
 PAGANOTTI -bass
GABRIEL
 FEDEROW -guitar
DIDIER
 LOCKWOOD -violin
BENOIT
 WIDEMANN -keyboards
JEAN-POL
 ASSELINE -keyboards
1975年発表のライブ・アルバム。録音時期は1975年6月1日〜5日に行われたパリ、オリンピアでのライブを中心に選曲されている。(DISK2のM1〜M3の3曲のみノイズが多かったため録り直された)周知の通り、このライブこそがマグマの真髄である。ライブで驚異的なパフォーマンスを繰り返してきたが、特にこのアルバムに収録された曲群は今でも彼らの最高傑作としてその名を残している。ヤニック・トップが脱退し、ベーシストにトップに負けじ劣らずのベルナール・パガノッティ、そしてヴァイオリンに当時まだ17歳(!)のディディエ・ロックウッドの加入が大きな要素としてある。
内容の方はと言えばもう'最強'という言葉しか思い当たらない。極上のテンションに突き動かされた各メンバーの圧倒的なプレイの応酬だ。特にブラスキスとステラ・ヴァンデのコーラスは本当に2人か?と思わせるような重いもので、クリスティアン、パガノッティのリズム隊もかつてないほどの緊張感、重さを兼ね備えたプレイである。この8人編成による音はもう、あらゆる音楽的概念をも吹っ飛ばす強力な音だ。もう同じような事しか書けないので本当に聴いてもらうしか術がない。まじで聴いて。
M1,KÖHNTARK(PART1)(コンターク、パート1)、ハマタイ!の掛け声とともに始まる超エクスプロージョン! 執拗なコーラスとともに迫る音圧は凄いものがある。クリスティアンのドラムも最も手数が多い気がする。パガノッティの地べたを這いずり回る重低音ベースも高圧的。フェード・アウトして終わるのが勿体ない。
M2,KÖ
HNTARK(PART2)(コンターク、パート2)、美しいジャズ・ロックから始まる。PART2でのロックウッドのヴァイオリン・プレイは本当に凄い緊張感に包まれている。クライマックスへと雪崩れ込む渾然一体となった演奏は手に汗握るものだ。ヴァイオリン、ベース、ドラムのバトルとも言えるようなプレイは眩暈がする。スタジオ盤がピアノのリリカルな響きもあり美しさが印象的だったが、この盤の演奏は得も言われぬ緊張感、圧迫感に終始している。
M3,ËMËHNTËHT-RÊ(黙示)、美しい(怖い)コーラスとドラムが彩る序盤、呟きヴォーカルと細かなドラミングが物語りを作っていくよう。
M1,HHAI(ハーイ)、ヴァンデヴォーカル(?)によるかなり美しくスピリチュアルなジャズ・ロック。中盤のキーボードとドラミングの絡みは実に心地良い。後半は次第に大々的な演奏になりクライマックスを迎える。
M2,KOBAH(コバイア)、1stに収録されていた原曲とはやや印象が違う。歌が中心なのだが、ロックウッドのヴァイオリンがかなり力強く印象に残る。
M3,LIHNS(リーンズ)、M1と同様ややおとなしめの美しい響きが印象的だ。コーラスが頭から離れなくなる・・・ひそかにベースが重い。
M4,DA ZEUHL WORTZ MEKANIK
(賛美歌)、MDK収録で今作ではメカニック・ザインに繋がるようにCD化のさいに追加された。DISK2ではややおとなしく聞かせていた演奏もここで結構ヒート・アップ。できることならMDKは前曲収録して欲しかったが。。脅迫なヴォーカル、ヴァイオリンがクライマックスへの道を作る。
M5,MËKANÏK ZAÏN(頭脳機械)、強烈なパガノッティのベース音から始まる。時空をも切り裂かんばかりのベースだ。次第にロックウッドのヴァイオリンが主導剣を握り、ソロを展開する。バックでは超高速でもの凄い演奏を繰り広げている。最大の聴き所と言わんばかりの迫力、緊張感だ。こんな演奏目の前で見れたらどんな気分だろう、、と想像してしまう。最後のコーラスでももちろん最高潮。
目玉はやはり、コンターク(PART1,2)とメカニック・ザインだろう。M3も新たなマグマの創造でスタジオ録音は未発表ながら重要曲でもある。何度も同じことばかり書いて申し訳ないが、本当に血管がぶちぎれるぐらいのハイテンションさなのだ。ロック、クラシック、オペラ、ジャズをも超えた世紀の大名演!大音量で聴くべし!必聴!!ギャース! 

 

 

ÜDÜ WÜDÜ

JANIK TOP -bass,horns arrangement
CHRISTIAN
 VANDER -percussions,solo voice,vocals,keyboards
KLAUS
 BLASQUIZ -vocal
MICHEL
 "MICKEY" GRAILLIER -piano
STELLA
 VANDER -vocals
LUCILLE
 CULLAZ -vocals
"LISA"
 -vocals
CATHERINE
 SZPIRA -vocals
PIERRE
 DUTOUR -trumpets
ALAIN
 HATOT -saxes,flutes
BERNARD
 PAGANOTTI -bass,vocalspercussions
PATRICK
 GAUTHIER -piano,synthetizer
JANIK
 TOP -bass,fret-cello
1976年発表の5thアルバム、邦題:未来からの鼓動〜ウドゥ・ヴドゥ。
ベルナール・パガノッティ、ヤニック・トップの二人が混在する時期的には過渡期の感は否めない。これまでのマグマとは違い方向転換を図っており、ファンク・サウンドが聴ける。(M1に顕著)またM2,WEIDORJEは、パガノッティ作の重要曲でヴィドルジュ結成に繋がる。なんと言っても白眉なのが、M6,DE FUTURA(デ・フトゥーラ)だろう。これほどまでのヘヴィネス感は他に知らない。単調なフレーズを繰り返すような形だが、これが本当に飽きない。そして、もの凄い緊張感だ。ヤニック・トップの面目躍如と言うか、最高傑作と言っても過言ではない。(ちなみに、トップはオークの太陽と併せ2曲本作に提供している。)この後、先述した通り、パガノッティが脱退しヴィドルジュ結成に動きMAGMAは一端活動を停止させられることになる。その後のMAGMAはご存知の通り、スピリチュアル色、ファンク色を濃くしてゆくわけだが、それを考えれば本作はヘヴィネス・マグマとファンク・マグマの重要な掛け橋になっていることは間違いない。
M1,UDU WUDU(ウドゥ・ヴドゥ)、かなり驚くMAGMAの変化。サックスとコーラスを主体としたようなジャズ・ロック。かなりアップ・テンポの曲でこれまでの不気味さ、怖さは皆無で妙に清々しい感すらある。
M2,WEIDORJE(ヴィドルジュ)、これまでのMAGMAを覗わせるような怪しい曲なのだが、ピアノの美しさもあり、あまり仰々しい怖さはない。これを聞けばパガノッティのベースがトップにも負けないことが分かるはず!
M3,TROLLER TANZ(亡霊の踊り)、トップのベース音が強烈。メロディ自体はB級ホラーに使われていそうなもので、本当に亡霊かなんかが出てきそうなおどおどしさ。ブラスキスのヴォーカルは結構アップ・テンポでファンク的。
M4,SOLEIL D'ORK(ork's sun)(オークの太陽)、中近東ぽさが蔓延したお経ぽい作品。御香を焚いて聞きましょう。ベースがかなりファンク。
M5,ZOMBIES(ghost dance)(死霊の群れ)、死霊の群れなんていうオドオドロしいタイトルながらも、ファンクが注入されたようなノリもあってかつてのMAGMAほどの強烈なものはない。しかし、ヴァンデのドラミングはデ・フトゥーラに繋がるような激しさがある。ベースもデ・フトゥーラへの予行演習みたいな重さ。
M6,DE FUTURA(デ・フトゥーラ)、B面に配せられた18分の大曲デ・フトゥーラ。とりあえず、リズム・セクションだけでここまで引っ張る作品は他にない。ヴァンデ対トップ。ゴジラ対キング・ギドラ。コーラス、ヴォーカルも怪しさを助長するだけのような役割で、かなりチープなシンセも変に曲の凄みを上げている。18分間常に緊張感があり、曲の展開があまりないのにも関らず、これだけの圧迫感。これを聞かずしてMAGMAは語れない。
M7,ËMËHNTËHT-RÊ(黙示)、CD化の際に追加。こちらはスタジオ録音?
デ・フトゥーラがあまりにも凄すぎて、どうも本作ではデ・フトゥーラばかりが注目されているが、他の曲もこれまでのマグマの先入観を取り払えば、普通に素晴らしいジャズ・ロックだ。個人的にはマグマの中でも上位を争うほど好きな作品で、これを聴くたびに興奮する。眠気対策、受験勉強対策にどうぞ。 

 

 

INEDITS

KLAUS BLASQUIZ -chant,percussion ON 1,2345,6
RENÉ
 GARBER -chant,clarinette basse ON 5,6
LOUIS
 TOESCA -trompette on 5
TEDDY
 LASRY -saxophone soprano,divers vents on 5
JEFF
 SEFFER -saxophone tenor,divers vents on 5
DIDIER
 LOCKWOOD -violin on 3
GABRIEL
 FEDEROW -guitar on 3
CLAUDE
 OLMOS -guitar on 1,4
MARC
 FOSSET -guitar on 6
JEAN-LUC
 MANDERLIER -claviers on 5,6
MICHEL
 GRAILLIER -claviers on 1,24
BENOÎT
 WIDEMANN -claviers on 3
JEAN-POL
 ASSELINE -claviers on 3
FRANCOIS
 CAHEN -claviers on 5
GÉRARD
 BIKIALO -pianos on 1,246
JEAN-PIERRE
 LEMBERT -basse on 6
JANIK
 TOP -basse on 1,24
BERNARD
 PAGANOTTI -basse on 3
CHRISTIAN
 VANDER -batterievoix on 1,2345,6
1977年発表の未発表音源ライブ集。邦題:幻の音像。
時期的には初期から中期(1972〜1975)とバラバラで(ブラスキス選曲?)、未発表ライブ音源をまとめてリリースしたもの。どうやら、金に困ったメンバーがこのテープを業者に売ってしまったことが発端らしく、音質もブート並と言わざるを得ない。CD化が最も遅れたレコードでもある。
では、クリスティアン・ヴァンデが『MAGMA初の海賊版』と呼ぶような、このアルバムが何故これまで重要視されてきたのか、それはここでしか聞けないヤニック・トップ作曲の曲があるからだ。(M1,M2)トップはヴァンデ自身も認めるMAGMAの中でも最も自己主張のあるベーシスト。そのトップ作曲の2曲は単なるドキュメントとしてではなく、強烈な自己主張の元に聳え立つ紛れも無いMAGMAの重要曲とも言える。
M1,SOWILOÏ+KMX−E]U−opus3(休息+KMX−E]U 作品3)、1974年録音。美しいエレ・ピの音色に始まる。ヴァンデの解説通り、MDKあたりに聞かれていたリリカルなピアノの音色を思い出す。次第にトップ作曲の作品3に移ってゆく。トップのベースがまるでギターのような主張を持っている。
M2,KMX−B]U-opus7(KMX-B]U 作品7)、1974年後半の録音。作品3と同じ源を持つ音源。ヴァンデ自身が語るようにトップはこの頃頂点に達していた。
M3,OM ZANKA(聖なる太陽)、75年当時のLIVE!と同編成。7拍子のMAGMAの原点でもある躍動するリズム。結構美しいジャズ・ロック。
M4,GAMMA(ガンマ)、73年6月録音。かなりノリの良いジャズ・ロック小品。ギターが珍しく主導権を握る。カンタベリーらしさも。
M5,TERRIEN SI JE T'AI CONVOQUE(呪われし地球人たちへの提言)、72年6月の録音で2nd〜3rdあたりの編成。フェード・インしながら始まるブラス主導のジャズ・ロックから宗教ぽさ溢れる部分へ。
M6,GAMMA ANTERIA(ガンマ・アンテリア)、73年2月録音(MDKあたり)。執拗なヴォーカル、脅迫的なピアノによるジャズ・オペラ・ロック。
トップはウドゥ・ヴドゥ発表後ツアーへと出るが、その途中で脱退してしまう。その後が見たかったのは私だけではないだろう。今はただ、こう言った音源を聞くことができるのみだ。うーん。。
それにしても、音質はもうちょっとなんとかならのかったのかな・・・(そして、音源が編集されすぎ!)
この作品を聴くのは、かなり後回しでいいと思います。

 

 

ATTAHK

   

TONY RUSSO -trumpette
JACQUES
 BOLOGNESI -trombone
ZEBËHN
 STRAÏN DE GEUSTAAH STÖHT WURDAH GLAÖ -chant solo,batterie,percussion,grand piano,rhodes,chamberlin
STOHT
 URGON -basse terre
WURD
 GORGO -basse air
KLOTZ
 ZASPIAAHK -choeurs
KAHAL
 NEGUMURAAHT -grand piano,rhodes,mini moog,oberheim polyphonique
THAUD
 ZAIA -choeurs
SIHNN
 DAE WELESS -choeurs
1978年発表の6thアルバム。邦題:ウルゴンとゴルゴ〜アターク〜
ウドゥ・ヴドゥ発表後、MAGMAは一時解散の道に追いやられるが、クラウス・ブラスキスとクリスティアン・ヴァンデが中心となり再編。コンセプトは、『善と悪』二つの人格を持つウルゴンとゴルゴ。ベースのギ・ドゥラクロワが一人二役をこなしている模様。よく分からないが。
サウンド面は、前作ウドゥ・ヴドゥでも顕著であったファンク・マグマである。当時クリスティアンはソウル・ミュージックに傾倒していたらしく、そのあたりのスピリチュアル性が如何なく発揮されたアルバムである。前作はデ・フトゥーラという暗黒マグマ作品が収められてはいたが、今作は全曲がコンパクトになり、その辺がこの作品をあまり評価の高くないものにしているようだ。しかし、かつてのマグマの攻撃性と現在進行形のファンクっぷりがぶちこめられたM1,最後の7分間はマグマの中でも重要曲である。
今作では、クリスティアンが積極的にヴォーカルに参加していることから、ブラスキスは裏役に回っている。そして、この後ライブを挟み、ブラスキスはMAGMAを去ることになる。
ちなみにジャケットはH.R.ギーガー。

上記のクレジットでは分かりづらいので。クリスティアン・ヴァンデ(ds、p、vo)、ギ・ドゥラクロワ(b)、クラウス・ブラスキス(vo)、ブノワ・ヴィデマン(kb)、ステラ・ヴァンデ(vo)、リザ・デュラックス(vo)
M1,THE LAST SEVEN MINUTES(最後の7分間 《1970-1977第1段階》)、これまでのMAGMAの激しさを垣間見れるようなリズムに、ファンク的ノリに彩られたヴォーカル(コーラス)が乗る。僅か7分間の中にこれでもか、と言わんばかりの激しさ、ハイ・テンションさが心地良い。ヴォーカルがかのデメトリオ・ストラトス並に強烈。
M2,SPIRITUAL(魂)、美しいピアノがタイトル通り、スピリチュアルな響きを感じさせる。ヌケのいいスネア音が心地良い。コーラスがかなりファンキー。黒っぽい。
M3,RINDAe(東方)、祝福を受けるかのような美しいコーラス。溜息が出る。
M4,LIRIÏK NECROMICUS KANHT(ウルゴンとゴルゴの出会い)、ハイ・スピードで疾走する。ヴォイスが全く何を言ってるかわからない!凄まじい早口。
M5,MAAHNT(内に秘めたる力)、相変わらずのハイ・テンションなドラム。何気にドゥラクロワのベースもぐわん、ぐわんうねっています。 
M6,DONDAI(永遠の愛)、このアルバムでも1,2を争うほど美しい曲。まるで違う世界に入ったかのような神秘的な曲だ。
M7,NONO(ノノ 《1978第2段階》)、ヴォーカルを軸に展開する。タイトル通り、M1がこれまでのMAGMA集大成なのだとすれば、これはこれからのMAGMAを表す曲と言ったところか。ノリやすい演奏(でも濃い)に、ファンク色充分なヴォーカル。かなりポップで驚く。
格好良さと美しさが同居したアルバムである。以前の暗黒臭はすでに感じられないが、爽快感のあるMAGMAも良い。暗黒MAGMAが受け付けなかった人には良いかもしれない。
実は、スタジオ録音の中でクリスティアン・ヴァンデのドラムは一番凄いんじゃ、と思わせるぐらいにハイ・テンションで痛快で格好良い。あと、ドゥラクロワのベースも『俺をなめるなよ』と言っているようで凄い。結局はMAGMA歴代のベーシストは全員凄い、と。

 

 

RETROSPECTÏW T&U

KLAUS BLASQUIZ -chant
STELLA
 VANDER -chant
LIZA
 DELUXE -chant
CLAIRE
 LABORDE -chant
MARIA
 POPKIEWICZ -chant
DIDIER
 LOCKWOOD -violin
GABRIEL
 FEDEROW -guitare
JEAN
 LUC CHEVALIER -guitare
PATRICK
 GAUTHIER -claviers
BENOÏT
 WIDEMANN -claviers
BERNARD
 PAGANOTTI -basse
CHRISTIAN
 VANDER -chant,claviers,batterie
1980年発表のライブ・アルバム。レトロスペクティヴT&U。1980年6月の『マグマ生誕10周年』の三夜に渡って行われたコンサートを収録したもの。かつてのマグマのメンバーが参戦し、12人による超重厚な編成。このレコード(CD)には僅か2曲(CDは2枚組)ながら、トゥーザムターク第1楽章が収められていることもあり、かなり重要なライブ・アルバムだ。そして、トゥーザムターク3楽章の中の最終楽章第3部作目のM.D.Kが収録されている。
トゥーザムタークの第1部はスタジオ録音されていない唯一の楽章で、ライブでは頻繁に演奏されているものの本作発表まで正式には謎のままだった。RETROSPECTIWVの方で後述するが、このライブは過去のマグマとの決別と未来への序章でもある。ここに録音されている音は、過去の重く重厚なMAGMAの姿がある。出きれば、このコンサートでの音源を全部聴きたいところだが・・・
M1,THEUSZ HAMTAAHK(1er mouvement)(究極の瞬間〜トゥーザムターク第1楽章)
トリスタンとイゾルデ(第2楽章)と同じようなフレーズから始まる。その後お経のような語りが静かに続き、非常に緊迫感のあるコーラスへと続く。美しさも兼ね備えながら、妙にパワーみなぎるコーラスがその後の物語を示している様。キーボードのリフレインが緊張感を煽り、そういった機械的な反復、同フレーズの多用がやや目立つが、全く飽きさせず、緊張感に終始している。中盤から後半にかけてからは再び、コーラスを中心とした演奏になる。かなりスピードが上がり、コーラスのバックでは超絶技巧の応酬である。特にパガノッティのベース音がひたすら耳につく。もの凄い唸り具合、スピード感で強烈だ。ハットフィールドをマグマ版にしたようなスキャットも聴ける。中盤から後半にかけてはかなり強烈な演奏で身震いする。36分という長さなので、曲紹介もとりとめのないものになったが、雑感としてはキーボードがかなり活躍している印象。第2楽章、3楽章に負けじ劣らずの内容でスタジオ録音されていないのが非常に悔しい。
M2,MEKANÏK DESTRUKTÏW KOMMANDÖW(3er mouvement de THEUSZ HAMTAAHK)(呪われし地球人達へ〜トゥーザムターク第3楽章)
スタジオ原曲とは違い、エレ・ピのフェード・イン、女性人のスキャットで物語が始まる。(個人的にはこちらの方が格好良くて好き)お馴染みのMDKのリズムが加わり、語り(訴え?)が続き、『メカニック!デストラクティヴ!コマンドウ!』という掛け声とともに始まる。曲の展開としては、基本的に原曲と同じだが、コーラスがより重厚的になり、ホーン・セクションのパートがシンセに変わっている。途中、ノイジーなパートが増えている模様(?)。テンポは若干遅めで、強弱のコントラストが原曲にないウリか。それにしても、良い曲だな。。
基本的にこのアルバムには賛否両論があるが、個人的にはかなりお薦めしたい。MAGMAの重厚な部分がこの大編成によってかなり高圧的に示されている。しかし、個人の技ではやはりLIVE!には敵わない。充分これも超絶技巧だが。音質は高く、ライブ音源とは思えないような完成された内容でライブらしい臨場感はやや希薄な感もある。その辺がこの作品に対して賛否両論がある原因か。
現在は、トゥーザムターク3部作のBOXが出ていて、ここに収録されているトゥーザムターク第1楽章もさほど珍しくはないが、それでもここに収録されている第1楽章は非常に完成された内容で一番評価も高いように思える。お薦め。

 

 

 

MENU             BACK