KING CRIMSON

プログレッシヴという言葉を実践するかのように、構築と破壊を繰り返してきたプログレの頂点、総本山。

周知の通り、1967年、キング・クリムゾンの母体、前身バンドとして知られるジャイルズ・ジャイルズ・アンド・フリップが結成される。このバンドはレギュラーとして活動していたようではないが、68年デビューアルバム『ザ・チアフル・インサニティ・オブ〜』を発表する。68年にイアン・マクドナルドがGG&Fに加入し、クリムゾンの下地が出来上がる。そしてイアンはピート・シンフィールドを彼等に紹介した。ピーター・ジャイルズが脱退するが、後にグレッグ・レイク(GODS)が加入する。3ヵ月後、ピートも正式のメンバーとなり、キング・クリムゾンの誕生となった。

その後は周知の通りで、ロバート・フリップを中心にクリムゾンは活動を続けて行くこととなる。数々のメンバー交代の歴史とともに。(メンバー遍歴はアルバム毎の解説を参考に)
また、ストレンジ・デイズ誌によって『風に吹かれて』という大変詳細なクリムゾンの歴史が分かる連載が掲載されているので参考に。以下参考HP。

公式HP (http://www.king-crimson.com/)
DGM OFFICIAL HP (http://www.disciplineglobalmobile.com/index.htm)
公式ファン・サイト (http://www.elephant-talk.com/)

クリムゾンDATAベース (http://www21.ocn.ne.jp/~crimson/)
クリムゾン和訳集 (http://homepage3.nifty.com/~crmkt/)

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クリムゾンの知名度を考えれば、ここで語る必要もありませんね。
洋楽ロックを聴くという道に入ったなら、きっと最初の頃に宮殿(1st)を手にすることでしょう。そんで、そこからプログレに入るかどうかの分かれ道になってくるはずです。

こんな長ったるい音楽聴いてられるかボケ、と思った方はある意味正解かもしれません。これぞ、俺(私)の探していた音楽だ、と思った方は、とりあえずその後の散財のために働きましょう。
偉そうに語るのも何ですが、クリムゾンの凄さは、その他のマイナー系プログレ含むプログレを聴いてから、真の意味で実感することでしょう。
ちなみに私、クリムゾン・オタクではありませんです。クリヲタは死ねよ、とか言わないように。
でもやっぱり大好きです。

 

IN THE COURT OF THE
CRIMSON
 KING

ROBERT FRIPP -guitar
IAN
 MCDONALD -keyboadmellotronvocals
GREG
 LAKE -basslead vocals
MICHAEL
 GILES -drumspercussionvocals
PETER
 SINFIELD -words and illumination
1969年発表の衝撃のデビュー・アルバム。邦題:クリムゾン・キングの宮殿。
現代においてその衝撃度はやや薄められてきた感があるが、まさしく、プログレ第1期の駅のような作品である。(メンバー参考)
何を隠そう、私が最初に聴いたプログレはこれ。(ありきたりすぎるが)
今何聴いてるの?と聞かれれば、「宮殿」とは言いにくいような雰囲気もある名高い名盤である。

ビートルズのアビイ・ロードからチャートの1位を奪った等様々な冠詞がつけられているが、実際は地方のチャートでの出来事だったらしい。(個人的には大変どうでもよい話。だって、ツェッペリンの1stもそんな風に言われているでしょう)

このアルバムの衝撃度はこの曲に集約されるであろう、M1,21ST CENTURY SCHIZOID MAN
21世紀の精神異常者というタイトル通りの、アグレッシヴな演奏だ。マイケル・ジャイルズのドラミングが凄まじい。このドラムの音が良い(スネアの響きが)。クリムゾンの暴力性はこれが基軸。その後も数々再演されてきたが、時代によって顔を変えるこの曲はクリムゾン・イコールとしたくなる大名曲。
嵐から一転し、
M2,I TALK TO THE WIND(風に語りて)。フルートが響き渡る。クリムゾンの叙情性が如何なく発揮された名曲。
M3、EPITAPH(エピタフ)。この曲も叙情性に満ちた名曲なのだが、ピート・シンフィールドの『混迷こそ我が墓碑銘』という詩はロックに残る最も有名なものの一つだ。メロトロンの響きが素晴らしい。クリムゾンのメロトロンは唯一無比。
アナログではB面に移り、
M4、MOONCHILD。不思議な映像的な曲である。今思えば、このアルバムM1以外、ピート・シンフィールドの面目躍如的なものがある。後半は、インプロによる不思議な世界の演出。(録音時はもっと長かったようだが、カットしたらしい)
一瞬の静寂と同時に訪れる
M5、IN THE COURT OF THE CRIMSON KING
グレッグ・レイクの声が響き渡る。深遠な世界。
全ての曲が渾然と輝いている20世紀ロックの代表アルバム。
そして、プログレッシヴ・ロックのムーヴメントを決定付けた歴史的アルバム。この後、クリムゾンの活動とともにムーヴメントも盛り上がりを見せ、クリムゾンの解散とともにムーヴメントも収束して行く。

このアルバムを聴いて、プログレ=難解と思う人はいないだろうと思う。(ピート・シンフィールドの詩除く)是非とも変テコな先入観を捨て聴いて欲しい一枚だ。
クリムゾンはロバート・フリップの独裁バンドとして知られているが、このアルバムはメンバー全員が均等にメンバー・シップを発揮しており(寧ろフリップは目立たない)、キング・クリムゾンにおける数多い奇跡のうちの一つである。

 

IN THE WAKE OF POSEIDON

ROBERT FRIPP -guitar
PETER
 GILES -bass
GREG
 LAKE -vocals
MICHEAL
 GILES -drums
KEITH
 TIPPETT -piano
MEL
 COLLINS -saxesflute
GORDEN
 HASKELL -vocals
PETER
 SINFIELD -words
1970年リリースされた2ndアルバム。邦題:ポセイドンのめざめ。
前作、クリムゾン・キングの宮殿後のツアーでイアン・マクドナルド、マイケル・ジャイルズが脱退し(フリップは自分が抜けるからなんとかKCを続けて欲しいと言ったらしいが)、グレッグ・レイクはキース・エマーソン等とEL&P結成へと動き、クリムゾンはほぼ壊滅状態となる。
フリップとシンフィールドは、なんとかセッション・メンバーを集め、宮殿のなぞり書きのようなアルバムを作り上げる。(前作のメンバーも限定参加)
なぞり書きと言っても決して前作に劣る内容だと私は思わない。(確かに21世紀の精神異常者のようなインパクト性を持つ曲はないが・・・。)
PEACEというテーマ部分があり、コンセプトの面においては前作より屈強な印象を持つ。
M2、PICTURES OF A CITY〜は、前作の動の面を思わせる内容で、ハードな演奏が格好良い。
M3、CADENCE AND CASCADEは、ゴードン・ハスケルをヴォーカリストとして招き録音された。アコースティック・ギターが映像的に広がっていく。非常に優しい夢見心地なナンバーだ。キース・ティペットのピアノも主張せず溶け込んでいる。
M4,IN THE WAKE OF POSEIDONは、大々的にメロトロンが導入された叙情的な曲。前作では、エピタフに位置するような曲だろう。ギリシア神話のポセイドンや、哲学者プラトン、と言った非常に難解な歌詞が歌われる。グレッグ・レイクの歌唱はやはり見事の一言だ。
テーマ、
PEACEのインストを挟み、
M6、CAT FOOD。太陽と旋律以降もライブでは演奏される。クリムゾンのジャズ的一面が開花された曲である。もちろん、キース・ティペットのアヴァンぽいピアノがそれに大きく貢献している。この曲の歌詞だけ何故か浮いているような気がする。
M7,THE DEVIL TRIANGLE〜は、宮殿の頃のライブからMarsというタイトル名で演奏されていた曲。ホルストの組曲『惑星』を改作したものである。静寂を切り裂かんばかりにメロトロンが入り込みリズムと一体化し、不気味に展開する。かなり前衛的な曲だろう。
そして、再びテーマ
PEACEに帰結する。
クリムゾンの持つ(シンフィールドが演出する)叙情性に、キース・ティペットの煌びやかなジャズ臭が程よく塗され、(リザードほどではないが)前作をさらに推し進めた内容となった。何より前作よりトータル・アルバム化している。しかし、それでも前作の影に隠れてしまうのは、やはり新鮮味があまり感じられないからなのかもしれない。
しかし、聴き所はひょっとして宮殿よりも多いかもしれない。キャット・フードでの成果は次作に持ち込まれることになる。

 

LIZARD

ROBERT FRIPP -guitarkeyboards
MEL
 COLINS -flutesaxes
GORDEN
 HASKELL -bassvocals
ANDY
 MCCULLOCH -drums
PETER
 SINFIELD -words etc
GUEST
ROBIN
 MILLER -oboe etc
MARK
 CHARIG -cornet
NICK
 EVANS -trombone
KEITH
 TIPPETT -pianoelectric piano
JON
 ANDERSON -vocals (YES
1970年発表の3rd。
ロバート・フリップは、キース・ティペットとの前作で共演しなんらかのヒントを得、即この3rdアルバム制作にとりかかった。メンバーにならない事を条件に、前作からティペットが参加。その他、イエスのジョン・アンダーソン参加も大きな話題となる。結果的に言えば、英国ジャズの連なりがこの時期最も顕著に表れており、このクリムゾンの3rdもその流れにあると言える。
前作で言えば、キャットフードにおいてティペットのピアノ即興ソロ。このアルバムにはこれがかなりの影響を及ぼしたと言える。
M1,CIRKUS(including entry of the chameleons),キース・ティペットの華麗なピアノが物語を色付けてゆく。アコースティック・ギターも激しく主張し、メロトロン等が混沌を演出しサックス等が暴力的に爆発する。ジャケットのようなモザイクっぽい曲だ。前衛な部分も孕みながら色鮮やかなオープニング。
M2,INDOOR GAMES、さらに明るく、そしてさらに不可思議に展開してゆく。悉く場面が切り替わりながら、それぞれ細かい前衛的な演奏をしている。ユーモアラスな部分も忘れない。
M3,HAPPY FAMILY、さらにモヤモヤ感が広まるようなイントロから、ティペットの煌びやかでフリーなピアノも実に面白い。全てがフリーな演奏をしているので、つかみどころがなく聴いているこちら側としてはやけにイライラ感を募らせることだろう。しかし、それも多分彼等の目論見であろう。
M4,LADY OF THE DANCING WATER、打って変わって、クリムゾンらしいバラード。これは、ピート・シンフィールドの目指す映像性が出た曲だろう。しかし、ハスケルのヴォーカルがこう言った曲までも弱々しいのが、少々すっきりしない。
M5,LIZARD,ジョン・アンダーソンの実に美しい、何処までも広がってゆきそうなヴォーカルから始まる一大組曲だ。ティペットの細やかで美しいピアノはもちろん、不安を彩るメロトロン、シンフォニックなコーラスで序章を終える。西部劇のようなサックを主導とした部分が次第にシンフォニックに表現されてゆき、混沌とした情景を含みながらも感動へ向かう。場面が変わり、混沌とした暴力的なシーンへ移ってゆく。
しかし、このジャケットはかなり音をよく表していると思う。様々な音が目まぐるしく襲ってくる。モザイク上に。
21世紀の精神異常者のような分かりやすい暴力的な音ではなく、分かりにくい部分が大きく、ストレスが溜まる部分があるのがこのアルバムをここまで不人気なアルバムにしているのだろう。
個人的には非常に好きなアルバムで、メンバー一人一人の細かい技巧部分はやはり凄まじいとしか言いようがない。クリムゾンの70年代のアルバムはどれもが名盤と言う事を今回改めて強く思わさせられた。

 

ISLANDS

ROBERT FRIPP -guitarmellotronetc
MEL
 COLINS -flutebass flutesaxesvocals
LAYMOND
 BOZ BARREL -bassvocalsetc
IAN
 WALLACE -drumspercussionvocals
PETER
 SINFIELD -wordsetc
GUEST
ROBIN
 MILLER -oboe
HARRY
 MILLER -string bass
KEITH
 TIPPETT -piano
MARK
 CHARIG -cornet
PAULINA
 LUCAS -soprano
1971年発表の4th。前作がかなり即興的な揺らめきが散りばめられていたのに対し今作は、全体的に統率の取れた美しいアコースティックな質感を持っている。
ジャズの要素もクリムゾンの中では最も表向きに現れており、クリムゾンの中ではかなりの異色作と言えるだろう。実際、私が最初聴いた時はかなり驚いた。今作で袂を分つ、ピート・シンフィールドも今までに一番全体的な映像に関して役割を果たしているのではないだろうか。
M1,FORMENTERA LADY,重い雰囲気(ウッド・ベース)が支配しつつも、軽く美しいフルート、ピアノが絡み、煌びやかで繊細な印象を決定付ける。インプロヴィゼーションにおいてもフリーなのだがやはり美しさと幻想性を保っている。
M2,SAILOR'S TALE,前曲がなんとも言えぬ余韻を生み出していたのに対し、いきなり歪んだギターが鳴り響く。フリーなサックス、ギター即興がノイズのように暴れ狂う。ギター音が鋭く鳴らされ、バックでメロトロンがそれを煽るかのように不安感を増大させる。
M3,THE LETTERS,悲しくなるようなバレルのヴォーカルがなんとも美しい。再び、暴力的なアンサンブルへ。全体的な印象は、やはりピート・シンフィールドの面目躍如と言ったところか。
M4,LADIES OF THE ROAD、ボズ、コリンズ、ウォーレスに対するシンフィールドの思いが交差したユーモアラスな曲。歌詞をじっくり読むと非常に面白い。
M5,PRELUDE:SONG OF THE GULLS、次曲に向かうべく用意された序章曲。
M6,ISLANDS,やはりこの曲がこのアルバムの繊細さを端的に表している。
前曲の優雅な憂いさが消え去り、寂寥感、悲壮感に満ちた始まり。それぞれの楽器もここでは
主張しあうことなく、バレルのヴォーカルを静かに彩る。美しく、儚く脆い。ガラス細工のような
美しさが泣ける。
この異色作は、やはりピート・シンフィールドの抽象的かつ美しい歌詞、映像性とサウンドが合わさった映像的なアルバムになった。時折、激しい混沌とした展開はあるのだが、全体の印象は統一されているのが大きい。クリムゾンで泣けるって言うのも良いものだ。

 

EARTHBOUND

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ROBERT FRIPP -guitar
MEL COLINS -alto,tenor & baritone saxes,mellotron
BOZ BARREL -bass,vocals
IAN WALLACE -drums

アイランズ発表と同時にクリムゾンの思想面を司ってきたピート・シンフィールドが
脱退。メル・コリンズ、ボズ・バレル、イアン・ウォーレスもツアー終了後脱退を
表明しており、いわばアイランズ・ツアーはクリムゾン解散(崩壊)を前提とした
ツアーでもあった。このアルバムは、アイランド・レーベルの廉価盤として発表される(ブート対策)
が、そのあまりにも音質の劣悪さにイギリス国内においてのみの発売だった。
クリムゾン初の公式ライブ音源だが、その音質によりかなり物議を呼んだ。
しかし、その音質も功を奏してか演奏の爆発度が極めて異質で凄まじいものであった。
またこのツアーでメンバーの統制が全く効かず、無法地帯のような空気を
生み、それもこの音に繋がっている。(ボズ、ウォーレス、コリンズの3人はどちらかと言えば
こう言った形が素だと思う)フリップもかなり孤立しており、半ばヤケクソ状態で
それぞれが凄まじい自己主張を行う。それが皮肉にもこのアルバムにマジックを
生んでいるのだが。フリップのヤケクソ状態は本当によく分かると思う。

M1,21st CENTURY SCHIZOID MAN、内戦状態のような急に爆弾を落とされた感覚で
曲が始まる。小爆発を繰り返しながら進んでゆく。制御不能状態なのがよくわかる。

中間部においては、もうインプロヴィゼーションや、ジャム・セッションという枠を完全に越えている。
ノイズ・ミュージックが否応なしに襲ってくる。メル・コリンズのサックス・ソロも曲を完全に逸脱している。
M2,PEORIA、ややおとなしめなジャム・セッションっぽい曲でメル・コリンズのサックスが
ご機嫌に吹き荒れる。ボズのヴォーカルもヤケクソというか、実にフィーリング豊かな素の面が出ているのではないだろうか。

M3,THE SAILORS TALE,
周知の通り、アイランズに収められていた曲で唯一アイランズでは
エレクトリックでやや激しめな曲であった。ここでは、メロトロンの洪水はそのままだが
やたらノイズっぽいギター音やサックスが聞こえる。フリップのギターは異常に焦燥感に駆られている。
もちろん、このアルバムは全体が危機的で切羽詰っている感覚なのだが。最後の方になると
完全なノイズになる。
M4,EATHBOUND,硬質なリズムにメル・コリンズのサックスからボズのヴォーカルと
かなりご機嫌な曲である。フリップのギターは相変わらず我関せずでこれがまた面白い。
ロバート・フリップという人はブルーズがどうも嫌いらしく、これらM2,M4でブルーズ調の曲を
やられかなり内心切れていたのかなと想像してしまう。逆にこう言った曲だからこそ
残りの3人が先述したように非常にご機嫌なのだ。
M5,GROON、突拍子もない展開で非常に前衛的なインプロ・ナンバーだ。

音質の悪さは、最新のデジタル・リマスターにより出されたCDを聴いていると
そうは感じない。が、やはりマスターがテープだけあって、音の分離がなく
轟々と唸っている。しかし、これはこれでもういいと思う。
この爆発による破壊により、クリムゾンは新たにスタートを切る。
言わば、区切りとしてアースバウンドは機能している。
いや、やはりそれだけではない魅力をこのアルバムは持っている。
必聴とは言い難いが、これこそクリムゾン進化の歴史を垣間見れる作品だ。


LARKS' TONGUES IN ASPIC

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

DAVID CROSS -violin,viola,mellotron
ROBERT FRIPP -guitar,mellotron,devices
JOHN WETTON -bass,vocal
BILL BRUFORD -drums
JAMIE MUIR -percussion,allsorts

アイランズ・ツアー終了とともにクリムゾンは解散する。しかし、ロバート・フリップの
頭の中にはすでに次なる思惑があったようで、ツアー中に出会ったビル・ブラッフォード
兼ねてからクリムゾンへラブ・コールを送りつづけてきたジョン・ウェットンが加わる。
また様々なオーディション、ジャム・セッションを通じてデイヴィッド・クロス、ジェイミー・ミューアが
加わり新生クリムゾンは始動する。またジョン・ウェットンの紹介でリチャード・パーマー・ジェイムスが
準メンバーとして加わる。彼は作詞のみで言わばピート・シンフィールドのような感じだろう。
(シンフィールドのような幻想性、映像性はあまり感じられないが)
そして、このクリムゾンを代表する(また、現在のクリムゾンへと繋がる)アルバム・レコーディングが開始された。
1973年発表の5th。邦題:太陽と戦慄。直訳:肉ゼリーに飲み込まれたヒバリの舌。
そして、ライブ開始早々ジェイミー・ミューアが怪我を負いそのまま脱退。(仏教の修行僧となる)
そして、残ったメンバーによりその後の壮絶なツアーが行われる。
さて、肝心のサウンドは先述した通り、現在のクリムゾンとも通じるサウンドでインプロヴィゼーションに
より比重を置いた、ジャズ、クラシック、ロックが混在するサウンドだ。
特にこのアルバムでは、ジェイミー・ミューアという奇人(ファッションも話題となる)による
パーカッションが凄まじい効果を与えていることは周知の事実。

M1,LARK'S TONGUES IN ASPIC,PART ONE,衝撃的な1曲目ということでは、あの21世紀の精神異常者
以来と言ってよいだろう。ジェイミー・ミューアの不可思議なパーカッションとともにメタリックなギターで幕を開ける。
クラシック、現代音楽的な響きはもちろんのこと、ヴァイオリンの切れ味も鋭く、フリップのギターも凄まじいインパクトを残す。
新生クリムゾンの幕開けとしてはかなり衝撃的だろう。ミューアの神秘的なパーカッションもブラッフォード並の主張がある。
M2,BOOK OF SATURDAY,一転し、落ち着いたクリムゾンらしい曲。もちろん、ジョン・ウェットンの
プログレを感じさせるこの悲しい声が響き渡るだけで感動してしまう。
M3,EXILES,こちらもクリムゾンらしい
叙情性いっぱいのバラード。こういう曲もやはり必要だろう。叙情的なメロトロンも聴きたくなってしまうので。。
M4,EASY MONEY,非常にパーカッションが面白い。ライブでもかなり演奏される重要曲だが、
中盤のインプロも一つの聴き所で、フリップのギターソロが相変わらず凄い。

ライブでは聴かれないジェイミー・ミューアのパーカッションも貴重。
M5,THE TALKING DRUM,この曲もクリムゾンにとってはかなり重要曲だ。音量を上げてゆきながら
そして、スピードをも上げてゆきながら執拗に迫るヴァイオリン。それに絡みつくフリップのギター。
このアルバムでは、次曲に繋がる役目を負っている。
M6,LARK'S TONGUES IN ASPIC,PART TWO,
クリムゾン最大の重要曲だろう。終末的な響きを他所に、フリップの圧倒的なメタリック・ギターが
曲を作ってゆく。脅迫的に音を上げながらラストに迫って行く。M1の神秘は弱められ徹頭徹尾攻撃的。
ライブでの演奏も必聴!

現在、クリムゾン・キングの宮殿よりこのアルバムの方がインパクトがあるのではないだろうか?
少なくとも私にはそう感じられたが、どうだろうか。
何より、ロバート・フリップのギター・テクニックはこの太陽と戦慄期より大幅に凄まじくなった。
何はともあれ、この時期のライブとこのアルバムからの3部作は前作必聴だ。


STARLESS AND BIBLE BLACK

DAVID CROSS -violin,viola,keyboards
ROBERT FRIPP -guitar,mellotron,devices
JOHN WETTON -bass,vocal
WILLIAM BRUFORD -percussives

1974年発表の6th。邦題:暗黒の世界。
前作で大きな役割を果たしたジェイミー・ミューアが脱退し、このアルバムでは


RED

再び解散を目前に控えて制作されたアルバム。解散を意識したのか、叙情的な面も垣間見られる。
爆発力は前2作には劣るものの、涙無くして聴けない傑作です。(大袈裟ですかね)
特にスターレスは、実に感慨深いものがある。1974年再びクリムゾンは歴史の幕を閉じた。


USA

アースバウンドとは違って、公式にリリースされたライブ・アルバム。ただし、アースバウンドと同じように
ブートレグ対策でもある。フリップ翁は策士である。
グレート・ディシーヴァーなどのライブ音源が聴ける今、インプロ度が低いこのアルバムはあまり価値がないかもしれない。


DISCIPLINE

再び、クリムゾンと名乗り再結成作となったこのアルバムは、賛否両論を生むものだった。
訓練、扱き、規律といったことを意味するこのアルバムは以前と打って変わり、民族色を含んだ
アンサンブル重視のアルバムとなった。反語となるインディシプリンでは、鬱憤を晴らさんばかりに
ブルッフォードを始め演奏しているのが、少し微笑ましくなる。新生クリムゾン復活!


 

 

PLEASE WAIT!

 

 

 

 

 


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