IL BALLETTO DI BRONZO |
ナポリのBATTITORI SELVAGGIというグループが前身で、後にIL BALLETTO DI BRONZOと改名する(60年代後半)。 RCAと契約を結び、69年に1stシングル「NEVE CALDA/COMINCIO PER GIOCO」を発表。翌年には「SI,MAMA MAMA/MEDITAZIONE」を2ndシングルとして発表。そして同年1970年1stアルバム「SIRIO 2222」を発表。 その後リノ(g)とジャンキ(ds)を残してグループは解散の危機に陥るが、同郷ナポリのジャンニ(key)が加入し、彼らはローマへ移る。ローマにてヴィト(b)が加入し、全盛期のメンバーが揃う。 しかし、この後のイタリア・ツアー中にジャンニ、ジャンキを残し、リノとヴィトは脱退する。二人はこの後も二人でツアーを続ける(!!)。 |
とりあえず、プログレ・リスナーとしてYSは必須のアルバムでしょう(好き嫌いはあると思うが)。 ネバネバ系暗黒プログレです。ねっとりとした後味を残し、落ち着きを失わせます。悪夢を見たあとのような居てもたってもいられないあの感じ。 こんなフィーリングを求める素敵な方には、チェルヴェロ/メロス、オザンナ/パレポリ、ムゼオ・ローゼンバッハ/ツァラストラ組曲を是非。 |
YS |
VITO MANZARI -bass GIANCHI STRINGA -drums LINO AJELLO -guitar GIANNI LEONE -vocal,organ,piano,mellotron,moog,harpsichord,celeste |
1972年発表の2nd。イプシロン・エッセ。 イタリア陰の代表にして、このYSはイタリアン・プログレにおいても屈指の傑作であることはプログレ・ファンならば周知の事だろう。1st発表後、ジャンニ・レオーネ、ヴィト・マンツァーリが加入。特にジャンニ・レオーネの加入は彼等にとってとてつもない武器を手に入れたことを意味する。尚、本作のクレジットでメンバーの名が使われていないのは便宜的(イタリア著作権協会の会員でなかったため)に、ナポリのとある婦人に頼んだためらしい(解説より)。 ミステリアスな女性の音声を用いたイントロダクションから、霧の如く圧迫的なキーボードが立ち込める。バロック音楽に影響を受けたチェンバロ、ムーグの響きが迷宮を作りだし、切れ味の鋭いギターが空間を切り裂き、メロトロンが隙間を埋める。静と動のコントラストも随所に効いており、ドラマ性も顕在。イタ・プロ特有のヴォーカルの粘っこさに慣れれば病み付きになるだろう。イタリアン・ヘヴィ・シンフォの究極系にして最強にダークなトータル・アルバム。 |
M1,INTRODUZIONE (イントロダクション) M2,PRIMO INCONTRO (第1部) M3,SECONDO INCONTRO (第2部) M4,TERZO INCONTRO (第3部) M5,EPILOGO (エピローグ) (BONUS TRACKS) M6,LA TUA CASA COMODA (安息の家) M7,DONNA VITTORIA (ヴィットリア夫人) |
自ら陽光を遮り徹底的に異化された空間を生み出したと言えばヤクラなどもそうかもしれないが、本作はそういった自己満足に陥るのではなく、もう太陽は拝めないのではないかと思ってしまうぐらいリスナーに干渉し得る負のパワーを持った一枚である。 オザンナがパレポリにおいて精神と文化、ナポリの歴史の迷宮を描いたのに対し、こちらは「人間のコミュニケーションの断絶」という徹底的に閉鎖的なコンセプトを描く。 EL&Pのタルカスやクリムゾンがよく引き合いに出されるが、比べるものではない。ただキーボードのテンションはタルカスに引けを取っておらず、そこにこの闇の息吹のようなものが加わっている。ちなみに、ジャンニ・レオーネはキーボードを弾きながら歌っているはずで、そのことを考えると末恐ろしくなってくるのは私だけだろうか。器用というか、人間じゃない。 |