HAWKWIND |
1969年ロンドンにて結成。 オリジナル・メンバーはデイヴ・ブロック、ニック・ターナー、ミック・スラッタリー、ディック・ミック、ジョン・ハリスン、テリー・オリス。しかしホークスもまたメンバー・チェンジは御家芸で、アモン・デュール、モーター・ヘッド、サード・イヤー・バンド、ピンク・フェアリーズ、ゴング等からもメンバーが誕生したりと頻繁に行われていたようだ。 更には詩人(ロバート・コルヴァート)やSF作家(マイケル・ムーアコック)も巻き込んだりと彼等の活動は幅広い。 初期はピンク・フロイド等のサイケからの影響が顕著に覗えたが、次第に彼等自身のスペース・サイケ・サウンドを築き上げ、スペース・サウンドと言えばホークスと言うぐらいの超大御所である。 しかし現在では、デイヴ・ブロックとニック・ターナーの確執により、本家(デイヴ)ホークウィンド、分家(ニック)ホークウィンドとに分裂しているが活動継続中。 (バイオが適当になりましたが、詳しくはアルバム欄にて紹介する予定です) 1970年 『HAWKWIND』 参考HP |
実はレヴューを書こう、書こうと思っていたんですけど、ホークスはレコード枚数が並大抵ではないので書き難いし、アナログは入手困難だらけで、CDも満足に入手できる状況でもないので、どうしようという事だったのです。つまりは私もあまり聴いていないので悩んでいました。まぁ、でもとりあえず持っているものから順に紹介していこうという事で書きます。 ホークスがあればご飯3杯はいけます。ハード・ロックも極端な話これだけでいいです。ヌード・ダンサー(?)もいます。 ホークウィンドのレコードは見開き4面やら6面がテンコモリです。この場を借りて紙ジャケにして欲しいな、と。 |
SPACE RITUAL |
RECORDED LIVE AT LIVERPOOL STADIUM & BRIXTON SUNDOWN BOB CALVERT -poet and swazzle DAVE BROCK -guitar and vocals LEMMY -bass and vocals NIK TURNER -sax,flute and vocals DIKMIK -audio generator and electronics DEL DETTMAR -synthesiser SIMON KING -drums |
1973年発表の4thアルバム。邦題:宇宙の祭典。 シルヴァー・マシン、ドレミファソラシドのヒットに伴い行われた1972年のイギリスでのツアーの内の12月22日リヴァプール、最終日30日のロンドンで行われたライブ録音。2枚組みでリリース。 コンセプトは音と映像の合体によるスペース・オペラらしいが、これを聴けばもはやそんな事はどうでもよくなる。分厚いリズム隊(レミーの地鳴りベースは勿論のこと、サイモン・キングのマシンガンのようなドラミングは凄いの一言だ)が生み出す混沌に、さらにはギターまでもリズムの一要因となっており、その上にサックス、フルートがヨレヨレに浮遊し、無軌道的なオシレーターの発信音が酒池肉林の現場に突き刺さるレーザー光線のようで、闇鍋状態である。曲は新録曲も含め、ベスト的な内容(シルヴァー・マシンは未収録だが)。個人的にDISC 2のMASTER OF THE UNIVERSEに愛着があったりします。ちなみに、ジャケットは十八番の6面開き、まんまアイランド(クリムゾン)な写真もある。さすが宇宙。 |
DISC 1 M1,EARTH CALLING M2,BORN TO GO M3,DOWN THROUGH THE NIGHT M4,THE AWAKENING M5,LORD OF LIGHT M6,BLACK CORRIDOR M7,SPACE IS DEEP M8,ELECTRONIC NO.1 M9,ORGONE ACCUMULATOR M10,UPSIDE DOWN M11,10 SECONDS OF FOREVER M12,BRAINSTORM |
DISC 2 M1,7 BY 7 M2,SONIC ATTACK M3,TIME WE LEFT THIS WORLD TODAY M4,MASTER OF THE UNIVERSE M5,WELCOME TO THE FUTURE BONUS TRACKS M6,YOU SHOULDN'T DO THAT M7,MASTER OF THE UNIVERSE M8,BORN TO GO |
ホークスの中では別格に位置する最強傑作。今更私なんかが何を言えるだろうか。 むしゃくしゃしてやりました、的な言葉にならない爆発サウンドが地底突き破るグルーヴとともに、宇宙空間で彷徨うのではなく突き進みながら届けられる。 私達が人生について悩み、誰かが哲学を生み、それでもなんの解決もナシに繰り返される日々をなんとなく納得しながら垂れ流し的に生きる(消化、消費する)のに対し、よもや次元が違うとばかりに消し去ってくれる音である。喜怒哀楽という感情レヴェルですら吹き飛ばしてくれる。音楽とはそういうものでなかったか。難しい顔をしながら云々と音楽を聴いて何が楽しいのだろうか(こんなサイトをやっている私が言う言葉ではないですね)。 ハード・ロック、ロック、そして人生なんてこれが終わりでいいじゃないか。 TIME WE LEFT THIS WORLD TODAY だ。 |
HALL OF THE MOUNTAIN GRILL |
DAVE BROCK -lead guitar,12 string guitar,synthesiser,organ and vocals LEMMY -bass,vocals (rhythm and lead guitar on LOST JOHNNY) SIMON HOUSE -keyboards,synthesiser and violin NIK TURNER -sax,oboe,flute and vocals DEL DETTMAR -keyboards,synthesiser and kalimba SIMON KING -drums and percussion "...and my old lady and kids, "cos I'm going home now." Brock |
1974年発表の5thアルバム。邦題:永劫の宮殿。 ハイ・タイド、サード・イヤー・バンドを渡り歩いたサイモン・ハウスが加入し、サウンドは宇宙の祭典以前の地底から沸き立つ轟音サウンドが丸くなり、表現の幅が増え、空間的な広がりも増し、語弊があるかもしれないが全体的にポップになった。まだ全体像としてはまとまりが無く(勿論次作と比べれば、ということだが)、手探り状態なのかな、と思う。よって次作への布石、過渡期的な作品として捉えられている。1曲1曲の出来は秀逸だし、彼らの持ち味のグルーヴ感も健在なのだが、現在の歴史的視点から見れば、絶体絶命との関連性を考えてしまうわけでそこに過渡期という印象を生むのかもしれない。 サイモン・ハウスの加入はそれはそれは大きなものだったのだろう、と思う。以前の宇宙の無限を感じさせる無機軸的な発信とは違い、どこかしら到達点を求めてしまう音である。 因みにHALL OF THE MOUNTAIN GRILLは、カフェの名前らしいです。ジャケットはシングル・ジャケ。 |
M1,THE PSYCHEDELIC WARLORDS (DISAPPEAR IN SMOKE) M2,WIND OF CHANGE M3,D-RIDER M4,WEB WEAVER M5,YOU'D BETTER BELIEVE IT M6,HALL OF THE MOUNTAIN GRILL M7,LOST JOHNNY M8,GOAT WILLOW BONUS TRACKS M9,PARADOX M10,YOU'D BETTER BELIEVE IT (SINGLE VERSION EDIT) M11,THE PSYCHEDELIC WARLORDS (DISAPPEAR IN SMOKE) (SINGLE VERSION) M12,PARADOX (REMIX SINGLE EDIT) M13,IT'S SO EASY |
名曲M1(シングル化された)に顕著なように、絶えずバックの隙間を埋めるかのようにメロトロンが流れ圧迫してくる。曲も以前と比べると明らかに"流れ"を感じる展開である。サイモン・ハウスのメロトロンはまさしく押し寄せてくる波のようで、その強弱の付け方はひたすら焦燥に駆られる。M2に至っては、哀愁を感じさせるシンフォニックな展開にびっくりする。 私個人としてはこの大洪水サウンドの浮遊感はとても落ち着きを無くされる。つまり浮遊感どころでない。どこかいてもたってもいられなくする「焦り」と、それでもその場から離れることを許すまいとする彼らの磁場が、美しく絡みあう狂想曲集。聴き終えた後は、何だったんだろうと思わせる悪夢のような味わい。それこそ、宇宙の祭典で汗ばんだ体のホテリを瞬間冷凍扇風機のように冷やしちゃいます。 |
WARRIOR ON THE EDGE OF TIME |
DAVE BROCK -guitar,synthesiser,bass,guitar on M4,vocal on M1,M2,M5,M6,M11 NIK TURNER -tenor and soprano sax,flute,vocal on M7,M10 LEMMY -bass guitar SIMON HOUSE -mellotron,moog,piano,synthesiser and violin SIMON KING -drums and percussion ALLAN POWELL -drums and percussion MIKE MOORCOCK -vocal on M3,M9 Produced by HAWKWIND |
1975年発表の6thアルバム。邦題:絶体絶命。 前作、永劫の宮殿においてサード・イヤー・バンドのサイモン・ハウスが加入し彼らはシンフォニックに展開する。そして、今作がその方向の頂点でもありプログレッシヴ・ロックの大傑作となった。前作レコーディング直後サイモン・キングが負傷し、ツアーではアラン・パウエルが代役として起用され、そのままツイン・ドラムとなった。尚、今作はマイケル・ムーアコックのSF(ETERNAL CHAMPION)をモティーフとしたヒロイック・ファンタジー・ロックとなっている(因みにムーアコックがアルバムにも朗読で参加。) サウンドは永劫の宮殿を推し進めたもので、完成度は随一。初期の反復ゴリ押しマシンガン殺法(?)だけでなく、サイモン・ハウスのメロトロン、シンセによる空間的な広がり、叙情性、幻想性を強く感じる。シンフォニックに展開していくのだが、以前の混沌サウンドは以前より強度を増しているように思う。更にはサイモン・ハウスのシンセ、メロトロンによりニック・ターナーのフルート、サックスの自由度も増している。結果、彼等は様々な視点によりサウンドを構築していける強みを手に入れたわけだが・・・。この後皮肉にも轟音サウンドの要、ベーシストのレミーがドラッグ所持により逮捕、彼らは彼を解雇する(→ピンク・フェアリーズのポール・ルドルフ参加へ)。 因みにLPでは見開き4面(勿論内ジャケは盾!)。 |
M1,ASSAULT & BATTERY PART T ライブでもよく取り上げられる彼らの代表曲。 M2,THE GOLDEN VOID PART U 上に同じ。 M3,THE WIZARD BLEW HIS HORN M4,OPA-LOKA M5,THE DEMENTED MAN M6,MAGNU M7,STANDING AT THE EDGE M8,SPIRAL GALAXY M9,WARRIORS M10,DYING SEAS M11,KINGS OF SPEED BONUS TRACKS M12,MOTORHEAD M13,KINGS OF SPEED(live) |
全篇通してハイ・テンションとは言い切れないが、これはこれで押すところは押す、引くところは引くの駆け引きが巧妙に用いられており、ストーリーを際立たせているように思う。全てはサイモン・ハウス様様なのだろう。で、以前のゴリ押し超グルーヴィーサウンドのような分かりやすい心地良さは勿論減退している。 しかしである、楽しむ要素は格段に増えている。以前のゴリ押し轟音サウンドも健在(ツイン・ドラム+レミーでリズムも強化)で、更には哀愁めいたホークス(M5)も楽しめるという(and more,,,)至れり尽せりの魅力盤。それにしてもこの轟音サウンドにサイモン・ハウスの切迫感、焦燥感を掻き立てる大洪水サウンドは凄いの一言だ。何だかんだ言ってホークスである、轟音で連れ去ってくれるのだ。そしてその後に疲弊と感動を与えてくれるのはホークスならでは。。ジャケも含め大傑作!因みにこのアルバムにボーナス・トラックはいらん。 |