GONG

ソフト・マシーンのデビューを待たずして、創始者デヴィッド・アレン(オーストラリア生まれのヒッピー)はイギリスを追われ(ドラッグ問題により)脱退しフランスに渡る。そこで、ジリ・スマイスと出会うこととなる。ここでリリースされたのがゴングの1969年1stで(当時はゴング表記がなかったらしいが)、正式にGONGとして1971年にデビュー、その後、壮大な宇宙的叙事詩『ラジオ・ノーム・インヴィシブル』を作りあげる。その後、アレン、スマイス、ヒレッジが続けて脱退し、ピエール・モウラン主導によるフュージョン色が濃いテクニカル・ジャズ・ロック・バンドの様相を強めてゆく。関った人は数知れず、まるでソフト・マシーンのような一大人脈を築く。現在も拡大中。

ゴングという生命体は、誰もが共感を覚えたなら参加できるといった自由主義、アナーキズム的バンドであり、平和、非暴力が根底に流れる共同体である。ラジオ・ノームで提示された英雄ゼロの物語は現在も進行中。

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ゴングは主に、アレン、スマイス在籍時のユートピア的ダダ、ジャズ・ロックとその後のジャズ・ロック〜ピエール・モウラン主導のフュージョン・テイストの強いテクニカル、ジャズ・ロックに分かれる。
個人的には両方ともお薦めしたいが、やはり何より個性的、唯一無比な音楽を創造してきたアレン・スマイス等がいた頃のゴングを強くお薦めする。先ずは、キャマンベール・エレクトリックから入って、その後ラジオ・ノーム・インヴィシブル3部作に入るのがお薦めです。基本的にどの作品も入手しやすいです。大手レコード店でほとんど買えると思われます。

 

MAGICK BROTHER

DIDIER MALHERBE -flute,soprano sax
RACHID
 HOURI -drums,tabla
DIETER
 GEWIFFER -contra bass on 29
CARL
 FREEMAN -contra bass on 8,piano on 9
BARE
 DHILLINS -contra bass on 4,10
BURTON
 GREEN -piano, pnoharp on 8
GILLY
 SMYTH -voices,space whisper
JASMIN
 SMYTH -voices on 1,10
DAEVID
 ALLEN -guitar,bass guitar,semprini crystal ball,vocal
1969年発表の1st。実質はアレンのソロと言った感が強いが、内ジャケットの絵など見ても正しくゴング!と言いたくなるようなユーモア感がすでにある。キャプテン・カプリコーンもすでにこの時点で登場。(そこからクレジットを移したためスペル等間違っている可能性大)アヴァンギャルド系ジャズ・レーベルのBYGからリリースされている。契約上、ジリ・スマイスが全ての曲に作曲とクレジットされている。恐らく、アレンが全曲作曲していると思われるが。タイトルのMYSTIC SISTER、MAGICK BROTHERはもちろんスマイスとアレンのこと。
サウンドの方は、ユーモアラスなアシッド・フォーク・ロック。ヴァラエティ豊かな曲が詰まっているのだが、ゴングらしさはまだ薄い。時代を反映したような瞑想的で中東思想のある曲もあり、陳腐な表現で申し訳ないが後のスペース・ファンタジーとは違ったロマンティックなムードが漂っている。
M1,MYSTIC SISTER,スマイスのスペース・ウィスパー・ヴォイスも登場していてゴングらしさを初っ端から感じれる。この後のゴングにおいても使われるサイケデリックでスペーシィな空間演出。
M2,MAGICK BROTHER
 M1から繋がるようにフォーク・ロック的な穏やかな曲。アレンの気だるいヴォーカルも良い。ディディエ・マレエヴのフルートの音色も中東ぽいフレーズを多用したりしていてゴングらしい。
M3,CHANGE THE WORLD〜GLAD TO SAD TO SAY,
これもアレンらしい力の抜けまくったフォーク・ロック。
M4,RATIONAL ANTHEM,
かなり寂しい感じのする曲で、バックにはドローン音がうねっている。
M5,CHAINSTORE CHANT,
めずらしくスマイスが歌っている。かなりふざけた感のある小品。
M6,PRETTY MISS TITTY, 
前曲からメドレーになっている。スマイスのリーディングはANGEL's EGGのM4でも登場するもの。物悲しいムードとロックらしさ、両方が混在する好曲。幻のバンド『バナナ・ムーン』においても演奏されていたようだ。
M7,FREDFISH〜HOPE YOU FEEL O.K. 
映画のラッシュを想像するようなセリフから、かなりサイケデリックでスローなナンバーへ。パンの左右振り分けが実にサイケ。ぐわんぐわんします。
M8,EGO, 
ジャジーなピアノが、ジャズには全く感じられない。ネジが一本はずれたような噛みあわない楽しい曲。
M9,GONGSONG, 
モザイク調のセリフから、普通のロックへ。普通と言ってもゴングの中で。のどかなサックスが心地良い。
M10,PRINCESS DREAMING, 
得体の知れない鳴き声、コラージュ。スマイスのポエトリー・リーディング。かなりドラッギーな前衛的な作品。
M11,5&20 SCHOOL GIRLS, 
マレエヴのソプラノ・サックスをバックにアレンが歌う。このサックスが凄くないようで、凄い。適当なようで適当でない(?)。
M12,COS YOU GOT GREEN HAIR,
即興ぽい中東風のフルート、アレンの瞑想風の歌が絡まる。
実は非常に好きな盤で、かなりよく聴いている。リラックスしたノスタルジックなムードが何よりも心地良い。もちろん、そんなことを考えて作っていないとは思うが。ヒッピー文化の哲学、精神、共同体主義、フェミニズム、性解放運動、そう言ったものが多分にアレンやスマイスの考えに反映されていて、このアルバムにおいてもタイトル名を見る限り伝わってくる。意味不明な歌詞も多々あり、相変わらずのダダイストぶりだ。ゴングの名刺的な一枚。かなりお薦め。

 

CAMEMBERT ELECTRIQUE

BERT CAMEMBERT AND DAEVID ALLEN -guitars,aluminium croonvocals
BLUMDIDO BAD DE GRASS EX DIDIER MALHERBE -saxophones,flute
SUBMARINE
 CAPTAIN CHRISTIAN TRITSCH -bass gtrlead on tried so hard
PIP PYLE -drums,tables,chairs
SAMUEL ELLIDGE -ESQ
VENUX DE SWITCH DOCTOR
GILLI SMYTH AND SHAKTI YONI -space whisper,lady voice
EDDY
 LOUISS -organ,piano
1971年発表の2ndアルバム。キャマンベール・エレクトリック。
前作はアレン、スマイスの考えを元にしたものでバラバラ感も強く、まだGONGの世界は表出しきっていない感が強かったのに対し、今作ではキャロル・グライムズ&デリヴァリーからピプ・パイルをドラマーとして迎え(カンタベリー・ファンにはお馴染みの重要アーティスト、後にHATFIELD AND THE NORTHへ)、よりバンド然とした作りとなっている。
ジリ・スマイスのスペース・ウィスパー・ヴォイスはGONGワールドを確立させ、ディディエ・マレルブのジャジーなサックス、フルートも1st以上にキレを見せ、ピプ・パイル、クリスティアン・トリッシのリズム隊はよりシャープでジャジー、それでいてロックで演奏面のまとまり感は抜群である。そしてそこに気だるいアレンのヴォーカルが乗る。GONGを聴くなら本作から、と薦めるファンが多いのも頷ける傑作である。ちなみに、内ジャケでは当時のコミューン的な生活が覗える写真が載っていて、そこにはワイアットの息子であるサミュエルも登場している。付属のポスター(?)もラジオ・ノームを思わせるような作りで必見だ。(ビクターから出ている紙ジャケには付属されている)
M1,RADIO GNOME(ラジオの言葉),ラジオ・ノーム三部作を思わせるようなオープニング。謎の宇宙人によるリーディング。ゴングの世界へようこそ、っていうチープさではなく非常に不思議な感を強めるエキセントリックなオープニングだ。
M2,YOU CAN'T KILL ME(殺せない),
ゴングの代表ナンバーの一つとして挙げられることの多い名曲。ジリ・スマイスのヴォーカル配置も実に効果的、ミニマルなアプローチも若干目立ち、疾走していく。締めも文句のつけようがない。シャープ、そして堅実な演奏とは裏腹なヴォーカルとのギャップが魅力的だ。
M3,I'VE BIN STONE BEFORE,
チャーチ・オルガンと宗教的でわざとらしいアレンのヴォーカルが何故かコミカルに感じる。逆に非常に真面目でエモーショナルなマレルブのサックスとのギャップも笑える。いや、笑っちゃいかんね。で、後半のビート・ロック的な疾走、コーラスはこれまたゴングらしいユーモアたっぷりのもの。贅沢な曲だ。歌詞は徹底的にナンセンス(?)。
M4,MISTER LONG SHANKS〜O MOTHER I AM YOUR FANTASY,
ジリ・スマイスのスペース・ウィスパー・ヴォイスがいきなり違う空間へ連れていってくれる様。
M5,DYNAMITE〜I AM YOUR ANIMAL,
ダイナマイト!のリフレイン、ノイジーなギター、粘っこいベースが絡んで展開。ヴォーカルはウィスパー・ヴォイス、スキャットが入り混じった摩訶不思議なもの。後半のイカれたヴォーカルの掛け合いも全く意味不明である。
M6,WET CHEESE DELIRIUM,
よく聴き取れないが、ひたすら問いかけ。でノイズとともに一瞬で終わる。
M7,SQUEEZING SPONGES OVER POLICEMENS HEADS(圧力),
さらにセリフのみちょこっと聞こえてこの曲もすぐに終了。
M8,FOHAT DIGS HOLES IN SPACE(空間の中),
邦題通りのような不思議な空間に放られたかのような感覚を受ける。混沌と浮遊感がごちゃ混ぜになった様で、それでいてドラムは平然と高速ビートを刻む。サックスとギターのテーマ部分がようやく表れ、アレンのヴォーカルも乗る。ジャジーなサックス・ソロが曲をうまくまとめ、ギター・ソロへと移る。最後は一気にダラダラな感になるユーモアラスな曲だ。
M9,TRIED SO HARD(信頼),
意外なサイケ・ロック風の曲。60年代の往年のグループを彷彿させるようなGONGらしくない、すがすがしい好曲。
M10,TROPICAL FISH〜SELENE,
前曲から一転、非常にハードで軽快感のあるイントロ。アレンのヴォーカルとサックスの絡みも格好良い。ピプ・パイル、マレルヴを始めとしてアンサンブルが実に格好良い。このアルバムの良いところを集めたような大作。
M11,GNOME THE SECOND(セカンド・ノーム),
ドラが鳴り響き、意味不明なゴングというセリフのコラージュ、ぶった切られるように終了。
演奏は極めてソリッドでありながら、ヴォーカル陣は極めてヘロヘロで、それでいてポップ(親しみやすく)に、ロック(格好良く)にとゴングの核とも言えるスタイルがここで完成する。ゴング特有の平和的なサイケも幸福感抜群だ。個人的には格好いいという言葉しかない。大傑作。必聴!!
ちなみに、レア・トラックス〜裏ヴァージョンとして同名アルバムが95年にリリースされている。

 

RADIO GNOME INVISIBLE

「見えない電波の精の物語」〜Story〜概要その1
3人の地球人、ノルウェー出身の毛むくじゃらの養豚家ミスター・T・ビーイング、恨みを抱いているティー・ラベル・コレクターのフレッド・ザ・フィッシュ、偉大なるビール・ヨガ行者バナナ・アナンダは、見えない電波の精(テレパシー主体の海賊ラジオ)によって、飛行船ティーポットの着陸を予見していた。

惑星ゴングは地球へ飛行船ティーポットによって緑色で
ポット頭の妖精を送り込んだ。飛行船ティーポットはチベットへ着陸した。そこで3人は妖精と遭遇した。妖精は地球人との遭遇に驚いた。
まぁそれはともかく、彼等はそのポット頭の妖精をそこから助け出し、ゴングというバンド・メンバーに会わせるためにパリへ行った。
そしてゴングのメンバーは偉大なる賢人
グレイト・セイジと惑星ゴングの導師オクターブ博士により洗礼を受けることになった。その洗礼とはクリスタル・マシーン(水晶の機械)によるサブリミナルな秘密の知恵を受けることである。これにより、バンド・メンバーは見えない電波の精による愛の知恵のヴァイヴを直接受信することが可能になった。
彼等の目的はそれらを彼等の音楽によって再伝達することにあった。それにより、来たる2032年に喜びの布教を手助けするためにやってくる大勢のポット頭の妖精を迎える備えになる、と彼等は考えた。

一方、この物語の主人公でもある英雄ゼロが登場する。彼はポット頭の妖精を自分の英雄にしようと考えた。しかしポット頭の妖精(PHP)は英雄にはなりたくなかったし、崇拝されたくなかった。PHPはスキャットの国とバッド・ド・グラスの磁界によりゼロを連れ去る。彼はそこで飛行船ティーポットを見た。そしてやさしい魔女ヨニと出会った。魔女ヨニは彼に魔法をかけて彼を静かにさせた。彼女は魔法の歌「私はあなたのカワイコちゃん」を歌った。
英雄ゼロは彼女の魔法により軽薄になってしまった。  〜ANGELS EGGへと続く。

(この物語↑は解説または、1st、2ndに付属しているStory訳を参考に書きました。一部文章を変えたりしていますがあまり気にしないで下さい。)

 

FLYING TEAPOT

DAEVID ALLEN -vocals etc,,,  CAPTAIN CAPRICORNE
GILLI SMYTH -voice etc,,,  THE GOOD WITCH YONI
STEVE
 HILLAGE -guitars  etc,,,   SUBMARINE CAPTAIN
DIDIER
 MALHERBE -saxes  etc,,,   THE GOOD COUNT BLOOMDIDO BAD DE GRASS
TIM
 BLAKE -synthesizer  etc,,,   HI.T.MOONWEED
MIKE
 HOWLETT -bass  etc,,,  FRANCIS BACON
????
 -drums  etc,,,  LAWRENCE THE ALIEN

PRODUCED
 BY GIORGIO GOMELSKI
1973年発表の4thアルバム(3rdはコンティネンタル・サーカス<サントラ>
キャマンベール・エレクトリック(1971年)発表後、彼等はオート・レースのドキュメンタリー・フィルムのサントラ「コンティネンタル・サーカス」を制作する。その後VIRGINと契約を結ぶ。
この作品からの3作品が所謂「ラジオ・ノーム・インヴィシブル3部作」であり、この「フライング・ティーポット」がスタート。クリスティアン・トリッシ等は製作中に脱退し、アレンの呼びかけによりこのアルバムからスティーヴ・ヒレッジ、マイク・ハウレット等が参加している。尚、前作から顕著なようにクレジットは全て変名でよく分からない(解説にもドラマーの名が書かれていないので謎です。ピエール・モウランは未だ参加していないと思うのだけれど・・・うーん、誰か教えて!)。
サウンドは前作のソリッドでシャープな感は全く薄れ、とにかくゆるゆるだ。どこかへ吹っ飛びそうなぐらいにサイケな演奏と、ジリ・スマイスのウィスパー・ヴォイス、アレンの表情を変えるヴォーカルがストーリーを作る。演奏はこの後見せるリズム隊を中心としたテクニカルな面は薄いが、虚ろなサックスとサイケなシンセ、コミカルなヴォイスによって導かれていく(到達地点はない)。
M1,RADIO GNOME INVISIBLE  (透明な妖精のテレパシー)
M2,FLYING TEAPOT  (フライング・ティーポット)
M3,THE POT HEAD PIXIES  (プロペラ頭をしたこびとたち)
M4,THE OCTAVE DOCTORS & THE CRYSTAL MACHINE  (オクターブ・ドクターと水晶の機械)
M5,ZERO THE HERO AND THE WITCH'S SPELL  (ゼロ・ザ・ヒーローと魔法の呪文)
M6,WITCH'S SONGI AM YOUR PUSSY  (魔法の歌〜私はあなたのカワイコちゃん)
「見えない電波の精の物語」の内容は放置していても特に問題はない。徹底的にナンセンスでコミカルな物語である。ただ人間の想像力というのは恐ろしいもので、次々とストーリー展開を想像してしまう。解釈ではなく、物語を勝手に作ってしまいたくなる。それも凄く楽しい。
さて、サウンドの方は先述した通り若干まとまり感がないのは否めない。完成度で言えば「ANGELS EGG」、「YOU」に軍配が上がるが、とにかく心地良い。それこそM1のディディエ・マレルブのサックスは不思議な世界への入り口のようである。ところどころ、オリエンタルな演奏やトランス的に展開するシンセによる浮遊感の増幅(物語上では水晶の機械によるもの)等、実験度合も増している。完璧にストーリー偏重型で彼等の超個性的な想像力の産物である。もちろん避けては通れないし、楽しさ満天。私に関して言えば駄目駄目っぽさも増幅されちゃう。

 

 

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SHAMAL

MIKE HOWLETT -bassguitar
DIDIER"bloom"MALHERBE -tenor & soprano saxes,c&g flutes,bamboo flutes,gongs
MIREILLE BAUER -marimba,glockenspiel,xylophone,assorted percussions,gongs
PIERRE MOERLEN -drums,vibraphone,tubular bells
PATRICE LEMOINE -pianos,organ,mini-moog synthesiser
(GUESTS)
STEVE HILLAGE -acoustic & electric guitars(bambooji & wingful eyes)
MIQUETTE GIRAUDY -vocals(bambooji)
SANDY COLLEY -vocals(shamal)
JORGE PINCHEVSKY -violin(catin clark's shoes,bambooji,shamal,chandra)

1975年発表の6th。アレン、スマイス、ヒレッジが続いて脱退。(ヒレッジはゲスト参加)
ピエール・モウラン主体のテクニック・ジャズ・ロックへの様相を強めていく過渡期的な作品。
過渡期とは言っても、個人的には非常に好きな作品で(アラン・ホールズワースがあまり好きじゃないので)
アレン、スマイスの抜けた穴は大きいもの、その辺を吹っ切って聴けばこれはこれで非常に素晴らしい
エスニック・ジャズ・ロック作品である。プロデュースにはニック・メイスン。

M1,WINGFUL OF EYES(M.HOWLETT),曲名横の「」内は作曲者。以下同。ポップでやけに
耳障りの良い曲というのが第一印象。洗練されたポップ・ソング。ハウレットのベースは相変わらずご機嫌。

M2,CHANDRA
(P.LEMOINE),ハットフィールド的なイントロから、サックス主体のジャズ・ロックへ。
様々な楽器がテクニカルに絡みあい、それでいてユーモアラスで煌びやかな感触がある。非常に格好良い。

M3,BOMBOOJI
(D.MALLHERBE),風と共にフルート(バンブー・フルート)が鳴り響く。東洋(中国?)、アジア的でGONGとしては
新境地と言いたくなるようなインスト。ここまで来たら完璧な民族音楽と言っていい。ロック色皆無。

M4,CAT IN CLARK'S SHOES
(D.MALHERBE)、M2と同じくカンタベリー色濃厚なジャズ・ロック。
非常にメリハリの利いたリズム隊の上をサックス、キーボード、ヴァイオリンが疾走する。アレンがいた頃のゴングのような
展開に思わずニヤっとさせられる。非常にユーモアラス。

M5,MANDRAKE
(P.MOERLEN),ヴィブラフォンの煌びやかな音色をちらつかせ、フルートの響きが夢見心地で
非常に気持ちいい。
M6,SHAMAL(HOWLETT/MALHERBE/BAUER/MOERLEN/LEMOINE),メンバー全員による合作。
サックスといい、リズムといいかなりファンキーなノリで、特にハウレットのベースが非常に格好良い。

これまでのゴングの作品が物語り調だったのが災いして、この作品はかなりまとまり感がない、という
ことなのだが、逆に言えばヴァラエティに富んでいるということで、、、。
それにしても、演奏はお墨つきである。ジャズ・ロックを主体としながらもエスニック色濃厚であったり
ファンクであったりと飽きさせない。ヴォーカルがかなり洗練されたと言うか、弱くなっているのは前任者を
考えればしょうがない。後の作品への橋渡しのような扱いの作品なのだが、名盤です。聴いて下さい。


LIVE FLOATING ANARCHY 77   (PLANET GONG)

HERE & NOW is
PROF. SHARPSTRINGS.P.A.:guitar,lips,glissando guitar,vocals
KEITH MISSILE BASS -bass guitar,tree trunk
KIFKIF LE BATTEUR -drummery,asides besides
GAVIN DA BLITZ -synthesizah,pinball flip
SUZE DA BLOOZ AN 
ANNI WOMBAT -choir of angels,dust
MARI CLEARLITE -arms legs feet eyes
GRANT SHOWBIZ -swith doctor,mouth,raz le bol rasp & wry
BUDDY BOLDEN,DAVE -the slave roadcrew
PLUS
GILLI SMYTH cum SHAKTI YONI -spacewhisper&pome
DAEVIT ALLEN DER BANANASPY -guitar,glissando guitar,nose,wordworks & singsong
(謎な表記が多いですが、クレジットを転載しました)

1977年発表。ラジオ・ノーム3部作を完結させた二人(アレンとスマイス)はスペインに移り住むが
1977年にパンク・バンドHERE & NOWとPLANET GONGを結成しライブを行う。
アレンとスマイスはピエール・モウルラン主導のテクニカル・ジャズ・ロックとは別の道を
歩むことになるが、彼らは新しい音楽に非常に貪欲であり、当時のパンクもまたその対象だった。
従来のスペイシーでサイケな音とパンクのアグレッシヴさが合わさった非常にパワフルなアルバムである。

M1,PSYCHOLOGICAL OVERTURE,ジリ・スマイスのウィスパー・ヴォイスがスペイシーに
電子音と混ざりながら空間的に広がる。そしてカウント・ダウン!
M2,FLOATING ANARCHY,カウント・ダウンから宇宙で爆発したかのような轟音で始まる。
まさしくパンクというようなギター・カッティングから疾走感とともに始まる。かなりロック的なのだが、
電子音も飛び交い、アレンの言うスパンク(サイケデリック・パンク)が分かる曲。アレンのヴォーカルも
怒気充分。
M3,STONE INNOC FRANKENSTEIN,非常に乗り易い曲調で、パンク的な疾走感も充分。
相変わらず意味不明なタイトルも良い。どうやら初期のリメイクらしい。中間部のギターは
非常にスペイシー。
M4,NEW WORLD TRANSFORMATION TRY〜NO MORE SAGES,
スマイスのポエトリーから始まる組曲(?)。なにやらメロトロンらしき音が聞こえるアンビエント的な前半。
この曲はM2,M3と違いラジオ・ノーム辺りのゴングに還ったかのようなスペイシーさだ。
ギターもヒレッジっぽくもあり、前半はかなり落ち着いた曲調だ。次第にスピードを取り戻し、
お経のようなコーラスが続く。どうやらレコードでは編集されているようで、アップテンポになって終る。
M5,OPIUM FOR THE PEOPLE,再び分かりやすいロック的躍動感を取り戻したストレートな曲。
女性コーラス、スマイスの笑い声と絡みながら実に豪快に突き進む。
M6,ALLEZ ALI BABA BLACKSHEEP HAVE YOU ANY BULLSHIT?〜MAMA MAYA MANTRAM,
スマイスのウィスパー・ヴォイスが木魂し、ギター音が明確になってゆく。アレンのヴォイスが
非常に即興的で瞑想的、宗教的。(←が7分ぐらいまで続く)。スピードが加わるも、基本は延長上で
スマイスのこの世のものとは思えないウィスパー・ヴォイスが浮遊感抜群。ギターソロも曲に溶け込んでいて
主張感はあまりない。一体感が凄まじい。終盤、YOUのようなフレーズが聴かれる。

ライブという音響性質が相まって、もの凄い轟音で、それでいてスペイシーな一枚。
シンプルなロックン・ロール調の曲からこれまでのゴングをも覗わせる瞑想的な曲まで
なんだかんだ言って、ゴングである。名盤。ちなみに、HERE & NOWもアルバムを出しているが
それも結構良いのでどうぞ。


ABOUT TIME   (NEWYORK GONG)

BILL LASWELL -bass guitar
BILL BACON -dms(except 7)
FRED MAHER -dms(except 5)
CLIFF CULTRERI -quit solo(except 1,5,8,9)
GARY WINDO -tenor sax on 8
MICHAEL BEINHORN -synthi on 1
DON DAVIS -alto sax on 6
MARK KRAMER -cheap organ on 9
DAEVID ALLEN -rgthm guitar,gllissando guitar,vocals
(クレジットの表記通り載せています)

1980年発表。ジリ・スマイスとも別れ、アレンは単身ニューヨークへ向かう。
フライング・ティーポットをプロデュースしたジョルジオ・ゴメルスキーを頼って
ニューヨークへ向かい、そこでZUというバンドと組む。これがニューヨーク・ゴングの発端である。

ビル・ラズウェル等の名からも分かるように、このバンドはレコメン系の流れを汲むバンドであり
ニューヨークにおいて彼らが交わるというのは必然の流れだったのだろう、と言うより
これがニューヨークでのレコメン系の起点かもしれない。サウンドの方は、元祖ゴングとは少し違い
ニューウェイヴ風なアヴァンギャルド・ゴングである。

M1,PREFACE,電子処理が目立つオープニング。エフェクト等を駆使した
デジタルなイントロ。
M2,MUCH TOO OLD,メロディ等、ゴング風なものも感じ取れるが、
ギザギザとしたサウンドやリズムはあまりにストレートで格好よい。
M3.BLACK SEPTEMBER,前曲から繋がるように疾走感とともに始まる。パンクっぽい
アグレッシヴさがゴングとは違い実にストレートだ。アレンのヴォーカルも吐き捨て調で怒り気味。
M4,MATERIALISM,ラズウェルのベースが主導権を握るラズウェルのナンバー。アヴァンギャルドで
不安感と緊張感が交差したインストゥルメンタル。
M5,STRONG WOMAN,ニューウェイヴ風な
ややチープなギターカッティングとアレンの気だるいヴォーカル。歌詞を読んでいないので分からないが、
ストロング・ウーマンってジリ・スマイスのことでしょうか?
M6,I AM A FREUD,雰囲気が一転し、
アヴァンギャルドでスピーディーなナンバーである。アレンらしいユーモア溢れる曲。
M7,O MY PHOTOGRAPH,9分の長尺曲。前半は鋼鉄なリズムと、流れるようなギターが印象的。
突拍子のない展開があったりと飽きさせない。スピーディーな展開でややミスマッチで居心地の悪さが
絶えずあり、それがまた快感だ。後半は瞑想的なギター音。
M8,JUNGLE WINDO(W),原曲はこの時期に作られた曲ではないらしい。サックスの音がかなり
個性的で面白い。アレンのユーモア一杯のヴォーカルにフリーキーなサックスが絡む。
アレン流の異色なファンキーさが特徴。
M9,HOURS GONE,月光のようなメロディが後ろで
流れるイントロから(全然暗くはないが)、ロック的な躍動感が加わり疾走する。

全体的にゴングっぽさは薄く、パンク、ニューウェイヴを通過したような感じ。
アレン流のユーモアとビル・ラズウェル等のニューヨーク・アヴァンギャルドが合わさったものである。
それにしてもアレンの吸収力には脱帽させられる。そこらのニューウェイヴの作品より素晴らしい。
ニューウェイヴ好きにも余裕で薦めれる作品。


GONG/ZERO TO INFINITY  02∞

80年代オーストラリアで隠遁生活を送っていたアレンがついに90年代に復帰、
ラジオ・ノーム・インヴィシブルの続編が登場し、そして2000年ついにラジオ・ノームの
更なる続編が発表された。英雄ゼロ無限の旅と題され、現在も続いている。
それにしても、相変わらずのゴング節というか、ユーモアラスでいて、そして
哲学を所々匂わす詩等、往年のファンは安心したのではないでしょうか?
私は、もちろん後追いファンなのだが、このアルバムと70年代のアルバムと比べてみても
遜色が全くないということに驚いてしまった。とりあえず、まだまだ続く。
それだけでも嬉しいことだ。
PLEASE WAIT!