THE DEVIANTS

ミック・ファレン(マイケル・アンソニー・ファレン)は1962年、ミック・ファレン&ザ・マフィアを結成。
1966年、前身バンドでもあるザ・ソーシャル・デヴィアンツを結成。
メンバーはミック・ファレン(vo)、クライヴ・マルドゥー(g)、ピート・モンロー(b)、ラッセル・ハンター(dr)。
そしてすぐさまクライヴ・マルドゥー、ピート・モンローが脱退するが、シド・ビショップ(g)、コード・リーズ(b)が新たに迎えられた。彼らはUFOクラブ等で数々のギグをこなし、ピンク・フロイドやソフト・マシーン、ホークウィンド等と共に当時の英国アンダーグラウンドを体現していたと言える。

彼等はメンバー・チェンジを繰り返しながら、3枚のアルバムを残す(詳しくはレヴュー欄にて)。
ミック・ファレンはプリティ・シングスを脱退したトゥインクのソロ・アルバムをプロデュースしている(THINK PINK)。3rdアルバム発表後、ミック・ファレンとその他のメンバーは袂を分かち、ミック・ファレンはトゥインクと組みピンク・フェアリーズを結成する。が、このバンドはどうやらうまくいかなかったようで、トゥインクは元デヴィアンツの3人と組み正式にピンク・フェアリーズを結成することとなる(この辺がよく分からないのだけれど・・・)。

ミック・ファレンはこの後、ソロ活動を行っていき、現在はデヴィアンツ名義でも作品を発表している模様。

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デヴィアンツは初期の3枚しか分からないのですが、とりあえず1stはキチガイです。うるさいです。非常にノイジーでまさにアングラな雰囲気がビンビンと感じられることでしょう。1stは完成度を楽しむというより、彼らのアイデアを楽しむと言ったほうがいいのかもしれません、非常に体現的なアルバムで一番お薦めです。
2nd、3rdと音楽自体はまともになっていくのですが、なかなかの作品です。
ノイジーで混沌が好き、という変態野郎は1stを、もうちょいまともな音楽が好きと言う人は2nd、3rdをお薦めします。まぁ、どれを選んでもデヴィアンツ特有の"毒"が仕込んであって非常に刺激的です。ジャケも刺激的。

現在新作も発表されたり、ミック・ファレン来日もあったりと、活動自体は活発な様です。先日(2004年10月)3枚のオリジナル・アルバムがキャプテン・トリップ・レコードより1000枚限定で発売されました。限定なのでお早めにどうぞ。

 

PTOOFF!

SID BISHOP -guitar,sitar
MICK
 FARREN -lead vocals,piano
RUSS
 HUNTER -drums,vocals
CORD
 REES -bass,spanish guitar,vocals

SANDERSON,SPARKES AND ASHWORTH -vocals
AND
 MUMBLING
PRODUCED
 BY JOHNATHON WEBER
A
 & R -STEPHEN SPARKES 
1967年発表の1st。プトゥーフ!
タイトルの意味は分からない。ちなみに最初に書いておくが原盤のジャケットはポスター・ジャケットになっており(現在の紙ジャケを確認する限り)、迷惑ジャケNO1の称号を与えたいぐらいのジャケットで、勿論激レア、中古市場では超破格の値段。
さて、本作は彼等の1stなのだが、同期のピンク・フロイドやソフト・マシーンと違いメジャーな道のりは辿っておらず、実質的には金持ちヒッピーのナイジェル・サミュエルを説得し(詐偽紛い?)、彼の出資によりこの1stを制作した模様。極めてアンダーグラウンドなデビューである。
そして、肝心の音であるがこれも極めてアンダーグラウンドな音だ。とりあえずザッパに憬れてごった煮ミクスチャー・ロックを目指したが方向が少し違ってしまい、混沌としちゃいました、というような身も蓋もないようなハチャメチャっぷり。一本の線で貫かれたロックン・ロールでは勿論なく、サイケな感覚もダウナーな方向へ、コラージュも極めて方向を狂わし、、、と、何だか悪口のように聞こえるかもしれないが実はこれが良いんです。
M1〜M4まではまだ当時のバンドの影響を覗わせる内容なのだが、M5のNOTHING MANでいきなりアモン・デュールのサイケ・アングラの世界へひとっ飛び。時々嘘みたいな落ち着いた曲もあるが、基本的にはメイン・カルチャーから外れまくっているので安心して聴いて下さい。
M1,OPENING
M2,I'M
 COMING HOME
M3,CHILD
 OF THE SKY
M4,CHARLIE
M5,NOTHING
 MAN
M6,GARBAGE
M7,BUN
M8,DEVIATION
 STREET
時はまさしく1967年英国。UFOクラブやらで対バンをするバンドはフロイドやらソフト・マシーン。観客やらメンバーはドラッグでヘロヘロ。うーん、想像してしまう。そしてこの音。ホークウィンドならまだしも、フロイド、ソフト・マシーンより遥かにアナーキーである。音楽的センス、演奏テクニックなどという言葉はこのアルバムの前では徹底的にナンセンスだろう。曲調自体はブルーズに根ざしてはいるがどこか壊れている。テープ・コラージュ等による編集も計算的ではなくおそらく偶発的に繋げたものである。
このアルバムのスタートは『THE DEVIANTS ALBUM!』というナレーションとともに始まる。その後聞こえる疎らな拍手。歪んだサウンドが鳴り響くが、ミック・ファレンのヴォーカルがダレダレでやる気無し。このM1,M2の音がこのアルバムを端的に表していると言えよう。そしてミック・ファレンの無気力ヴォーカルとマジックを起こしているのがシド・ビショップの轟音ギターである。無法地帯のようなリスクを伴ったギターだ。
後の2nd,3rd、ピンク・フェアリーズで見られない狂気がこのアルバムにだけ孤高に存在している。犬のウンコを踏んづけたとしてもヘラヘラ笑いながら過ごせるような素敵なアルバムである。

 

 

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