CELESTE

かつてのイタリアのプログレッシヴ・ロック・シーンに於いて数々のバンドが
僅か1作ながら名作を残し、消えていった。チェレステもそんな中の一つのグループだ。
76年という時期も考えれば頷けるが、実に勿体無い。

私は未聴なのだが、90年代に発表された76年作の2作目があるらしい。


CELESTE

GIORGIO BATTAGLIA -bass,vocals,xylophone
LEONARDO
 LAGORIO -pianos,flute,alto sax,mellotron,vocals,etc
CIRO PERRINO -percussion,flute,recorder,mellotron,xylophone,vocals
MARIANO SCHIAVOLINI -guitar,violin
(GUEST)
ALDO DE SCALZI -plop

1976年発表。ニュートロルス、デ・スカルツィの運営するグロッグ・レーベルから発売された。
実際は、70年代初頭に録音されたらしい。
さて、この作品なのだが、これが実に美しい。イタリアでも1,2を争う美質を持った作品である。
よく言われるところでは、クリムゾンの静の面、アイランズのような印象を持たれている。
特に、メロトロンに関してはやはりクリムゾンらしさが如実と表れている。ほとんど、ドラムレス。

M1,PRINCIPE DI GIORNO(光明の統治者)、メロトロンが優しく語り掛けるイントロ。
アコースティックな響きが大変心地よい。メロトロンがまるで風のように穏やか。ジャジーなアルト・サックス
においても、美しい。
M2,FAVOLE ANTICHE(時代の恵)、やや暗めながらも叙情性が目一杯感じられる。
特にフルートの絡みは至極の幸せを感じれる。エリシオンを想起させるような神秘的でユーモアラスな中盤。
繊細なメロディ、フレーズが次から次へ静寂と共に表れる。
M3,EFTUS(エフトゥス)、シンフォニックなフルートとメロトロン、アコースティック・ギターのアンサンブル。
M4,GIOCHI NELLA NOTTE(夜の鐘)、ややアヴァンぽいフレーズが行き交いする。
メロトロンをバックに、ユーモアラスなアヴァンギャルド、ジャジー、それでいて叙情性は一貫している。中盤のピアノは
いつ聴いても、優しく泣きそうになる。後半は軽やかな歌モノになる。

M5,LA GRANDE ISOLA
(大いなる島影)、暗いイントロからメロトロンを加えた盛り上がりを見せる。
シンフォニックな盛り上がりは感動。
M6,LA DANZA DEL FATO(運命の舞)、煌びやかなパーカッション、SE(?)
に、さわやかな風が加わるようにこれまで通り叙情的ムード。軽やかなアンサンブル。
M7,L'IMBROGLIO(詐欺)、軽やかなまどろみを覚える小品。

全体的なムードは一貫している。美しさ、叙情性が全編に渡り支配しアンサンブルも
非常に心地よい。時折見せるアヴァンギャルドっぽいフレーズもユーモアラス。
プログレッシヴ云々ではなく、限りない優しさに満ちたイタ・プロの中で異色ながら名盤。


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