CAMEL

1971年に結成され、プログレッシヴ・ロックのフィールドにおいて活躍する。
ブルースからラテン系の音楽、イギリスらしい叙情性、様々な音楽性を秘め活動を続ける。メンバー・チェンジも
繰り返し、現在も活動を続けるイギリスの重鎮グループだ。彼ら独特のファンタジー性で黄金期を築く。
アンディ・ラティマーのギター・プレイは必聴である。


 

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THE SNOW GOOSE

PETER BARDENS -organ,mini moog,electric piano,pipe organ,acoustic piano,ARP odyssey
ANDY LATIMER -electric,acoustic and slide guitars,flute and vocalist
ANDY WARD -drums,vibes,varispeed percussion
DOUG FERGUSON -bass and duffle coat

1975年発表の3rd。ポール・ギャリコの同名小説にインスパイアされた(賛同が得られなかった)
彼らの最高傑作と謳われるトータル・アルバムである。これを聴く上で、必ずストーリーを知って欲しい。
音とともに綴られるその物語は非常に悲しく、涙無くしては聴けないものである。
もちろん、ストーリーを知らずに聴いたとしても、目の前にその風景が広がることだろう。
それほどまでに、このアルバムは心象表現に長けていると言える。ピーター・バーデンスが作曲の中で
かなり大きな割合を占めているのだろうが、アンディ・ラティマーの感動を呼び起こす
泣きまくるギター・フレーズは感動ものだ。プロデュースは前作同様デヴィド・ヒッチコック、デヴィッド・ベッドフォード
がアレンジャーとして参加している。

M1,THE GREAT MARSH(グレート・マーシュ),海辺の風景とともにオルガン、ギター等が重なり
美しく悲しい物語の序章を告げる。

M2,RHAYADER
(醜い画家ラヤダー),キャメルの代表曲。フルートの響きを主導に見事なアンサンブルを
繰り広げる。バーデンスのオルガンも見事と言うしかない。アンディ・ワードの繊細なドラミングも実に素晴らしい。

M3,RHAYADER GOES TO TOWN
(ラヤダー街へ行く),スピーディーかつドラマティックなギターから
流れるようなギターソロへ、バックのアンサンブルも実にきめ細かい。5分という短さの中にも様々な

展開がある。ブルージーなギターソロ、それを彩るオルガン、非常に徹底している。
M4,SANCTUARY
(聖域),アコースティック・ギターの美しい調べをバックに、ラティマーのギターが泣く。
M5,FRITHA(少女フリーザ),続くようにアコースティックな味わいのあるアルペジオ。バーデンスのキーボードが優しい。
M6,THE SNOW GOOSE(白雁),テーマとも言えるような悲しい曲。傷ついたスノーグースを
癒すラティマーのギターが泣きまくる。涙腺刺激度高し。
M7,FRIENDSHIP
(友情),オーボエが非常に和やか。場面はラヤダー、フリーザの間の友情の芽生え。
M8,MIGRATION(渡り鳥),ヴォーカルは目立たないファルセット・ヴォイス。スピーディーで美しい。
M9,RHAYADER ALONE(孤独のラヤダー),M2の変奏。オルガンが独りになったラヤダーを思う。
M10,FLIGHT OF THE SNOW GOOSE
(白雁の飛翔),リフレインからややスピーディーなギター主導のメロディ。
非常に力強い感がある。
M11,PREPARATION(プレパレーション),穏やかなフルート、オーボエの音色が彩るも
次第に辺りの空気が変わり、悲しげな予兆を孕んだヴォーカルが印象的だ。

M12,DUNKIRK
(ダンケルク),戦争へと向かうラヤダー。勇ましいビートではあるが何故か悲しげで、忙しない思いがする。
ファンファーレのような演奏と、緊張感を帯びたギターを主導に展開する。後半の演奏の緊迫感は凄いものがある。

M13,EPITAPH
(碑銘),不安げな鐘の音色と、リフレインが木魂すレクイエム。
M14,FRITHA ALONE(ひとりぼっちのフリーザ),静寂とともに表れる美しく物悲しいピアノ・ソロ。M5の変奏。
M15,LA PRINCESSE PERDUE(迷子の王女さま),物語はクライマックスへと移る。やや忙しなさがあるが、
煌びやかなキーボードが素晴らしい。相変わらずきめの細かなアンサンブルは見事と言うほかない。

そして、M6の変奏へ。悲しさ、独りになったフリーザの旅立ちを表したかのような変奏で、悲しみだけでなく
若干の希望感もある。非常に感動的だ。
M16,THE GREAT MARSH
(グレート・マーシュ),場所はM1と同じグレート・マーシュ。しかしそこにいる
人間はいなくなり、寂しさが漂う海辺の風景。

一つ一つの音が非常に繊細に、丁寧に仕上げられている。聴く者の想像力を
刺激し、風景を浮かび上がらせる音はまさしく、ファンタジーそのものである。
泣き系プログレではあるが、その音はどの作品にも負けないもので、突出している。
何回聴いても泣けるメロディー。メタル系ギタリストの泣き系はやたら安っぽく感じられるが
この作品の普遍性は凄まじいものがある。構成も素晴らしい。必聴!


 

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