ATOLL

マグマと並びフランスを代表するプログレッシヴ・グループ、アトール。
当初は『フランスのイエス』という触れ込みで日本で人気を博したが、個人的に
イエスという感はあまりない。4枚のアルバム発表後解散するが、再結成。(ジョン・ウェットンとゴタゴタがあった)


 

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L'Araignee-Mal

ANDRE BALZER -vocals,percussion
MICHEL TAILLET -keyboards
RICHARD AUBERT -violin (GUEST)
ALAIN GOZZO -drums
CHRISTIAN BEYA -guitars
JEAN -LUC THILLOT -bass,vocals

75年発表の2nd。邦題:組曲『夢魔』。
この2ndで彼等の評価を決定付けたと言っても良いだろう。なんと言っても
ギタリスト、クリスチャン・ベヤの加入が大きい。
シンフォ系に入れられるのだろうが、様々なジャンルを貪欲に昇華させ、
ダイナミックに迫るその音は圧巻である。

M1,LE PHOTOGRAPHE EXORCISTE(悪魔払いのフォトグラファー)、幽玄なメロトロン、
息吹、鼓動のようでもあるドラム(特にバスドラの音が圧巻!)フランス語による朗読がその
高鳴りを伝えてくれる。次第に上がるテンションに呼応するかのように聴いているリスナーの鼓動も
上がるに違いない。凄まじい演奏だ。
M2,CAZOTTE N°1(カゾットNo,1),息をもつかせぬ凄まじい演奏が
始まる。(やはりこの当たりにイエスらしい演奏能力が覗える)。緊張感溢れるクリスチャン・ベヤのギター・プレイも圧巻!
1曲目もそうだったが、インプロヴィゼーションのようで計算されつくした演奏、計算づくのようでインプロヴィゼーションという
ギリギリの狭間で暴れまくっている。(多分インプロだと思われるが)

M3,LE VOLEUR d'EXTASE
(恍惚の盗人)、一気に緊張感から解き放たれ、叙情性が支配する。
どこまでも広がってゆきそうなメロトロンをバックに、フランス語ヴォーカルが響き渡る。ヴィオリンの音も
実に美しい。後半、凄まじいバトルになるのだが、これも開いた口が塞がらない。超絶プレイ。

L'Araignee−Mal
(組曲『夢魔』)ここから、旧B面を占める組曲『夢魔』
IMAGINEZ LE TEMPS
(思考時間)、ヴァイオリンの音色と奇天烈なパーカッションと篭もったヴォイスが
かなり怪しい。不安げに展開する。ヴィオリンのノイズがフェード・アウトしてゆき、アンサンブルへ。
ややフュージョンぽい匂いが感じられる。叙情性を伴った展開へ。
L'Araignee−Mal(夢魔)、静かなエレピが
誘導してゆく。相変わらずのセリフ調のねちっこいフランス語が乗る。感動的に進行してゆく。それに伴い
演奏を拡大させてゆく様は、やはりアトールならではの展開とも言える。

LES ROBOTS DEBILES
(狂った操り人形)、凄まじく重いリズムが打って変わって支配する。
不安を煽るようなエレピ(ギター?)とキチガイのような笑い声。混沌を垣間見る白熱とした演奏へ。

LE CIMETIERE DE PLASTIQUE
(プラスティックの墓碑)、大々的にメロトロンが感動を促し、ヴォーカルが
最後の終焉を歌いはじめる。クリスチャン・ベヤの泣きのギターも実に味わい深い。

やはりアトールはこの演奏に尽きるだろう。とにかく、凄まじいテンションで終始圧巻である。
イエスの危機にも見られるように聞き手をグイグイと引き込む力を持っている。一つ一つの楽器の音を
追いかけるだけでも精一杯。名盤!


 

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