ARTI + MESTIERI

イタリアン・プログレの代表バンド、アルティ・エ・メスティエリ。TRIPを解散させた
フリオ・キリコがIR SOGNO DI ARCHIMEDEというバンドと合流したのがその母体となる。
フリオ・キリコの超バカテクのドラムを始めとし、イタリアン・プログレ屈指の超絶技巧バンド。
ジャズ・ロックを主体としながらも、地中海の匂いが感じられ,さらに叙情性も顔を出し、アレアと並び
イタリア超重要バンドである。


TILT

FURIO CHIRICO -drums, percussion
GIGI VENEGONI -guitar,sinthsizer
GIOVANNI VIGLIAR -violin ,percussion,voice
ARTURO VITALE -saxes,clarinet, vibraphone
BEPPE CROVELLA -keyboards
MARCO GALLESI -bass

74年発表の1st。いわゆる、ジャズ・ロックと言われるようなアルバムなのだが、イタリア語の
ヴォーカルの匂い、イタリアの土の匂いが感じられるその演奏、どれを取っても一級品である。
アレアには、デメトリオ・ストラトスという国籍混合の稀有なヴォーカリストがいたが、アルティでは、演奏から感じられる
情感がある。

M1,GRAVITÀ 9.81,もの凄いエネルギーと疾走感があるが、あくまで情感たっぷりに疾走するといった具合だ。
全ての楽器が一体化する瞬間。大名曲。続くようにM2,STRIPSへ。全編にわたって響きわたるメロトロンが
素晴らしい。が、ヴォーカルが叙情的に顔を出す瞬間はやはりこの曲一番の魅力だろう。感動的。切ないヴァイオリンも良い。
M3,CORROSIONE、サックスがリードする小曲。繋がるようにM4,POSITIVO/NEGATIVOへ。非常に落ち着きが感じられる
前半からフリオ・キリコの息をもつかせぬドラミングが凄まじい疾走感の後半へ。キリコのドラムと絡むような超絶ギターが
凄まじい。
M5、IN CAMMINO、フュージョン・タッチな優雅な曲。サックスの流れに身を任し、このまま聴き入っていたいような
前半から、煌びやかなフュージョン風味ジャズ・ロックへ。聴き所が多すぎて迷ってしまうような素晴らしい曲。
M6,SCACCO MATTO。再び小品のような曲だが、57秒間の間に様々な要素が詰め込まれていてこれも素晴らしい。
M7,FARENHEIT、これも1分少々という長さの曲だが、全曲と違いやや不安気な感情が交差した不思議な曲。
M8,ARTICOLAZIONI、フュージョン寄りではあるが、決してBGMに陥らない屈強のアンサンブル(それでいて浸れる)。時折挿入される
効果的なメロトロン、イタリアらしいヴォーカル・パート。凄まじいキリコのドラミングとアルティの魅力を詰め込んだ大作。
M9,TILT、ミュージック・コンクレート。電子音とメロトロンが怪しく交差する。最後の曲にしては意外な曲。

フリオ・キリコのドラミングばかり注目されるアルティだが、改めて聴いてみると全てが一体化されており
それぞれ1ピースなのがよくわかる。疾走感ばかりではなく、流れるような優しい展開も実に心地よいものだ。
イタリアン・プログレの大傑作。


GIRO DI VALZER PER DOMANI

FURIO CHIRICO -drums,percussion
BEPPE CROVELLA -keyboards
MARCO GALLESI -bass
GIGI VENEGONI -guitar,sinthsizer
GIOVANNI VIGLIAR -violin,percussion,voice
ARTURO VITALE -saxes,clarinet,clavinet,vibraphone,voice
GAZA GIANFRANCO -voice

75年発表の2nd。邦題:明日へのワルツ
前作よりさらにフュージョン色が濃くなったように思う。しかし、全体的には
前作と同じような質感がある。1曲1曲が非常にコンパクトで前作よりさらに
音楽性が凝縮されて詰め込まれ、それが全く息苦しくなく痛快なジャズ・ロック〜フュージョンを
奏でている。キリコの超絶ドラムは前作よりさらに凄まじい。全曲に渡って凄まじい。

M1,VALZER PER DOMANI、ワルツ調に優美に奏でられるジャズ・ロック。ヴァイオリンの響きが
心地よい。身を任せたくなるような曲だ。
M2,MIRAFIORI、これも流れの美しさが感じられる。
その流れでサックスがリードするが、一気にテンポ・アップ。キリコのドラムが凄まじい。超高速!
M3,SAPER SENTIRE、今アルバムでは初のヴォーカル曲。前作とは違ったラテン調の
明るいヴォーカルが印象的。アルティ〜としては珍しい曲だ。
M4,NOVE LUNE PRIMA、ジャズ・ロック小品。
繋がるように
M5,DA NORD A SUDへ。ジャズ・ロック。不思議な感覚の曲だ。
同じ部分を繰り返しながら膨らんでゆく。
M6,NOVE LUNE DOPO、M4の曲の別VER,。
やや感慨に浸れるような落ち着いた曲。
M7,MESCAL、出だしからスピード感溢れる
ジャズ・ロックを奏でる。キリコのドラミングが凄まじい。この言葉をもう何回言ったことか。。
(MESCALEROは、全曲と繋がっていて切れ目がわかりません^^;)
M8.DIMENSIONE TERRA
エレピがテーマ部分をなぞり、さらにその他楽器がテーマを奏でていく。流れるようで
締まりのある小品ジャズ・ロック。
M9,ARIA PESANTE、不思議な音(何の楽器?)が印象的だ。
ヴォーカルが軽やかに歌う。ピアノもはね気味でポップ。心地よい曲だ。
M10,CONSAPEVOLEZZA PARTE 1,緩やかな風を感じることのできそうな落ち着いたフュージョン。
ギターの音もまどろみの中という感じだ。ただし凄まじい技巧。
M11,SAGRA、のっけから高速ドラミング。静と動の揺れが印象的。M12,CONSAPEVOLEZZA PARTE 2
M10の2部。エレピからヴァイオリンへ。
M13,RINUNCIA、ブルージーなギターに驚く。その後のヴォーカルも
今までにない趣きがある。
M14,MARILYN、美しいピアノ・ソロから始まり、ドラムを中心としたアンサンブルが姿を表す。
が次第にフェード・アウト。再び美しいピアノ・ソロ。
M15,TERMINAL、テーマ部分が感動的。
終曲のような雰囲気を漂わせている。味わい深い。

前作と質感は同じと書いたが、改めて聴いてみるとやはり様々な音楽要素が混在している。
前作のほうが1曲の輪郭がはっきりしていて覚えやすいが、2ndは1st以上の奥深さを感じる。
1stにあった叙情性もやや薄まり、よりフュージョン色が濃くなった印象。
それにしても、落ち着いた曲でもキリコはお構いなしに高速ドラムだから凄い。
どうせなら、1stとセットでこれも。名盤!


 

 

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