ANTHONY PHILLIPS

1951年12月23日、ロンドンにて生を受ける。
マイク・ラザフォード等と組んだ「ジ・アノン」というバンドと、ゲイブリエル、バンクスが組んでいた「ガーデン・ウォール」が合体し、ジェネシスが結成された。
ジェネシスでは「創世記」、「侵入」を発表後、脱退(メンバー感の確執による)。その後はソロへと転じる。

彼はその後本格的に音楽の学ぶ。クラシック・ギターの教師の資格、オーケストレーション、音楽理論を習得していく。そして1977年1STアルバムを発表する。

DISCOGRAPHY
THE GEESE & THE GHOST」 (1977)
WISE AFTER THE EVENT」 (1978)
SIDES」 (1979)
PRIVATE PARTS AND PIECES」 (1979)
PRIVATE PARTS AND PIECES U:BACK TO THE PAVILION」 (1980)
1984」 (1981)
PRIVATE PARTS AND PIECES V:ANTIQUES」 (1982)
PRIVATE PARTS AND PIECES W:A CATCH AT THE TABLES」 (1984)
INVISIBLE MEN」 (1984)
HARVEST OF THE HEART」 (1985)
PRIVATE PARTS AND PIECES X:TWELVE」 (1985)
PRIVATE PARTS AND PIECES Y:IVORY MOON」 (1986)
PRIVATE PARTS AND PIECES Z:SLOW WAVES,SOFT STARS」 (1986)
TARKA」 (1988)
FINGER PAINTINGS」 (1989)
SLOW DANCE」 (1990)
PRIVATE PARTS AND PIECES [:NEW ENGLAND」 (1992)
SAIL THE WORLD」 (1994)
MISSING LINKS 2:THE SKY ROAD」 (1994)
THE "LIVING ROOM" CONCERT」 (1995)
PRIVATE PARTS AND PIECES \:DRAGONFLY DREAMS」 (1996)
THE ARCHIVE COLLECTION VOLUME ONE」 (1998)
PRIVATE PARTS AND PIECES ]:SOIRÉE」 (1999)
RADIO CLYDE」 (2003)
ARCHIVE COLLECTION VOLUME TWO」 (2004)
to
 be,,,
(and
 more compilations and collaborations)

参考HP
THE
 OFFICIAL ANTHONY PHILLIPS WEBSITE (http://www.anthonyphillips.co.uk/)

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私にとって、ジェネシスのサウンドはアンソニーにあります。元々音楽的相違で脱退したのではなく、どちらかと言うとハケットもアンソニーと系統は似ています。ただ、創世記、侵入とアルバム自体が目立っているとは言えないので、アンソニー自身も比較的影が薄いのでしょう。

しかしながら音楽としては1級品です。どちらかと言うと、彼は2面に分かれています。ポップ・サイドと壮大なインスト・サイド。後者は彼がコラボしてきたドキュメンタリー音楽等が表れています。 
1ST、2NDはプログレ・ファンなら欠かせないとして、1990年の「SLOW DANCE」も非常にお薦めです。マイク・オールドフィールドが好きな方はビビビッとくるんじゃあないでしょうか。

 

SLOW DANCE

 

MARTIN ROBERTSON -clarinet
IAN
 HARDWICK -oboe
MICHAEL
 COX -flute,piccolo
TJBÖRN
 HOLTMARK -trumpet
JULIE
 ALLIS -harp
IAN
 THOMAS -drums
FRANK
 RACOTTI -percussion and off spin
Strings
 recorded at CBS Studios Feb '89
Conductor
 -JOHN OWEN-EDWARDS
Leader
 -GAVYN WRIGHT
Fixer
 -ISOBEL GRIFFITHS
etc,,,
COMPOSED
 AND PERFORMED BY ANTHONY PHILLIPS
PRODUCED
 AND ENGINEERED BY ANTHONY PHILLIPS and SIMON HEYWORTH
1990年発表。スロー・ダンス。
アンソニー・フィリップスと言えば12弦ギターの調べ、または1st「THE GEESE AND THE GHOST」,2nd「WISE AFTER THE EVENT」に顕著などこか人懐っこいファンタジックな世界観が想起される。
アンソニー・フィリップス曰く、リズム・マシン、シンセサイザーによる「1984」と、よりクラシック然とした「TARKA」を合わせたようなものであると言う。構成は確かにクラシック的だ。先述したアンソニー・フィリップス特有の英国ファンタジー的な味わいと、クラシックの壮大な流れ、全てが合さった傑作である。ちなみにクラシカルと言っても全く嫌味に聞こえない自然な音です。
アルバム前半はテーマ部分を始め、落ち着いたクラシカルな味わいが楽しめ、後半はシンセ、打ち込みを多用した若干スピード感もある展開で緊張感を伴う。実験的であるかのように様々なシンセの音が被さり、それでもストーリー描写は病的なまでに行われ、後半のテーマへの回帰から淡く消えていくギターの調べへ、その一連の流れは身震い必至だ。
M1,SLOW DANCE (Part 1)
M2,SLOW
 DANCE (Part 2)
これはヤバい。
もうね、お涙頂戴もいいとこで、世界中のありとあらゆる人間の涙を枯らすぐらいの涙腺直下型刺激サウンドだ。とにかく感情を静かに、心の奥底で揺さ振られる感じ。おそらくはマイク・オールドフィールドの初期4作品と同じ質感である。英国貴族階級出身というどこか優雅な佇まいと、彼のこれまで辿ってきた道程(ジェネシスの他のメンバーがポップ化していくのに対し、彼はひたすら自分の時間を追及)が実に素直に語られていると思う。特にタイトルにもあるようにSLOWという概念は彼とは切り離せない。
遠い森の木を揺らす風の囁き、そんな普段誰も気にもとめないようなものを彼だけが追いかけたかのような、ひっそりとした世界。

 

 

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