AKSAK MABOUL

アクサク・マブールはマルク・オランデルのソロ・プロジェクトとして始動する。
中心的人物のオランデルの育ち方こそがアクサク・マブールに繋がっている。オランデルはデメトリオ・ストラトスのように非常に多国籍な人物のようだ。
父親はドイツ人、母親はポーランド人、生まれはスイスのジュネーヴで、育ちはイスラエルらしい。
(全くの勝手な想像だが、オランデルの両親は戦争中に出会い、スイスに亡命したのではないだろうか。武器よさらばのように)

オランデルは様々なバンドを経て、70年代半ばプログレ・バンド『コス』に加入する。
オランデルが加入したのは1st発表後で、その後76年に2nd「VIVA BOMA」を発表。78年には3rd「BABEL」を発表する。

コスの共同プロデューサーであったマルク・ムーラン(後にテレックス結成)がオランデルにアルバムの制作を提案する。
オランデルの友人であるヴィンセント・ケニス(後のハネムーン・キラーズ)の協力の下、1977年、マルク・オランデルのソロ・プロジェクトとして、ムーランの設立したカミカゼ・ディスクから発売される。

その後は、ライブ活動を行っていくことになるのだが、このライブにはユニヴェル・ゼロ、ジュルヴェルヌ、元ヘンリー・カウのジェフ・リー等が参加した。
さらに、アート・ベアーズのフレッド・フリス、クリス・カトラーも参加し、彼等は2ndの制作にも参加し、RIOを巻き込んだ超大作「ならず者のように」を1980年発表する。

その後、フリスやカトラーは周知の通り、様々なバンドで活動したり世界を移り歩いていく。
残ったオランデル達は、ベルギーのニュー・ウェイヴ・バンド「レ・テュール・ドゥ・ラ・リューヌ・ドゥ・ミエル」のメンバー達とライブ活動を続ける。彼等はそのまま合体し、ハネムーン・キラーズと名乗る。

因みに、1981年にオランデルは「クラムド・ディスク」を設立。(http://www.crammed.be/index.html
(引用ではありませんが、松山晋也氏の解説を参考に書きました)

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アクサク・マブールは2枚のアルバムを残しています。
その2枚は質感がそれぞれ違っていて、それぞれが甲乙つけ難い超傑作です。レコメン系チェンバーの頂点だと言っても過言じゃないでしょう。廃盤にならないうちに、2枚ともさっさと買った方が身のためですよ。
来たる偏頭痛のために・・・ならずものにならないために

彼等の音楽の要素は、実に様々な音楽が詰まっていて、まず間違いなくどんな音楽的嗜好を持つ人も楽しめるでしょう。プログレ系で語られますが、プログレという言葉で毛嫌いする人は人生損することを、このアクサク・マブールは教えてくれます。
ちなみにもちろん、
ド変態系音楽です。気持ちいいですよね。

 

ONZE DANSES POUR
COMBATTRE
 LA MIGRAINE

MARK HOLLANDER -farfisa,farfisa organ,darbuka,drum machine,
 fx,alto sax,clarinets,bass clarinet,piano,xylophone,hesitant fender rhodes,
 fender rhodes,flute,percussion,pygmy whistle,keyboards,etc

VINCENT
 KENIS -accordion,guitars,bass,piano,darbuka,percussion,pygmy whistle,fender rhodes
etc,,,,
PRODUCED
 BY MARC MOULIN,VINCENT KENIS & MARK HOLLANDER
RECORDED
 MARCH-JUNE 1977
1977年発表の1stアルバム。邦題:偏頭痛のための11のダンス療法
(カミカゼ・ディスク→クラムド)多国籍な文化を体現したオランデルは、まさしくその通りの音楽を創り上げる。このアルバムは2ndと違いマルク・オランデルを中心にヴィンセント・ケニスの全面的な協力の下、曲ごとにゲストを交えながら非常にユーモアラスで鮮明な音が刻まれている。
民謡、童謡等のリアレンジ曲も多く、原型に忠実とは言い難い分だけオリジナルになっている。これはもうヴァラエティ豊かというレヴェルではない。コスモポリタンであるオランデルにとって自然そのものであったのだろう。
(※コスモポリタン=世界主義者、世界公民、国際人)
因みに、昨年
(2003年)国内初CD化されたが、そのブックレットにオランデルが曲ごとに解説を書いているので詳しくはそちらを参考に(和訳はなし)。
M1,MERCREDI MATIN
M2,
Mit1) SAURE GURKE (AUS 1 URWALD GELOCKT
M3,ANIMAUX VELPEAU
M4,MILANO
 PER CASO ジャズ・ギタリスト、パオロ・ラドーニをゲストに迎え、ラドーニの曲をアレンジ。
M5,FAUSTO
 COPPI ARRIVE!
M6,CHANTER
 EST SAIN
M7,SON
 OF L'IDIOT
M8,DBB
 (DOUBLE BIND BABY
M9,CUIC STEPPE
M10,TOUS
 LES TRUCS QU'ILY  DEHORS
M11,CIOBANE
M12,THE
 MOOCHE
M13,VAPONA,NOT
 GLUE
M14,GLYMPZ
M15,THREE
 EPILEPTIC FOLK DANCES
M16,MASTOUL
 ALAKEFAK /MASTOUL,ONE YEAR LATERLIVE
M17,COMME ON A DIT
エレクトロニカのような音がピコピコ、ポコポコ脈打ったのかと思えば、民謡やらワルツ、ジプシー系、4歳児の歌、ダンス曲、思いつく限りのアイデアをセンスよく作品にしてみました、というような感じだろうか。2ndはより室内楽然としているが、こちらはまさしくアイデアの宝庫。統一感はなくともバラバラな感もない。唯一統一的なのが、時系列の関係ない不思議の国のアリスのような世界というところだろうか。
フリスやカトラーと出会うのが必然的であった、と思わせる内容である。

 

 

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