AFTER DINNER |
1981年、神戸にて結成。 当初のメンバーはHACO、小森御幸、チャカ、志村学とゲスト・ドラマーの5人。 その後グループの中心人物でもあるHACOは電子音楽に興味を示し、宇都宮泰のスタジオを拠点とし、元P-MODELの横川理彦が加わり、活動も活発に。 1982年シングル「アフター・ディナー/夜明けのシンバル」をリリースする。 1984年にアルバム「グラス・チューブ」をリリース。 このアルバムにクリス・カトラーが興味を示し、レコメンディッド・レーベルとの関わりが始まる。 1984年に、シングル「アフター・ディナー/夜明けのシンバル」とアルバム「グラス・チューブ」を合わせた形態で、レコメンディッド・レーベルより「AFTER DINNER」としてリリースされた。 1985年にはフレッド・フリス編集オムニバス・アルバム「WELCOME TO DREAMLAND」に「髪モビールの部屋」を提供。同時、彼等はヨーロッパでのライブ活動を頻繁に行っている。 その後も彼等はそれぞれソロ活動を行っている。(解説を参考に書きました) |
不思議な世界へ連れ去られます。 EDITIONSの解説に載っているMELODY MAKER誌の評価を引用すると「相変わらず西洋ポップスべったりだった日本の音楽シーンを覆そうとする小さな底流を築いた」。とにかく、これを聴くと、日本古来より伝わってきた昔話の世界に入り込んだような錯覚を受けます。しかも電子操作によってそれがモザイクのように、万華鏡のように変化します。未だかつて味わったことのない感覚を受けることができることでしょう。 ライブ・エディションズとパラダイス・オブ・レプリカは迷わず「買い」でしょう。HACOはソロ活動においてもかなりの評価を得ている人です。ソロ作品も是非! |
AFTER DINNER |
AFTER DINNER HACO -singing (except8),keyboards,tapes(3,4),etc MIYUKI KOMORI -guitar(1,6,7,8),drums(1,2,6,7,9),bass(2,7,9),etc YASUSHI UTSUNOMIYA -synthesizer,voice(1,6),glass tube,bass(7),etc TADAHIKO YOKOGAWA -bass(2,7,9),violin(2,9) CHAKA -bass,percussion(1,6) MANABU SHIMURA -piano(1,6) KOGAIBOU-SENKYU OKUDA -tabla(8) MASAAKI KAWAGUCHI -snare drum(2,9),surumondal(8) TEPPU MAEDA -indian pipe,voice(8) MASAHARU ITO -marching drums(6),soprano sax(9) SEIICHI KURODA -tenor sax(9) KANAME NAKAGAWA -alto sax(9) YUKIO FUJIMOTO,TORU SIMURA,YOKO INUI & AYUMI TORII -fieldwork<sound-objects>(5) SHINICHIRO TANIGUCHI -narration of B.B.R. system LIVE EDITIONS HACO -singing(except 12,15) TADAHIKO YOKOGAWA -bass(11,14,16-18),violin(12),mandolin(10,13),singing(12) ICHIRO INOUE -percussion(10,11,13,14,16,17),tako(13,16) MUTSUHIKO IZUMI -guitar(10,11,14,17) SEIICHI KURODA -bass(10,11,14,17) HIDEYUKI YAMAGATA -drums(10,11,14,17) YOSUKE ISSHIKI -piano(13,16-18),percussion(17) TAKUMI FUKUSHUMA -violin(13,16,18) MASAHIRO KITADA -steel drum(15) KOGAIBOU-SENKYU OKUDA -yan-ch'in(15) NAOKI YAMADA -prepared guitar(15) |
1991年発表の編集版。 これは1984年にレコメンディッド・レーベルより発表された「AFTER DINNER」(1stアルバムとシングルを収録)と1986年から1990年の間、彼等が行ったライブより選曲された「LIVE EDITIONS」をカップリングしたものである。本作と2ndの「パラダイス・オブ・リプリカ」を聴けば、AFTER DINNERのほぼ全容が分かると言っても過言ではない。このアルバムはLIVE EDITIONSと分けて考えると、彼等の1stアルバムとほぼ同内容なので、それを念頭において書く(尚、1stの「グラス・チューブ」のジャケはこのジャケと似たようなイメイジなのだが、シルヴァー・スクリーンになっている) スタジオ録音の方(AFTER DINNER)は、これぞまさしく不思議の国、宇都宮泰氏のテープ操作により音が巧みに変えられ時間軸を無視するかのような神掛かった展開で自己というものを抜き取られるようである。リズムや音の"間”も非常に神秘的で独特だ。身も蓋もない言い方をすればART BEARSの暗さを取り払った日本盤。ライブ録音の方(LIVE EDITIONS)は、さすがにスタジオ録音のようには行かず、HACOのヴォーカルを全面的に押し出した迫力のある構成。ただ、曲によって音質が悪いのが難点。 |
AFTER DINNER M1,AFTER DINNER (アフター・ディナー) M2,SEPIA-TURE (セピア・チュール) M3,AN ACCELERATING ETUDE (加速度のエチュード) M4,SOKNYA-DOLL (ソニャドール) M5,SHOVEL & LITTLE LADY (おじょうさんとシャベル) M6,CYMBALS AT DAWN (夜明けのシンバル) M7,GLASS TUBE (グラス・チューブ) M8,DESSERT (デザート) M9,SEPIA-TURE U (セピア・チュールU) LIVE EDITIONS (1986-1990) M10,A WALNUT (胡桃) M11,CYMBALS AT DAWN (夜明けのシンバル) M12,RE (RE) M13,KITCHEN LIFE (キッチン・ライフ) M14,GLASS TUBE (グラス・チューブ) M15,THE VARIATION OF "WOULD YOU LIKE SOME MUSHROOMS?" (「マシュルームはいかが?」変奏曲) M16,IRONCLAD MERMAID (赤い靴ユートピア) M17,AFTER DINNER (アフター・ディナー) M18,THE ROOM OF HAIR-MOBILE (髪モビールの部屋) |
80年代の日本のアンダーグラウンド・シーンと言うのも最近はよく特集されるが、常々これが何故入っていないのか不思議に思う(そういえば、スタジオ・ヴォイスでは紹介されてましたね)。しかも紹介されている作品のほとんどが日本人らしさより欧米寄りのサウンドという馬鹿馬鹿しさ。というのがアフター・ディナーが成功した秘訣なのだろうか、やはり欧米人にとって(特にヨーロッパでは)日本人気質のない欧米追従ロック(←こういう奴等が小泉やブッシュを批判していると笑ってしまう)より、こういう日本独特の間を用いた神秘的な作品の方が魅力的なのでしょうね。 アヤフヤで何処となく懐かしみのある夢を見ている感覚だろうか、HACOのあどけないヴォーカルと宇都宮泰の電子操作、テープ・コラージュによるモザイク(ボカし)。万華鏡のように変化に富み、聞き終えた後は記憶の隅っこにしっかりと居座りながら遠のいていく感覚。映画で言えば宮崎駿の作品のような感触だろうか(←実はあまり知らないのだけれど)。もう一度見よう、と思って見れないのが「夢」ならば、この作品はその点有難い、何度でも体験できるのだ。 そう、これは「体験する」作品である。聴覚だけでなく頭脳にもHACOの不思議な詩が入り込み、想像力を働かせてくれる。芸術という分野で一番良質な部類に入る音楽だと思う。 |