HENRY COW

ヘンリーカウは大きな流れを生み出すカンタベリー・シーンの超重要バンドとして
存在してきた。そして各メンバーの動きは現在においても見逃せないものであり
それはRIO系の動きに集約される。そしてRIOの流れを知る上でも彼らの残した3枚のアルバムと
ライブ・アルバムは基本であり、必聴である。
またスラップ・ハッピーとのコラボレイトもダグマー加入という重要なものとなった。(アート・ベアーズへ)
反体制という思想もこのバンドには重要なもので、クリス・カトラーを始めとし
非常に政治色の濃さも目立った。
それは抜きにしても非常に重要なバンドであることは間違いない。


LEGEND

GEOFF LEIGH -saxes,flute,clarinet,recorder,voice
TIM HODGKINSON -organ,piano,alto sax,clarinet,voice
FRED FRITH -guitars,violin,viola,piano,voice
JOHN GREAVES -bass,piano,whistle,voice
CHRIS CUTLER -drums,toys,piano,whistle,voice

カンタベリー・シーンの一角を担うヘンリー・カウという図式が一番成り立っているのが
やはりこの1stだろう。それでも充分現代音楽を取り入れたり、その後も混在している。
室内楽的な響きはもちろんのこと、様々な楽器が入り乱れインプロヴィゼーションを繰り返す。
バンドはソフト・マシーンやザッパの影響の元にスタートする。この作品は当時新興レーベルであった
VIRSINからリリースされた(1973年)。

1曲目NIRVANA FOR MICEは、カンタベリー濃厚なジャズ・ロック。ヘンリーカウの名刺と言えば
Ruinsだろうが、これは裏名刺とも言えそうな大名曲。その後現代音楽的なインプロヴィゼーションが
繰り広げられる。
3曲目TEENBEAT INTRODUCTIONから4曲目TEENBEATへの繋がりは
感動的である。細かなクリス・カトラーのドラミングも作品に奥行きを与えている。
カンタベリーからカウへたどり着いた人はまずこれからでしょう。尚ESDのCDにはボートラが付くが、
リミックスは、後に出たCDが公認のものとなっている。両方聴くのが望ましいが、現在ESD盤は入手困難かも。


UNREST

TIM HODGIKINSON -organ,alto sax,clarinet,piano
FRED FRITH -stereo guitar,violin,xylophone,piano
JOHN GREAVES -bass,piano,voice
CHRIS CUTLER -drums
LINDSAY COOPER -bassoon,oboe,recorder,voice

リンジー・クーパーが加入し、制作された2nd。このバスーン奏者リンジー・クーパー
の加入がヘンリー・カウの方向性を決定付けたように思える。
1stのカンタベリーらしさから、ここではより室内楽然としている。
これが後のレコメン系への指標となる音だ。

1曲目BITTERN STORM OVER ULMは、フリスがヤードバーズの
曲を下敷きに書いた小曲。とても分かりやすいメロディが印象的である。
2曲目HALF ASLEEP;HALF AWAKEは、ジョン・グリーヴスによる
曲で、ピアノが印象的な複雑な展開を含む曲だ。もちろん彼のベースの
流れも奇妙で面白い。
3曲目RUINSは一番語られることの多い
彼らの大傑作である。特にリンジー・クーパーのバスーンがなんともいえない
雰囲気を作りあげ、その空気感の中でのアンサンブルは凄まじいものがある。
瓦礫の上を、瓦礫を壊さないよう歩いている感覚に陥る。
一音一音に意味があり、一音一音の間に緊張感が迸る大名曲。
前半は構築性が凄まじいのに対し、後半の曲群はフリー・インプロヴィゼーションに
富む曲が多い。そして、壮大なクライマックスの
DELUGEへ。

このアルバムは、全ての曲、一音一音が凄まじい緊張感と不安感、
終末感と言えば安易かもしれないが、そう言ったものが常に交差し合う
モンスター・アルバムだ。レコメン系云々の前にこれを聴かずして語れない。

ESD盤ではボートラが付くが、RER盤が公式のもの。
ただ、ESD盤は現在入手困難(?)


 

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