早川義夫

言わずとしれたジャックスのヴォーカリスト、早川義夫。
現在も素晴らしい曲を相変わらず歌っている。自己流とか、流行とかお構いなしに、
ただ、歌う。ただ、演奏する。言いたいことを言っているだけ、のような
己そのものを普通に表現していくその姿が格好良い。いや、格好悪いことも含めて。人間そのものだと思う。
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かっこいいことはなんてかっこ悪いのだろう

これほどまでに、痛々しく、鋭利なアルバムは知らない。
しかも、作られたものという感じがしないから尚更恐い。歌詞は大半が
別の人間によって書かれているが、表現者そのものである。
全く胡散臭さはない。胡散臭さに包まれた私が聴くと、えぐられる。
ピアノとアコースティック・ギターの伴奏のみというシンプルさが、実に
早川さんの歌を表に出して、恐い。逆に、早川さんの歌というのはとても優しい。
聴いた人なら分かるだろうが、格好良く見せる人間もまた人間、格好悪い部分も
また人間、等身大の人間だ。
弱い部分を見せずに、虚勢を張って生きていくことは難しい。
逆に弱さを見せることは、もっと難しい社会である。弱さこそが魅力的なんだと、私はこのアルバムを
聴いて思わされた。
逆に現在の繊細さの欠片もない人間にこのアルバムを聴かせてやりたい。
都合の良い人間になってたまるか!そのままでいよう。


 

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言うものは知らず、知るものは言わず

2枚組、ライブ・アルバム。復活後の早川さんの歌は、以前のアルバムより
よりダイレクトな歌詞が多く、より多く伝わる。別に隠された意味や、
アルバムが意図するものを見つけ出す必要もない。
曲を聴けば分かる。実に分かりやすい。だから、より鋭さを増している。
声も、若々しさはもちろんないが、早川義夫さんの皺そのものだ。
今まで生きてきた人生がそのまま声になるという、常に等身大の'らしい’ライブ・アルバム。
2枚目は、ジャックス時代の曲も歌われており、今の時代だからこそ余計に以前の曲が突き刺さるのではないか。
かっこ悪い〜のアルバム・ライナーに現代のコミュニケーションについて書かれていたが、
現代の普通に人と話すコミュニケーションより、このライブの方がより、コミュニケーションである。


 

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