HATFIELD AND THE NORTH

カンタベリー・シーンの範疇を超えて、音楽の煌びやかさ、楽しさを目一杯伝えてくれる
ハットフィールド・アンド・ザ・ノース。が、一部のプログレ・ファンにしか聴かれていない状況は
なんとも言えないものがある。私は、チック・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァーにも
全く引けをとらないと思っている。
カンタベリー入門用にもお薦め、全人類必聴!


HATFIELD AND THE NORTH

RICHARD SINCLAIR: bass,singing
PHIL MILLER: guitars
PIP PYLE: drums
DAVE STEWART: organ,pianos and tone generators
with assistance from THE NORTHETTES(AMANDA PARSONS,BARBARA GASKIN,
ANN ROSENTHAL)
GEOFF LEIGH: saxes,flute
JEREMY BAINES: pixiephone
ROBERT WYATT: singing on 'Calyx'

ハットフィールド・アンド・ザ・ノースの1st。1974年。
一聴する限り、非常に耳に滑らかなポップ・ミュージックであるということがわかる。
そして、彼らのアルバムの魔力は、飽きないということ。聴くたびに、様々なフレーズを発見し
奥の方での実験や、様々な音楽が散りばめられているという奥深さが魅力である。
一般的には2ndが有名だが、この1stも2ndに全くひけは取っていない。場面展開がやや早く、
2ndより緊張感溢れる演奏が聴ける。

オープニングの
THE STUBBS EFFECT〜BIG JOBS
リチャード・シンクレアのヴォーカルが魔法の世界への扉の役割を見事に果たしている。
デイヴ・スチュワートのギターのようなオルガンとフィル・ミラーのオルガンのようなギターとのインタープレイは
圧巻である。
4曲目CALYXでは、ワイアットが参加。彼のスキャットは言葉にならない。
そこから煌びやかな展開の
5、SON OF 'THERE'S NO PLACE LIKE HOMERTON'へ。
美しいコーラスも挿入され、まさしく至福の時とでも言うべきか、心地よさの頂点でもある。
その他の曲も、もちろん聴き所満載の名曲ばかりです。

格好良さはもちろんのこと、英国的ユーモアラスな歌詞、緊張感溢れるインタープレイ、
編集感覚を持ち込んだSE等。大傑作である。


THE ROTTER'S CLUB

PHIL MILLER: guitars
PIP PYLE: drums and percussive things
RICHARD SINCLAIR: bass,vocals(guitar on 'didn't matter anyway')
DAVE STEWART: organ,electric piano and tone generators
JIMMY HASTINGS: flute,soprano and tenor saxes
MONT CAMPELL: french horn
LINDSAY COOPER: oboe and bassoon
TIM HODGKINSON: clarinet
and the very wonderful NORTHETTES; BARBARA GASKIN,AMANDA PARSONS,ANN ROSENTHAL

1975年2nd、ロッターズ・クラブ。世紀の大名盤。
1stでの、目まぐるしさ等が減り、ポップに聴きやすさは格段と上がった。しかし、
1stと同様に奥の方での実験、プログレッシヴ精神は変わらず、ポップな曲に溶けこませている手法には
感服する。ジャズ・ロック、フュージョン、プログレッシヴ・ロック等のジャンル・カテゴライズ無用の
モンスター・アルバムである。

SHARE ITで、リチャード・シンクレアのヴォーカルを聴けば、涙を流す人もいるかもしれない。
素晴らしい幕開けである。
LOUNGING THERE TRYINGは、フィル・ミラーのギターが印象的。
ドラミングも凄まじいものがあるが、ここで超絶技巧うんたらは感じさせない。
一つの楽器の楽曲に対する溶け込み様は凄いものがある。M3、4、5は一つの曲のように繋がっていて
ハットフィールドらしい緊張感溢れる展開が心地よい。ダラダラとした展開は一つもなく垂れ流しではない
フュージョン、ジャズ・ロックの完成品。
6、FITTER STOKE HAS A BATHは、
シンクレア独壇場の素晴らしい歌が聴ける。デイヴ・スチュワートの味付けエレクトリック・ピアノは、
かなり重要な役割を果たす。下書きの絵に色を付けていくようである。そしてそのまま次曲
DIDN'T MATTER ANYWAY
に繋がる。フルートとシンクレアのヴォーカルの絡みが切ない。
8曲目UNDERDUBは、デイヴ・スチュワートがリードし、見事なアンサンブルを見せる小品。
そして大作
9、Mumps。女性スキャットと共にその姿を見せていく様は非常に美しい。
そして、それが幕開けであるかの如く、疾走感溢れるインタープレイに突入。

ハットフィールドの集大成(?)。緊張感を滑らかに変え、疾走感をポップに、変拍子、超絶技巧は
隠し味に。真剣に耳を傾けても、BGMとしても両方楽しめる。
音楽の在り方のような作品である。


なんと、こんな素晴らしい2作が10年以上に渡って国内盤が発売されていない
という異常事態だったが、2004年秋以降にリマスター再発の予定だそうです。(紙ジャケ)
こういう作品こそ、リマスターされるべき作品!


 

PLEASE WAIT!

 

 


MENU  BACK