ELVIS COSTELLO

エルヴィス・コステロは、パンク・ムーヴメントの時期に突如現れた。何故か日本では
パンクの扱いを受けることになる。しかし、怒りを表現することにかけては、パンク・バンドの
それ以上であり、それを皮肉と冗談を織り交ぜながら主張するのは、やはり英国的だろう。
大胆不敵にエルヴィスと名乗った、怒れる批評家。


MY AIM IS TRUE

1977年発表のコステロのデビュー作である。スティッフ・レーベルの第3段として発売された。
プロデュースはあのニック・ロウ。
サウンドは、痛快なロックン・ロール。ジャケットを見ればわかる通り、50年代のかのバディ・ホリーのような
ファッションに包まれたコステロ。バック演奏にはクローヴァー(ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの前身バンド)。
低予算で作られたとあるが、ここから流れてくる音は非常に素晴らしい。
ノスタルジックな雰囲気と、コステロのなんとも言えない怒ったようなヴォーカル。この1stだけの世界だ。

M1,WELCOME TO THE WORKING WEEKが始まると、ポップなメロディとは裏腹
痛快な皮肉の効いたコステロのヴォーカルが乗る。格好いいの一言だ。
曲調は、コステロが今まで聴いてきたジャズやロック様々な音楽ジャンルがミックスされた
ヴァラエティに富んだ内容。(ジャズの要素はないが。)

ここにあるような歌詞を読んで、怒る奴がいればそれもコステロの狙い通りなのだろう。
怒りが絶妙に姿形を変え、リスナーは歌詞の意味を散策しようとする。それを何処かから眺めるコステロが笑う。

『I'm not angry』と。


THIS YEAR'S MODEL

 

1978年発表の2ndアルバム。
前作がヒットし、ツアーを行うためにコステロのバック・バンドになったのが
ジ・アトラクションズだ。本作がコステロの評価を決定的にした。
コステロのソング・ライティングにあまり違いは感じられないが、前作にも増してビート感が
感じられる。コステロの怒りはますます加速する。
曲は前作にも増してヴァラエティに富み、サウンドは荒々しさがなくなり、いい意味で洗練されている。
それも痛烈な皮肉なのかもしれないが。毒気は、さらに増す。

『俺は感動なんてしないよ。その映画を見たことはあるけれど
君の脈を計るなんてごめんだね。俺は誰も欲しくないんだ。
チェルシーになんて行きたくない』
 M8より
(チェルシーはもちろん英国の金持ちが多く住む土地で、フラワーショウなんかで有名)

現代においてもこの毒は通用するのだから凄い。
M1,NO ACTIONから、M12,NIGHT RALLYまで捨て曲一切なし。

ところで、毎年今年の流行の色は〜色ですとか言っているけど
あれって、何なの?偉いさんが、談合して決めているに違いない,そう言った流行に
ついていかなきゃと必死になっている人に聴いてほしいような作品だ。
『今年一番のモデルにはどれも驚くに足らないことばかり。』


 

PLEASE WAIT!

 


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